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初めてのローラースケート②:ひょうたん、重心移動

 前回の「初めてのローラースケート①:基本の滑り方」はこちら。

 今回は、

・ひょうたん

・片足へ重心移動してストローク

の2つについて。基礎中の基礎の滑り方だが、ある程度滑れるようになってきた人も侮るなかれ。ひょうたんには応用編もあるので参考にしてほしい。特に片足に重心移動するストロークは、かなり滑れるようになっている人でも重心が軸足の真上にきていないまま滑っていることが多いので、この滑り方を再確認してみよう。


【第三段階:少し滑れるようになってきたら】


■ひょうたん(シザーズ、スウィズル、バブル、レモン)滑りにチャレンジ

 前方にまっすぐ滑れるようになってきたら、ひょうたんにチャレンジしてみよう。この滑り方にはいろいろな呼び方があって、日本のスケート業界ではひょうたんと呼ばれることが多いと思う。私のいる国のアーティスティック・ローラースケート界隈では「シザーズ(はさみ)」と呼ばれている。アメリカでは、スウィズル(特にアイス業界)と呼ばれたり、アメリカのダービー系ではバブルやレモンなどと呼ぶ人もいるようだ。

1.膝を曲げて、地面に両足をつけたまま、つま先を逆ハの字 \ / に開きながら滑る。

2.ある程度足が開いたら(肩幅くらい)、今度はつま先をハの字にして閉じていきながら滑る。

3.1~2を繰り返す。ひょうたんやレモンの形に沿って滑っていくイメージで。

 これは、常に両足を地面につけたままなので、最も安定した滑り方だ。屋外のデコボコ道などで滑る場合には、初心者だけではなく上級者にも便利

 膝を曲げること、地面を見ないで前をまっすぐ見ることを忘れずに。

 超初心者向け!ローラースケートでスウィズル、前向き後ろ向きにひょうたん滑り|roller skate by MAKIKOのローラースケート教室

 今回も、MAKIKO先生の動画から。ひょうたんはこの動画が一番分かりやすいと思う。バックのひょうたんは、怖い人はまだ無理しなくてもOK。出来そうな人だけやってみよう。

↑ How to Do Scissors | Roller-Skate by Howcast

 ジプシー先生の動画。英語が分からなくても、動きを見るだけで理解できるような、シンプルで分かりやすい動画だ。


ー 初心者でもできる応用編 ー

↑ Lesson #5 - Roller Skating - Bubbles & Scissors by Dirty School of Skate

 ダーティ・デボラの動画。ひょうたんを少し発展させて、足を閉じる時に前後に持ってくる滑り方を教えてくれる。これをやると、少しグルービーな感じが出てかっこよくなってくる。

 そしてこれ、この動画では説明されていないが、実は屋外では一番お勧めな滑り方なのだ。足を前後にずらして重心を低くしながら後ろ足に重心をかけつつ前足の前輪&つま先には力をかけない滑り方は、デコボコ道では最も安全な滑り方だ。重心のある後ろ足がデコボコの衝撃を受ける時に、前足の後輪が支えになってバランスがとりやすくなるからだ。敷石のギャップなどを乗り越える時には、このデボラのような動きをしてから重心をさらに落とし、足を前後にして動きを止めたまま乗り越えると良い。

  屋外での滑り方はこちらも参照。

↑ How to do Bubbles on Roller Skates by Moxi Roller Skates

 Moxiを創設し、新しい今どきのローラースケート文化の中心人物となってきたエストロ・ジェンこと、ミッシェル・スタイラン(ダービー出身の人には、ダービーネームがある)。彼女もひょうたんを応用した動きを教えてくれる。ただし、本人も言っているように2:00から始まるバックのダンスの動きは、初心者にはちょっと難しいかもしれないので無理しないこと。

 2:18あたりから見せてくれる最後の「スプリット・パンプ」は片足のひょうたんのような動きで、リンクで特にすることがないけど音楽がまだ鳴っているのでなんとなく動きたい時、などによく使うらしい。簡単な動きなのに音楽に乗って動くことができて、なかなか便利そうだ。


■片足ひょうたん 

 ひょうたんの動きを応用すると、片足だけのひょうたんを推進力として使うこともできる。この動きはスウィズル・パンプ、片足のシザーズや片足ひょうたんとも呼ばれ、アウトサイドのエッジにのる感覚をつかんだり、フォア、バックともにクロスオーバーを習得していく前段階としてもお勧めな滑り方だ。初心者の間は、これを毎回練習メニューにいれて数をこなしておくと、体が感覚を覚えて次の段階に進みやすい。

 大きな円周上で、円の外側にある足だけをひょうたんの動きにしながら、推進力に(パンプ)して滑る。

↑ USFSA Basic Skills: 3B - Forward half swizzle pumps on a circle by Colleen McQuaid

 いつも簡潔で分かりやすいジェナ先生。アイススケートの動画だが、この動画がフォームなどを含めて一番良いと思う。アイスとローラーはスケート靴の下がブレードかウィールかの違いだけで、それ以外はほぼ同じことが多い。アイス業界は競技人口が多いため教室やリンクなどの数も圧倒的に多く、良い動画も揃っていて羨ましい。

