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海外で初めて手術した時の話

オーストラリアは5年に一度
子宮頸がん検診のお知らせが届く

2年前に私にも初めて届いて
そろそろアラサーだし
健康だからって過信せず検査行ってみるかと
近くのGPを予約した

1週間後に結果がわかって
なんだかわからないけど
正常ではないらしいということだけがわかった

ドクターいわく
1年くらいで自然治癒するケースが多いから
今は特に何もせず
1年後に検査しましょう
と言われてその時は終了

生理もスムーズだし
大きな痛みもないから大丈夫っしょ
そもそも健康だけが取り柄
みたいな人間なんだから
どうせ自然治癒するだろうと思って
そのまま放っておいた

去年の年末、庭の草むしりをした時に
足首を虫に刺されて
右足の付け根に変な腫れを感じた

正月休みに入ったらまた時間かかるから
ギリギリの12/30に予約を入れた

「リンパが腫れてるだけですねー
薬飲んで様子見ましょう
何か他に気になることありますか?」

と聞かれて
そろそろ1年後に来てくださいって言われた
検査の時期だったな
ついでにしてもらおうとと思ってその場で検査

年内にやらなきゃいけないことを終えて
すっきりした気分で年末年始を過ごした

年明けてから検査結果をとりにいくと
自然治癒せずにまだ何かが残っているらしい

「精密検査が必要だから
大きい病院に行ってください
今の時期混んでるからね〜
病院から電話来るの時間かかるかも
2ヶ月たっても連絡なかったら
うちに電話してください」

とドクターに言われた

ん?精密検査?
去年のやつ治ってなかったの?

