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初めてのローラースケート①:基本の滑り方

 子どもの頃に親にローラースケートを買ってもらったことはあるが、当時の思い出は「怖かった!」しかない。気持ちよく滑れるようになる前に、怖くて滑るのをやめてしまった。まぁ、我が家は丘のてっぺんで、どっちへ滑っても下り坂だったせいで、ローラースケートを覚えるには最悪の環境だったせいもあるが。

 それが、大人になってから滑り始めたら、楽しくて楽しくてやめられなくなってしまった。とはいえ、当初はまったくの初心者で、ちびっこたちに囲まれながらイチから滑り方を習った。

 ローラースケートは、どんな年齢から始めても楽しめるスポーツだ。これだけは断言できる。

 もちろん、世界選手権に出たい!と思うなら、できるだけ小さい頃から始めるべきだ。アイスのフィギュアスケートの世界では、小学生の間に数回転ジャンプまでできなければ、体が重くなってくる思春期以降に始めてももう無理だ、と言われているとか。ローラースケートも同じだとは思う。でも、趣味として滑るのが目的なら、年齢なんて関係ない。やってみたいな、と思った時が始めどきなのだ。


■ローラースケートのジャンル

 まずは、ローラースケートのジャンルの説明から。ローラースケートには、4輪(クワッド)のいわゆるローラースケートの他に、90年代から登場したインライン(商品名:ローラーブレード)がある。クワッドとインラインは、意外とハッキリとした線引きがあり、教えるコーチも違えば所属するスポーツ協会も違ってくる。同じレッスンでインラインの人もクワッドの人もいる……というような状況は少ないと思う。まずは、どちらのスポーツを選ぶのか決めよう。それによって、どちらの道へ進んでいくのか分かれていくことが多いと思う。もちろん、両方やりたい!というのもOKだが。

●アーティスティック・ローラースケート(ローラーフィギュア)

 アイスのフィギュアスケートのようなスポーツ。フィギュア(図形)、フリー、ダンス(アイスダンスに似ている)、団体、の競技がある。趣味としても始められるし、本格的に競技会に出ていくこともできる。

●スピード・スケーティング

 アイスのスピードスケートのようなスポーツ。

●ローラー・ホッケー

 ホッケーのローラースケート版。

●ローラーダービー

 「ローラーゲーム」という人気TV番組で、60年代後半から70年代に日本でローラースケートブームを起こした立役者。チームで戦う競技であり、仲間ができるのも魅力のひとつ。

●ローラーダンス

 アメリカを中心に発展していったローラーディスコで、音楽に合わせて独特のステップを踏みながら滑る動き。黒人文化とも強い結びつきがある。アメリカのローラーダンスにはリズム・スケーティングと呼ばれる踊りの要素の強いもの、そしてジャム・スケーティングと呼ばれている、ブレイクダンス的な動きを競いあうスタイルがあり、使用するスケート靴も分かれている。

●アグレッシブ・ローラースケート

 パーク・スケーティングとも呼ばれる。ランプと呼ばれる坂や、段差、手すり、バート(Vert=Vertical)と呼ばれるほぼ垂直な急斜面などでトリックを行う。

●インラインスケート

 インラインにも、アーティスティック、スピード、ホッケー、アグレッシブがある。クワッドにはないアルペントリックスラロームという競技もある。


【第一段階:準備】

■服装

 服装は、汗をかいても目立たなくて動きやすいものがお勧め。私の場合はジムに行くような服装で、夏はタンクトップに膝下レギンス、冬はTシャツかポロシャツにクロップ丈のレギンスで滑ることが多い。クロップ丈だと、ブーツにかからない長さなので使いやすい。アイススケート用の、ローラースケートブーツの踵の下までカバーするレギンスを使うこともある(←足が長く見えてめっちゃおススメ!)。

 レッスンではなく近所のローラースケート・サークルで滑る時は、もっと普段着に近い恰好をしている。

 男性なら基本は長ズボンにTシャツやポロシャツだろうか。

 男女ともに、最近は汗ジミができず、洗濯してもすぐ乾くような、さらっとしたスポーツ用のシャツやタンクトップが各スポーツブランドから出ているのでお勧めだ。滑っていても、普通のコットンのTシャツのような素材とは体感温度がかなり違って涼しい。

 練習場に到着するまでは、ジッパーで脱ぎ着のしやすいジャンパーやパーカーを着て、ウォームアップが終わってからジャンパーを脱ぐことが多い。最近、ユニクロのエアリズムUVカットメッシュパーカが気に入っている。