 円の外側の手が前、内側の手が後ろに伸びて、体が円の中心を向いているのが分かるだろうか。クロスオーバーに移行していくためにも、この姿勢が大事だ。

↑ How to Turn Smoothly | Roller-Skate by Howcast

 ローラースケートバージョンは、ジプシー先生の動画から。ちゃんと軸足の上にまっすぐ重心をのせて、というのが分かりやすい。この人のフォームは上半身を前に屈めるやり方なので、アーティスティック以外のジャンルの人はこちらを真似ると良いかもしれない。ただし、この動画のように体をスクエアにする滑り方はお勧めしない。


 この動きを習得してからクロスオーバーに移行すると、軸足と重心の位置、円の外側の足を動かす、などの感覚がつかみやすい。クロスオーバーにチャレンジしてみたい人はこちらへ。



■重心移動しながらストローク

 逆ハの字で、スケートで滑るという感覚が分かるようになってきたら、今度は滑る時に重心移動して、順番に片足ずつ滑っていく。

 私が習い始めた頃は、コーチによく壁際に連れていかれた。

<壁練習>

1.スケート靴を履いて、片手で壁を支えにしながら両足で立つ(壁に対して直角に、横向きに)。

2.壁を片手で軽く触ってバランスを保ちながら片足で立つ。この時、ほうきの柄をイメージして、自分がほうきになったつもりで、まっすぐ片足に乗る(※壁は触るだけ。寄りかからないこと)。

3.そのほうきの柄をまっすぐ平行に移動させるイメージで、もう片方の足にまっすぐ乗る。

4.まっすぐ重心に乗ることを意識しながら、右、左、右、左、と体重移動の感覚をつかむ。

5.これができるようになってきたら、今度は軽く膝を曲げて同じように体重移動する練習をする。膝は必ずつま先の方向にまっすぐ曲げる。


 壁を支えにして重心移動の感覚がつかめたら、実際に滑ってみる。右、左、右、左と、ゆっくり進みながら、重心を移動させることを意識する。膝を曲げるのを忘れずに。下を見ないでまっすぐ進行方向を見ながら。

 さらにこの段階まできたら、重心移動をしながら滑り、片方の足に重心を乗せると同時にもう一方の足をプッシュ(後ろに蹴り出す)してみよう。プッシュする足は、足の内側の2輪(インサイド)に力を入れて、親指の付け根の骨のボールを最後に残すイメージで。プッシュする直前には、膝を曲げてからプッシュするとパワーが出る。

 これができるようになってくると、一つ一つのストロークが伸びて「滑っている」という感じが出てくるはずだ。

↑ Level Up Your Forward Skating NOW! - Roller Skating For Beginners by 
Skatie

 イギリスのケイティの動画。とてもシンプルで分かりやすく、基礎がちゃんとしている滑り方だ(プッシュはいいのに、フリーレッグがちょっと横に開き気味で気になる時もあるけど)。

 最初はこの滑りをお手本にして、重心移動しながら片足ずつ滑る練習をすると良いと思う。イギリスの緑が豊かな場所で滑っているのも、なんだか見ていて気持ちが良い。

 ここまできたら、徐々に片足に乗っている時間を少しずつ伸ばしてみよう。力強く無駄のないストロークで、1回のプッシュですーっと片足で滑りながら、フリーレッグをすぐ地面につかずにホールドしたままキープ。片足で滑る時間を伸ばすためには、重心移動がさらに大切になる。足の真上に膝がきて、足の真上におへそがのって、足の真上に鼻がのっているだろうか。まっすぐ足の上に重心を移動させよう。


【第四段階:滑れるようになってきたら】

 ある程度滑れるようになってきたら、この先どのジャンルの滑りを習得したいのか、改めて考える必要があると思う。きちんと教室で習ってもっと上達したい、と感じた時に、自分の通える範囲ではどんなレッスンが受けられるのか?というのも重要な要素だ。

 というのも、例えば前に進むという動き1つにしても、正しいストロークは実は滑るジャンルによってかなり方法が違うからだ。スピードスケートでは真横にプッシュし、ダービーは横寄りの後ろ、アーティスティックはほぼ後ろ、ホッケーでは真後ろにプッシュする。

 基本の姿勢(フォーム)も、もちろんジャンルによってかなり違う。アーティスティックは上体を真っすぐ保ち、ダービーは少し前屈み、スピードなら完全に上半身を折った状態で滑る。腕の付け方もそれぞれだ。

 詳細はこちらを参照。

 この先どうしよう……と迷っている人には、アーティスティックをお勧めしておく。まっすぐ前後に滑る、止まる、だけではないさまざまな滑りの基礎と高い技術が身につくし、見た目を重視する滑り方なので、ストリートで滑るにも踊るにも一番絵になる滑りが身につく。アメリカのミュージックビデオに出演しているような人たちも、アーティスティック出身が多い。

 

 次はエッジに乗ってみよう。



追記:スウィズル・パンプを応用編として追加した。

追記その2:ジプシーのターン動画がスウィズル・パンプの動きをしているのを見つけたので追加した。

追記その3:片足ひょうたんは次段階へ進むためのとても良い練習になるので、応用編ではなく独立させて一つの項目にした。


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