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給料を上げるために、知っておいてほしいこと

4月になって、異動や昇格など、いろんな転機を迎えたことも多いのではないでしょうか。キャリアに不安を感じる人も増えて、春は転職活動をする人が増える時期でもあります。

今回は、就職活動や、キャリアを考えるうえで気になることのひとつ、給料を上げていく方法について解説します。ぜひ最後まで読んでください。

大手企業の賃上げ発表は僕たちの給料にどんな影響があるのか?

昨年あたりから、賃上げのニュースをよく見かけると思います。今年の1月、ファーストリテイリングが報酬水準の大幅な引き上げを発表して話題になりました。特に新入社員や、入社1~2年目の新人店長の給料を中心に引き上げるというニュースで、若い人にはポジティブに受け取られたと思います。

また、3月になってから、労使交渉(労働組合と企業との間で、毎年行われる給与水準に関する交渉)の結果、今年は続々とベア(ベースアップ)の報道が続いています。

多くの大手企業が賃上げに踏み切っている背景としては、昨今の原価高騰による物価高が挙げられています。実際みなさんも、食料品や日用雑貨を中心に値上げを感じているのではないでしょうか。ベアをする余裕がある大企業では、値上げによる売上増加の一部を社員に還元していると考えられます。

確かに「インフレでベアができる=市場競争力がある」企業といえます。しかし、値上げによる売上成長は実質的な事業成長とは限りません。実際、ベアによる昇給は、定期昇給分を除くと平均数パーセントに過ぎず、しかも毎年あるとも限りません。

また、ベアで給料が上がっているのは、ベアができる企業で働いていることのご褒美という意味には受け取れますが、自分自身の価値やパフォーマンスが認められて給料が上がっているわけではありません。そういう意味では、給料が上がっていることは喜ばしいことですが、だからといって今後も「自分のキャリアや給料」が安泰かというとそれは別問題です。

給料は「生涯賃金」で考える

ここで大事になってくる考え方は、キャリアにおいて給料が多いか少ないかは「生涯賃金」でみなければならない。ということです。

たとえば、日本における最低賃金の全国加重平均額は、この20年で50%も上がっています。つまり1.5倍です。

しかし、皆さんの給料がどんどん上がっている感じはするでしょうか?冒頭のファーストリテイリングの発表も、内容をよく読んでみれば、新入社員や若い世代の賃上げの発表と同時に、昇格基準を厳格にして、手当などを廃止することが発表されています。

昨今、日本企業にも「ジョブ型人事制度」が続々と導入されています。この制度では、社歴や年齢を重ねても、仕事や責任範囲のレベルが上がっていかなければ、給料は上がらない仕組みです。

ジョブ型人事制度は、今後も日本企業に導入されていく流れになります。なぜなら、事業成長していない企業において、社員の高齢化が止まらない現状では、これまでの「年齢や社歴」に応じて給料が上がる仕組みでは、人件費が重い負担になるからです。

つまり、日本企業においては、新入社員の給料や最低賃金は底上げされるものの、入社してからの給料が上がりにくくなる傾向にあります。一人ひとりが生涯にもらう給料の総額やボーナスの額を考えると、ベアによる昇給はほとんど大きな影響はありません。それよりも、昇格や、評価によって昇給を重ねていくことの方が、はるかに大きなインパクトがあるのです。

とくに生涯賃金において重要な退職金は、老後資金として期待している人も多いと思いますが、日本企業の定年退職金が多額なイメージがあるのは、定年退職時の高額な給料をベースに計算されるからです。しかし、定年時に必ずしも給料が高額になるとは限らない昨今の人事制度の場合、定年まで勤めたとしても、退職金はあまり上がらないかもしれません。

給料が上がるキャリアの選び方

日本において、会社がみなさんの人生を養ってくれる時代は終わりつつあります。国や企業の流れに乗っているだけだと、今後も働く時間は短くなり、自分の価値を高めるチャンスもなく、給料は上がらないままです。

かつては、銀行の定期預金のように、長期で自分という資産を預けていれば、40年間のうちにたくさん金利をつけてくれるので、安定した企業を選ぶことが生涯賃金を増やす一番賢い方法でした。

しかし、銀行の金利と同じで、現在の多くの日本企業には安定的に高い金利をつける体力は残っていません。これからは、自分に合った投資先(キャリア)を自分で選んでいく必要があります。

そのためには、まず「事業が成長している企業」を選ぶことが大切なポイントになります。インフレ時にベアをしていても、実際に事業が安定的に成長していなければ、今後の昇給は期待できません。合併や買収ではなく、その企業や業界がもつ事業の成長力をしっかり確認することが最初にやるべきことです。

それに加えて、キャリアを選択するためには、自分の価値をどのように上げていくかを自分で考えていかなくてはなりません。キャリアに関しては、自分が選ぶだけではなく、自分も選ばれる立場です。

そのためには、出来るだけ早期に自分の「専門性」を見つけることです。日本企業にはこれまでのジョブローテションの影響で、「いろんなことを経験した人」があふれています。しかし、それでは転職市場ではほとんど価値を持ちませんし、社内においても「替わりがきく人」になってしまいます。

これから価値をもつ人材は「専門性」がある人材です。「このことに関してはAさんが第一人者」という存在になれば、昇格するにしても、転職するにしても自分の価値が周囲に非常に伝わりやすくなります。これからは使い勝手の良い人よりも、希少価値のある人の方が優遇される時代になります。

専門性といっても、技術、研究職や、経理や法務、人事といった職種だけではなく、営業もひとつの専門性です。ただし、他社においても通用するような手法や知識を獲得することを意識してください。

強みをつくることにおいて、遅すぎるということはありませんが、それなりに時間がかかるので、早ければ早いほど有利です。

このGW、これからの皆さんのキャリアと未来についてぜひ少し考えてみてください。よい休暇を!

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