 そして私のようにアーティスティックのレッスンに出る人は、教室の方針をチェックしておくこと。

 例えば、うちのクラブは肌を出すことが禁止されていて、生足も厳禁だ。最初はあまりうるさく言われることもないが、クラブメンバーになると膝までかくれる服装(ズボンやレギンスなど)か、レオタードにタイツでなければ怒られるようになる。ジーンズもダメ。Tシャツに下品な絵や文字が描いてあったり、破れているものも禁止。うちはタンクトップで腕を出すのはOKされているが、お腹が出るものはアウトだ。また、ぶかぶかのトレーナーなども、ウォームアップ中は良いが、レッスン中は脱がないと体の線が見えないのでコーチによっては注意される。注意しないコーチだとしても、体の線が見えなければきちんとした指導ができないので、やはり上手くなりたいなら体の線を隠す洋服は着ない方が良い。


■プロテクター

 最初は転びやすい。コンクリやアスファルトの屋外ならプロテクターは必須だ。室内でも、私は怪我するのが嫌なので、あまり目立たないタイプのプロテクターをレギンスの下に使用している。

  プロテクターについてはこちらの過去記事を参照。

 

■ローラースケート靴の履き方

 まずは、靴の履き方から。

 貸し靴を利用する場合は靴下を必ず持参すること。ブーツタイプを履く場合はすねの靴ずれ防止にハイソックスがお勧め。

 貸し靴の場合は、途中までヒモを通してくれている状態のはずだ。その先の結び方はこちらの過去記事の真ん中あたりにある「■毎回ローラースケートを履く時の靴ひもの締め方」を参照。新品を購入した人は前半の穴の通し方から参照。


【第二段階:滑る、転ぶ、立つ、止まる】


■ペンギン歩きで移動

 靴が履けたら、まずはペンギン歩きをしてみよう。滑るのではなく、赤ちゃんのよちよち歩きというか、ペンギンのように左、右、左、右、と順番に踏み出してみる。滑るではなく、踏みしめるようなイメージで。どんなに滑れない人でも、これでなんとか移動することはできるようになるはずだ。

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■逆ハノ字(V字)で滑ってみよう

 ペンギン動きでなんとか滑りたい場所までたどり着くことが出来たら、いよいよ滑り出してみる。今度は逆ハの字 \ / で足踏みしてみよう。

 次に、足踏みのテンポ(間隔)を少し伸ばして(いち、に、いち、に → いーち、にー、いーち、にー)、ウィール(車輪)を滑らせることを意識してみる。すると、少しずつ滑っていく!やったー!という感じになるはずだ。

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■手は横に広げてやじろべえ

 手は、横に広げておくとやじろべえのようになってバランスが安定しやすい。真横ではなく、気持ちだけ少し前ぎみにしておく。その方が後ろに転びにくいし、姿も美しい。

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■膝を曲げる、膝を曲げる、膝を曲げる!

 とにかく、膝を曲げること。

 スケートは、膝が大切だ。膝を曲げることによってスケーティングの推進力のパワーを出したり、クッションとなって衝撃を吸収したりする。バランスも安定する。

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■下を見ない

 最初は、つい足元を見たくなってしまうものだ。でも、下を向くと転ぶので注意。人間の体は、自然と目線の方向に近付くようにできている。下を向けば、体が丸まり、重心の位置がずれて自然と転びやすい姿勢になる。

 滑る時は、下を見ないで常に進行方向をまっすぐ見ること。

 これについては、日本代表スピードスケーターでコーチもしているHiroquiさんのnoteがとても参考になるので要チェック。


■転びそうになったら

「あ、転びそう!」と思った時には、さっと膝を大きく曲げて姿勢を低くする。しゃがんでしまっても良い。そうするとバランスがとりやすくなって安定するから転びにくくなるし、転んでも床や地面に近くなってダメージが小さい。

 姿勢を低くすると同時に、両手を前に出して伸ばすとバランスがとりやすい。

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 余談だが、先日のオリンピックでスケートボードの選手が派手に転倒する場面を見た柔道の選手が、その受け身のうまさを褒めているのが話題になっていた。以前光GENJIの動画を見ていた時も、彼らの受け身が上手なので驚いた。初心者のうちはそこまでのスピードや高さで転倒することはないと思うが、もしアグレッシブなどに興味があるなら、受け身についてもググってみると良いと思う。


■立ち上がる

 転んでしまったら、立ち上がらなくてはならない。

1.座った状態から、まず片膝を立てる。

2.その膝を両手で支えながら立つ。

 この時、床や地面に手をついて立とうとしないこと。特に混んでいるリンクでは、手を床につくとその上を誰かに滑られてしまう可能性もあり、危ない。

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■止まる

 私が子どもの頃に「ローラースケート怖い」と思ってしまった一番の原因は、止まり方がわからなかったからだと思う。思い通りに止まれるようになるだけで、安心感がかなり違う。

