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私たちは1日にどれくらいカロリーを摂るべきなのか?

ダイエットや健康的な身体を維持するために気になる摂取カロリーですが、そもそも私たちは1日にどれくらいのカロリーを摂取すべきなのでしょうか?

1日に摂るべきカロリー数は?

日本においては厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」の中で、1日あたりの推定エネルギー必要量を定めています。

<推定エネルギー必要量>

「日本人の食事摂取基準」(2020年版)厚生労働省

出典:「日本人の食事摂取基準」(2020年版)厚生労働

当然ですが、エネルギー必要量は、性別・年齢などの人それぞれの基礎代謝量によって変わってきます。なので上記はあくまで目安です。そして、活動量によってもエネルギー消費量は変わりますので、上記の表では「身体活動レベル(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)」によって必要量が分けて設定されています。
<身体活動レベル>
・「Ⅰ」=活動量低い、自宅にいてほとんど外出しない人
・「Ⅱ」=活動量ふつう、自立している人
・「Ⅲ」=活動量高い

例えば、30代の男女では以下のようになります。
<例>
・30代男性でよく外出する:3050kcal
・30代男性で外出が少ない:2700kcal
・30代女性でよく外出する:2350kcal
・30代女性で外出が少ない:2050kcal

さて、ここまでは日本人の場合ですが、海外ではどうでしょうか?
アメリカ食品医薬品局(FDA・アメリカの厚生労働省にあたる政府機関)によると、個人によって多少変動はあるものの、およそ2000kcalが必要と示しています。日本に比べると大ざっぱな言い方ですね。
参考)食品表示ガイド「1日の栄養所要量」(FDA)

運動すれば多めに食べてもいい?

「今日はよく運動したから、カロリーを気にせずに好きなだけ食べていい」などと思いがちですが、運動はどれくらいカロリー消費しているのでしょうか?
一般成人の1日の消費カロリーの内訳は以下の通りです。
<1日の消費カロリー>
合計:2000kcalと想定した場合
<消費カロリーの内訳>
①基礎代謝:1200kcal(60%)
②熱産生:200kcal(10%)
③身体活動:600kcal(30%)

①基礎代謝とは、呼吸をしたり、心臓を動かしたりといった生きるために必要な動きです。
②熱産生とは、食事をした際に体内に吸収された栄養素の一部が体熱となって消費されるものです。
③身体活動ですが、その中でも実は運動による消費カロリーはわずかで、600kcalのほとんどは運動以外の日常動作で消費されます。
ですが、運動が不要だというわけではありません。適度な運動は必要です。
米国医師会雑誌に発表された研究によると、週に1~2回運動していれば、運動をまったくしていない人よりも死亡率が約30%低下、さらにがんによる死亡率は約20%、心血管疾患での死亡率は約40%低下することがわかっています。忙しい社会人でも、週に1回の運動から始めるべきです。

25%の人はカロリーを多く摂りすぎている?

上述したように、アメリカのFDAは1日の栄養所要量を2000kcalとしています。
しかし、驚くべき事実があります。なんとアメリカでは1人あたりの平均摂取カロリーは3600kcalなのです。また、アメリカでは成人の73%が肥満です。1980年から2000年にかけて1人あたりの摂取カロリーが3200kcalから4000kcalに増えたのです。

一方、日本ではどうでしょうか?
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、日本のエネルギー摂取量は、30代男性の平均が2081kcal、30代女性1673kcalとなっています。
アメリカとは異なり、平均値で見るとカロリーを摂りすぎているというわけではないようです。
では、日本ではどれくらいの割合の人が、カロリーを摂りすぎているのかを確認しようと調べましたが、カロリー摂取量の分布に関するデータはありませんでした。
ですが、肥満率の統計データがあるので、そちらから推測してみます。
日本の肥満率は、男性が28.6%、女性が20.6%です。特に40代男性は最も比率が高く、35.9%が肥満のようです。
肥満と分類される人=カロリーを摂りすぎてしまっている人と仮定すると、全体でおよそ25%の人がカロリー過剰ということになります。
ぜひ皆さんもご自身のカロリー摂取量を確認してみてください。

カロリーを摂りすぎるとどうなる?

