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12月8日という思い出の日

2018年12月8日
私たちはオーストラリアで
ウェディングパーティーをしていた

その4年後、2022年12月8日
父方の祖母が93歳で亡くなった

オーストラリアに移住した時から
家族の死に目には
きっと会えないことは覚悟していたし
90を超えた高齢でもあったから
穏やかな最後を過ごしてほしいと
願うばかりだった

私のおばあちゃんは
品のいい感じのおばあちゃんだった
趣味は社交ダンス
見るテレビは洋画や海外シリーズで
特にミスタービーンが好きだった
かけてたメガネは薄紫色のレンズで
髪も綺麗に染めて
身だしなみもきちんとした方だった

私のおばあちゃんは
緑内障で目が悪かった
視界の下半分くらいが見えなくて
物を落としたとき顔を下に傾けないと
足元が全然見えないと言っていた
でも、遠くから手を振ると
手を振替してくれてたから
視力はかなりよかったようだ

私のおばあちゃんは
ポッキーが大好きだった
ポッキーだけじゃなくて
チョコレート全般が好きだった
いつも野菜室に大量のチョコレートが
ストックされていた

私のおばあちゃんは
写真が嫌いだった
家族写真を撮る時も
「私はいいわよ」と言って
映りたがらないけど、
結局は真ん中に引っ張られて
どの写真にも写っていた

私のおばあちゃんは
細木数子先生の占いが好きだった
おばあちゃんも私も水星人マイナス
「あなたは運がいいわよ、
特にお金には一生困らない」
それが口癖だった

私のおばあちゃんは
すごく気前がよかった
週末に遊びに行ったとき
お皿洗いや食事の準備をするだけで
「今日はお手伝いしてくれてありがとう
お父さんには黙っておきなさい」
と言って1万円くれるような人だった

私のおばあちゃんは
週末は商店街で買い物をしていた
サザエさんみたいな買い物かごを持って
八百屋さんと、パン屋さんと、
お団子屋さんに必ず寄っていた
お団子屋さんのお嫁さんが
おばあちゃんと同じ女学校の後輩だった
といつも嬉しそうに話していた

私のおばあちゃんは
物をくれるのが好きだった
特に立派なフルーツをくれるのが好きで
おばあちゃんがくれる梨は
丸々としていて水々しくて美味しかった

私のおばあちゃんは
かぼちゃの煮付けが上手だった
1から作っていたのか
買ってきたものを煮直してたのか
今となってはわからないけど
甘くて、水分が全然なくて
チンしたのよりも冷たい方が
私は好きだった

私のおばあちゃんは
戦争を経験していた
学生時代は山形に疎開していて
戦後になって関東に戻ったと言っていた
10代後半に仕事を探していたときに
伊勢丹での仕事にスカウトされたことを
いつも自慢げに話していた

私のおばあちゃんは
恋愛結婚ではなかった
お見合い結婚して高井になったけど
本当は安井さんと結婚したかったらしい
私はなんとなく、高井でよかったと思ってる

私のおばあちゃんは
20年ほど前に旦那さんを亡くしている
糖尿病だったおじいちゃんは
74歳で亡くなった
厳しくて、怖そうなおじいちゃんだったけど
笑った時のギャップが可愛い感じの
白髪がよく似合うおじいちゃんだった
よく父親と囲碁を打っていた

そんなおじいちゃんが生きていた時
おばあちゃんにこう質問した
「生まれ変わっても
また僕と結婚してくれるかい?」
おばあちゃんは答えた
「やーよ」って
おばあちゃんはツンデレだった

私のおばあちゃんは
霊感が強かった
おじいちゃんが亡くなってから
家の中で人影が見えて
「誰かいるの?」と問いかけたら
「僕だよ」という声が返ってきた
その声はおじいちゃんの声だったらしい
私もそうであってほしいと願った

私のおばあちゃんは
大家族に恵まれた方だった
3人の息子、3人の義理娘
10人の孫と7人の曾孫
誕生日を覚えるのが大変で
居間の壁には誕生日カレンダーが
貼り付けられていた

私のおばあちゃんは
私の結婚式に来てくれた
杖をついていたけど
はっきりと記憶があるときに
出席できた最後の結婚式だったと思う
「ダニエルくん、三菜美をよろしくね」
と手を握って言ってくれた

私のおばあちゃんは
90を超えた頃、介護施設に入った
コロナでなかなか面会ができない中
帰国したときに1時間ほど会うことができた
私が孫だということは
きっとわからなかったと思うけど
「来てくれてありがとう、
若い人たちと話ができて嬉しいわ」
と何度も何度も言ってくれた
ダニエルのことを見るなり
「いい男ねー」と笑いまでとっていた
さすがだった


おばあちゃんへ
いつも朗らかで、余裕があって
自分を持っていて、凛としていて
家族や周りの人に恵まれて
ママがよくいう「徳の高い」おばあちゃん。
私もそういう歳の取り方をしたいなって
改めて思いました。

8月に帰ったときに
直接会うことができて、
本当に本当によかった。
目を見て話ができて、嬉しかった。

やっとおじいちゃんにも会えるね。
天国で私たちをどうか見守っていてください。

おばあちゃんの孫として
生まれて来れたことに感謝しています。
心からありがとう。

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