 ローラースケートで止まるという動きは、実はかなり奥が深くて、上達に合わせてどんどん難しい止まり方を習得していくことができる。

 まず最初は簡単な、ゆっくりブレーキをかけていく「ハの字ストッププラウストップ)」か「片足のトウ・ストップ」を習得しよう。私の通っているクラブでは「片足のトウ・ストップ」を最初に習う。つま先についているトウストップを後ろで地面に引きずるような止まり方だ。詳細はこちらを参照。


■レッスンに参加しよう

 ローラースケートの上達に一番良いのは、どんなジャンルでも良いから、教室に通って良い先生に教えてもらうこと。私も週2日、アーティスティック・ローラースケートのレッスンに通っている。もし近くに教室があるのなら、滑りの基礎が一番身につくのはやはりアーティスティックの教室だと思うが、どんなジャンルの教室でも良いから、通いやすくて雰囲気の良い(自分と相性の良い)教室を見つけることが大切だ。

 レッスンに通うと、上達が早くなるだけではなく、自己流の変なクセもつかずにすむ。間違ったことをしていても、自分1人ではどうしても気づけないことも多い。本格的にやっていくつもりがなくても、最初の基礎だけでもいいからちゃんと教わっておくと良いと思う。

 ただ、どうせ教わるなら国のローラースポーツ協会で認可された指導免許を持っている先生にきちんと教わりたいものだ。協会に所属している先生たちは、高いスケート技術を持ち(元選手が多い)、指導についてもきちんとした講習を受けている。試合(地方大会、全国大会、アジア大会や世界大会)に生徒たちを出場させることもできる。

はじめに」でも書いたが、私の書いたものや動画は、あくまでもそんなレッスンの補助として使って頂けたら嬉しい。


■動画を見てみよう

 あくまでも動画はレッスンの補助として使うべき、というのを理解した上で、これから紹介する動画を見てほしい。

↑ 超初心者向け!ローラースケートの立ち方と前への滑り方|roller skate by MAKIKOのローラースケート教室

 ずっと「日本語で説明している良いローラースケート動画ってなかなかないよなぁ……」と思っていたところに、MAKIKOさんが登場!ポイントが整理されていてものすごく分かりやすく、かなりお勧め。MAKIKOさんはアーティスティック・ローラースケートで世界選手権出場経験もあり、インラインのインストラクター免許も持っているそう。

↑ How to Roller Skate for Beginners! Learn to stand, roll, fall, and stop! by That Nicole Fiore

 この動画のニコール・フィオーリは、アーティスティックの世界選手権優勝経験もあるアメリカの元選手で、指導者としての免許も持っているユーチューバーの1人。ローラースケートではなかなか投稿してくれる人がいない技術を解説した動画もアップしてくれる、頼もしい存在。

↑ HOW TO ROLLER SKATE! - Planet Roller Skate Ep.2 by INDY JAMMA JONES

 人気ローラースケート・ユーチューバー、アメリカのインディ・エマ・ジョーンズの動画。転びそうになった時に姿勢を低くする方法が分かりやすい。彼女の動画は、古臭いローラースケートのイメージがまったくない、いまどきのカリフォルニア女子の目線からとらえたローラースケート動画なので、見てるだけでも楽しい。

↑ How to Start Roller-Skating | Roller-Skate by Howcast

 いつも簡潔で分かりやすいジプシー先生。この方は元アメリカ代表のスピードスケート選手。NYの公園で教室をしていた頃の動画シリーズ。他の滑り方動画もとても良い。

↑ HOW TO ROLLER SKATE FOR BEGINNERS! The best beginner roller skating tutorial! by Queer Girl Straight Skates

 お洒落でかっこいいクイア・ガールのレベルが教えてくれる動画。転ぶ時は低い姿勢でスーパーマンのように手を前に出す「スーパースケーター」で、というのが分かりやすい。


 ローラースケートで風を切って滑る感覚は、もう何ものにも代えがたいくらい、気持ちがいい。そして、最初は出来なかったことが一つ一つできるようになっていく時の嬉しさ、達成感もたまらない。

 一人でも多くの人に、この楽しさ、広がれ~


その②へ続く。


追記:初心者が口を酸っぱくして言われる「下を見ない!」について。その理由をものすごく分かりやすく説明しているnote記事をHiroquiさんが書いていたので、該当箇所に追加した。Hiroquiさんのその他の記事もめっちゃおススメ。

追記その2:いらすとを追加した。


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