カロリーを摂りすぎること=つまり摂取するエネルギー量が消費するエネルギー量を上回ってしまうことです。そうなると、消費されなかったエネルギーが体内で脂肪として蓄積されます。蓄積される=体脂肪として体重増加になるわけですが、悪い影響はさらに続きます。
体脂肪が増えると基礎代謝率が低下して、消費するエネルギーが減るのです。つまり体脂肪が増えると、さらに太りやすい体質になってしまうのです。

カロリーを摂りすぎないように始めること

<やるべきこと>
・現在の摂取カロリーを見える化する
・見える化結果によって改善すべき点と改善策を考える
・改善した食事量、栄養バランス摂取に変更する

現在の摂取カロリーを見える化するには、アプリが便利です。メニュー名や食事の写真を入れるだけで、おおよそのカロリー量や栄養素を知ることができます。
まずは見える化、記録することから始めてみましょう。

<摂取カロリーを見える化するツール>
あすけん
カロミル
FiNC
SOULA pie

もし自分がカロリーを摂りすぎているとわかったら、摂取量を減らす必要があります。摂取量を減らすのを簡単にできればいいのですが、なかなかできないのが現実です。以下は食事量を減らすために手助けになる方法です。

<食事量を減らすために手助けとなること>
・よく噛んでゆっくりと食べる
・睡眠不足を避ける
・運動をする
・痩せることや健康維持をモチベーションにする
・依存性を認識した上で乗り越える
・空腹を楽しむ

よく噛んでゆっくり食べると、食事をしている最中にホルモンが分泌されて、満腹中枢が刺激されて食欲を抑える効果があります。血糖値も上がりにくくなります。
また、睡眠不足の時には、脳内でカンナビノイドというホルモンが多くなり、食欲が増進されるということがわかっています。
動物性脂肪を習慣的に摂りすぎると、依存症になるとも言われています。普段脂っこいものを摂りすぎている人が、いざ減らそうとした時に、その人が依存症であった場合、どうしても脂っこいものを食べたいという欲求に駆られるかもしれません。しかし、それは依存症状なのだと自覚した上で、他のことに気を逸らすなどをして乗り越えるようにしましょう。

カロリー以外にも食事で気をつけるべきこと

ダイエットや健康維持のためには、食事のカロリー数=つまり「量」だけではなくて、それ以外にも気をつけるべき観点があります。「質」という観点で、栄養素のバランスに気をつけることは不可欠です。

<バランスに気をつけるべき栄養素>
・タンパク質(P)
・脂質(F)
・炭水化物(C)
・食塩
・ビタミン

特にタンパク質・脂質・炭水化物(PFC)は、三大栄養素としてご存知の方も多いと思います。それほど身体への影響が大きいということです。
3つの栄養素はどれも摂りすぎると悪い影響を及ぼす可能性があります。
タンパク質の摂りすぎは、腎機能に負担をかけ、がんのリスクが高まると言われています。
脂質は、特にマーガリンやショートニングなどに使われるトランス脂肪酸を摂りすぎると悪玉コレステロール値が上がり、心臓病のリスクが高まると言われています。
炭水化物の中でも、糖質を摂りすぎると体脂肪になり肥満になったり、高血糖、糖尿病になるリスクが高まります。
また、摂るカロリー数や特定の栄養素だけを闇雲に減らすことはよくありません。
PFCバランスや栄養素ごとの必要量も、厚生労働省の「食事摂取基準」で示されていますのでぜひ参考にしてください。
塩分は摂りすぎると高血圧になり、生活習慣病につながるといわれています。
先ほど紹介したアプリでは、カロリー以外の栄養素も計算できる機能がついています。

アプリを有効活用して、健康的な生活と美味しい食事を楽しみましょう!

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