まちづくりをする不動産屋さんになるまで⑮
「まちづくり」と「仕事」
今の立場で言うと
「ボランティア」と「ビジネス」
と言い換えられるのかもしれません。
ボランティアを増やすと、ビジネスがおろそかになり、ビジネスを増やすとボランティアができなくなります。
点と点が交わらない状態です。
しかし、あるときからボランティアがビジネスに生かされ、ビジネスがボランティアに生かされるようになりました。
「自治会活動」や「商工会」や「消防団」といった地域の活動により、吉川市の歴史を知り、魅力や可能性を発見しました。
埼玉県の中で見た吉川市はどうか、関東の中で見た吉川市はどうか、日本の中で見た吉川市はどうか、そして、世界の中で見た吉川市はどうか…このように考えることができました。
それは、「家を探している」というお客様にとっても有益な情報だったのです。住まいは「まちで選ぶ」という発想です。
「東南角地だから陽当たりが良くてよいですよ!」
「頑丈な建物なので100年は持ちますよ!」
「駅から近いからいいですよ!」
と、私の今まで出会ってきた不動産営業マンは「物件」の良さだけを語ります。まちのことと言えばせいぜい良くてもネットで出てくる情報のみ。
当然と言えば当然かもしれません。
その地域に住んでいなかったり、地域との関わりがなければ分かるわけありません。
でも、お客様からしたら住んでからがスタートです。「住んでみないと分からないよ」という営業マンもおりますが、一生に一回あるかないかの高額な買い物かもしれません。間違えることはできません。
「物件」だけが、条件の割には安くて良いというのがあれば確かにいいかもしれませんが、隣に変わった人が住んでいたり、地域でのトラブルが多かったり、これから衰退してしまう地域となると、長い目で見て果たして本当に良い物件と言えるのでしょうか?
私も昔は「住んでみないと分からないよなぁ」と内心思っていたことはありましたが、今は違います。
自分がその地域に住み、地域との関わりをもっていれば大抵のことはわかります。
お客様の希望を聞き、その希望ならこんなところはどうですか?と自信をもって提案できるようになりました。そして、住んでからの生活の実際のイメージを伝えることができるようになりました。
買い物はどこへ、休日はどんな風に過ごせるか、学校はどういうところか、地域のイベントや行事はこんなことがある、子育てのことならこの人に相談してみたらいい、おいしいお店はこんなにある、○○を買うならここがよい…といった暮らしを伝えられるようになりました。
さらに、暮らし方に不満があれば解決することもできるということに気がつきました。
このように交わることのない点と点だと思っていたことが線で繋がれていったのです。
これはボランティアがビジネスに生かされたケース。ビジネスがボランティアに生かされたケースもあります。
そして、それから発展していったのが、まさに今、手掛けている音楽カフェへとつながっていきます。
点から線へ。そして線から面へ。
つづく
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