なんか嫌な予感がした

とりあえず今は病院からの連絡
を待つことしかできないので待機

2ヶ月も待つことなく病院から電話が来て
精密検査の予約をした
英語が聞き取れないと不安だったから
通訳さんもお願いした


精密検査の日
仕事は午前半休をとって病院へ

待合室で待っていると
手配してもらった通訳さんがきた

挨拶をしてらなんで検査を
受けることになったのかを説明

きっと過去に同じような
日本人の通訳に立ち会ったのだろう
こともわかっていて、あっさりとした対応

大丈夫、若いしきっとすぐ治りますよ〜
と言われてちょっと安心した

そっから1時間ほど待合室で待ってる間
通訳さんとおしゃべり

呼ばれた部屋で
女性のドクターとの問診が始まる

オージー感満載のドクターで
説明はとってもカジュアルだけど
その内容は、かなりシリアスだった

現時点でわかっていることは
子宮頸がん部分に異形成細胞があること

異形成細胞には数百種類あって
放っておくとそれが
子宮頸癌になる可能性があること

今日の精密検査では
どの種類の細胞なのかを確認するために
子宮頸がん部の細胞を採取すること

結果によって自然治癒をするか
手術をする必要があるかを判断すること


その後は
過去の病歴はないかとか
生理のペースはどうかとか
妊娠はしていないかとか
いろんな確認事項

その後はすぐ隣にある
ベットで細胞の採取

ナースのおばちゃんが
大丈夫?クラクラしてない?
よく頑張ったわ、もう終わりだからね

とめっちゃ励ましてくれたおかげで
無事細胞最終は終了した

ドクターの部屋を出て
手続きをして通訳さんと病院を出た


「検査結果に異常がありますね」
「下着脱いでベットで待っててください」
「癌の可能性があります」

ドクターに言われるがまま
淡々と検査を終えたけど
2時間の中で起こったことにしては
あまりにも突然のことすぎて

カフェに入るなり涙が止まらなくなった

不安
混乱
動揺
焦り
心配

そんなものが一気に押し寄せてきて
気持ちを整理することが出来ず
涙となって出てきた感じだった

とにかく誰かに話そうと思って
ダニに電話したけど仕事で繋がらない
母親もつながらず

午後から仕事の予定だったけど
今日は無理そうだと思って
上司に休みの電話をした

検査のことも話したら
そこでも涙が止まらなくなる

まだ癌だって決まったわけではないんだから
と励ましてくれたけど
この気持ちをどうにも治めることができなかった

そんな時にふと思い出したのが
一緒にコーチングを学んだ仲間で
産婦人科医をしている友人の存在

仕事中だったらどうしようと思いつつも
このままではバスにも乗れなさそうと思って
メッセージを送った

すぐに返信がきて
専門医の視点から色々とアドバイスをもらえて
なんとか心は落ち着いた

きちんとわかっている人から
日本語で話をしてもらう、聞いてもらうことが
これほど安心感を与えてくれるなんて
知らなかった

その友人に連絡ができなかったら
ずっとカフェで泣き続けていたと思うと
本当に本当に感謝しかない


そんな検査の日から2週間後
電話で結果が伝えられた

「手術が必要です」


「あぁ、そうですか」

嬉しいのか悲しいのかもわからない
なんとも感情に波のない反応だった


そのままドクターの説明が続いた

このまま放っておくと5年10年かけて
どんどん癌になるけど
今とっておけばそのリスクはほぼなくなる
妊娠への影響も極めて少ない手術で済む

「手術を受けますか」

「はい、お願いします」

断る理由もなかったから
手術を受けることに決めた

電話に出た時たまたま
ダニが自宅で仕事していて
手術のプロセスとか
リスクとかを私の代わりに質問してくれた


手術前日の夜
家族と一緒にディナーをした

いつもと変わらず
ご飯食べて大富豪して

ソワソワしているのは私だけかと思ったけど
家族もいつもとは違う心持ちだった気がする


PCR検査を受ける必要があるから
病院には5:30に来てくださいと
前日にメッセージが届く

ずいぶん早いな!
と思いつつ全然寝付けなかった

別途には10時ごろ入ったのに、
2時を回っても寝付けない

結局15分くらいしか寝られず
真っ暗な中、ダニの運転で病院へ

こんなご時世なので
患者は全員PCR検査が必須だった
検査自体は鼻に綿棒を軽く入れて終了

日も上がらない朝から
完全防具でひたすら検査をし続ける
医療従事者の方に対して
これほど心を込めたありがとうを
言ったのは初めてだった

この先の見えない状況で
今でも最前線で戦い続けていることに
心から感謝

PCRの結果が出るまでロビーで待機
ダニはゲームしてるし
いつも通りな感じで逆に安心した

検査の時と同じ通訳さんが来てくれて
さらに心も落ち着いた

手術の階に移動してダニとはお別れ

通訳さんと受付に進んだ
1人で受付するのはあまりにも心細すぎたから
通訳さんががいてくれたことに感謝した

着替えて、問診をして
ロビーでお待ちくださいと
暖かいブランケットをかけてもらって
ひたすら待機

ロビーにいろんな手術を控えている人たちが
同じ手術服と真っ赤な靴下履いて待機
その様子がなんともシュールだった

絶対私より重症だろうと思われる人もいて
私のは結構軽い手術なのかもしれないと
気持ちが楽になってきた

ほとんど寝ずにここまで来ちゃったのと
ほかほかのブランケットのおかげで
うたた寝までし始める

あまりにも緊張感がない自分に笑えてきて
いい感じに緊張感がほぐれたのを感じた

8:00すぎ、ようやく順番が来た
今日のドクターと最終確認

手術のプロセスを丁寧に話してくれたり
質問にも優しく答えてくれた

なによりも忘れられないのが
ドクターのブルーの瞳

目線を一切逸らすことなく
私の目を見て話をしてしてくれた

自分の命を預ける患者さんに対して
「安心してくださいね」
と目で伝えてくれているのが本当にわかった

そのおかげで緊張することなく
手術室に向かうことが出来た


手術室に入ったら一気に
現実に引き戻された気持ちになった

真っ白い壁とベットと周りにある機材たち
天井から伸びたアームに大きなライト
ドラマで見るような手術室

本当に手術するんだ、と今更実感が湧いた

一瞬緊張した私を解放したのが
手術室には似合わないAVAの音楽
私の好きな英語MAMMA MIAの曲が流れてきて
緊張がほぐれていった

さらに私の緊張を解いたのが
ナースのおばちゃん

たまたまだったのか
検査の時に担当してくれた時と同じおばちゃん

向こうは私のことは覚えてないだろうけど
私は覚えていた
だってあんなに励ましてくれたから

手術中も横でずっと話をしてくれて
私の気をそらしてくれていた
手術中にしてはしゃべりすぎじゃない??ってほど
話しかけてくれたけど
私にはそれくらいが丁度良かった

