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ウィンドウショッピング・パラレルワールド(私の成功秘話)

しりとり式にテーマの言葉を連鎖させていく掌編小説。
テーマは、手数料 に続き 「ウィンドウショッピング」 です。

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「見て、あのワンちゃん。かわいい〜!」
当時住んでいた家の近所のペットショップ。
通りすがる人たちが、つぶらな瞳をした仔犬や仔猫たちを愛でる。しょっちゅうお気に入りの子を見に来ている人も見かける。
とはいえほとんどの人は、高級品の彼らを実際に買って帰ることはない。眺めて楽しむだけの、ウィンドウショッピングだ。
毎日のごはんの用意も、散歩も、糞尿の片付けもする必要はない。かわいさだけの、いいとこ取りである。
その要素を抽出したのが、犬カフェ・猫カフェになるのだろう。

「最近生まれた姪っ子が本当にかわいいの。親だと世話の大変なところももちろんいっぱいあるんだろうけどさ、姪っ子なら本当にただただかわいがってあげられるから」
ある日友人が私にそう話した。

だから思いついた。
じゃあ赤ちゃんもウィンドウショッピングできていいじゃないか。

親を失った赤ちゃんは世の中にたくさん存在している。
児童施設とかけあって、赤ちゃんカフェを開店した。
ガラス張りの空間に、たくさんの赤ちゃんたちが眠ったり、じゃれたり、遊んだりしている。
案の定、多くの人々が赤ちゃんたちを眺めに来た。
「かわいい」「私はあの子が好き」「あの、抱っこしてみてもいいですか」

おそるおそる赤ちゃんをなでる人、赤ちゃんを抱きながらお茶をする人、お気に入りの赤ちゃんをおもちゃであやす人、過ごし方は様々だ。

世話は引き受けきれないが可愛さに癒やされたいというニーズをメインに、まだ子供は持てないが赤ちゃんがほしいと思っているとか、生まれてくる前に本物の赤ちゃんに触れ合っておきたいといったニーズにも、このカフェは見事に合致した。

今では関東を中心に全国50店舗を運営している。
私たちは社員皆で500人の子どもたちの親をやっているようなものだ。
赤ちゃんの魅力は世界共通。来年には海外展開も予定している。

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次回は
ウィンドウショッピン → 「軍艦巻き」(んかんまき)です。
友人の、なしころもサクサク(@jupiter_00270)が担当します。

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