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好きなことがひとつでもあれば、人生はきっと上手くいく


十二国記をパラパラと読み返していた。

ぼくのいちばん好きなエピソード、「風の万里/黎明の空」を読み返していた。

ものがたりの主人公である慶国女王が、民のこころを鷲掴みにするさいごの一節を、何回も何回も読み返していた。


「好きなことがひとつでもあれば、人生はきっと上手くいく」

そう思ったのは、そんなときのことだった。



ぼくは本が好きだ。

本は、新しい知識を与えてくれる。本は、見たことのない景色を眺めさせてくれる。

ぼくのような一般人にはとても会えないようなひとに会うこともできる。すでにこの世を去ったひとにだって、ひざを突き合わせ、語り合う場を用意してくれる。

何より、本を読むのは楽しい。
楽しいから、ぼくは本を読むのが好きだ。


辛いことの最中にいるとき、本を読んでいる数時間後の自分を想像してみる。すると、あと少しがんばろうと思える。

目標達成のモチベーションが下がったときは、自分の大好きな本のコトバを思い浮かべると、自分を奮い立たすことができる。

そして、いざ本を読んでいるとき、それは文字通り至福のひとときで、自分にとってかけがえのない時間となる。

全てが善で埋め尽くされているとはお世辞にも言えないこの社会を、ときに残酷すぎるほどシビアな日常を、得体の知れない力で、そっと楽しいものに変えてくれる。

それが、ぼくにとっての本だ。そして、それがぼくたちにとっての好きなことなのではないだろうか。

ひとが生きることに意味なんてないのかもしれない。それでも、生まれてきて良かったなと、楽しい人生だなと思いたい。

そのことにできるだけ近づける効果的な方法。それが、「好きなことをもつ」ということなんじゃないだろうかと思ったのだ。

それさえあれば、人生捨てたもんじゃないと思える。どうしようもない日々もなんとか楽しく生きていける。

好きなこととは、ぼくたちにとってそういうものなんじゃないだろうかと。少なくとも、ぼくは好きなことができてから、日々はずいぶんと楽しくなった。そのことは、事実だから。


好きなものがひとつでもあれば、人生はきっと上手くいく。

大げさなクセに無責任な感じが、どこか釈然としない言い回しだけど、少なくとも、それぐらいの価値はあるんじゃないかなとぼくは思ってる。

好きなことは大切にしましょうね。

それでは、また。


我に缶ビールを。