それでは始めますね、
まずは麻酔を打っていきますね

ついに手術が始まる
時計を見たら9:04

麻酔を打つとアドレナリンが出て
心拍が一気に上がるけどびっくりしないでね
とナースのおばちゃんに言われた瞬間

心臓が今までになかったほど
早く、大きく動き始めた

どんなにお酒飲みすぎても
こんなに心臓がバクバクしたことはない

目の前も一瞬ぼやけて
目を開けてると気持ち悪くなりそうだった

その間もナースのおばちゃんは
私に質問をし続けてくれて

日本のどこに住んでるの?と聞かれて
東京の近くだよ、と答えた
簡単な質問でよかった

1〜2分したら心臓も落ち着いて
おばちゃんとの会話も普通にできるようになる

下の方では歯医者さんみたいな
機械音がしているけど
局部麻酔のお陰で何にも痛みはなかった

はい、終わりましたよ

ドクターが声をかけてくれて
ゆっくりとベットから起き上がる

ナースのおばちゃんに
車椅子に乗せてもらってロビーに戻る

手術室を出たのは9:20ごろ
だった15程度で手術は終わった

コーヒーと紅茶どっちがいい?
サンドイッチもあるけどいる?

カフェかのような対応にびっくりしたけど
手術が無事終わったことが
ちょっとずつ実感できてきた

今後の確認をして、
書類書いたり、着替えたりして
なんだかんだ10時過ぎ

ここまでダニは4時間待機

レセプションの人から
「旦那さんから今電話があって
手術は終わったから
そろそろ出られるって伝えておいたよ」と

ダニも流石に心配になったらしい

車椅子で移動している人たちを横目に
スタスタ歩いて病棟を出た

エレベーターホールで
待ってるダニの手にオレンジのお花があって
安心感と終わったーって気持ちとで
一気に涙が溢れてきた

検査の時と同じ病院で出てきた2回目の涙は
検査した時に1人で流したものとは
全然違うものだった


検査の時にアドバイスをくれた医師の友人
手術を担当してくれたドクター
おしゃべりなナースのおばあちゃん
PCR検査をしてくれた方々
隣にいてくれた通訳さん
朝から付き添ってくれたダニ

いろんな人のおかげで
私の体は救われた
本当にありがとうございます

人生で初めて味わった、感謝の形でした

お花持って待っててくれたダニ
4時間ずっとゲームの雀魂してたらしい

最後に、お伝えたいことがあります
子宮頸がん検診に行ってください

私はたまたま5年に1度の検診で今回のことが発覚しました
痛みや出血もないのでこの検査がなかったら
気づくことは絶対になかったと思います

早期発見ができれば日帰りの
簡単な手術で済むケースがほとんどみたいです

妊娠に影響はないと言いますが、
妊娠中の手術はできないため
私の場合妊娠する前に発覚して、
手術を受けられて本当に良かったと思っています

手術が必要とわかったときは
私も不安でいっぱいでしたが
終わってからの安心に比べたら
検査でわかって本当にラッキーだったと思います

子宮頸がん検診だけでなく、
いろんな検診があると思います

自分だけは大丈夫と健康を過信せず
ぜひ検査に行ってください

今回のことがきっかけで
私も引き続き自分の身体や幸せな日々を守るために
できることをしようと思っています

今私と同じような境遇にある方
お話聞いてほしい方などいらしたら
Instagramからお気軽にメッセージください

@mina_tunjic

少しでもお力になれることがあれば幸いです

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