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mina
2018年4月9日 22:43
始発の列車に乗り込み、数日間滞在したバンコクをあとにした。空がだんだんと明るくなり、ボックス席の隣と向かいでは、サリーをまとったご婦人グループがおしゃべりに花を咲かせ、車内販売のサンドイッチをつまんでいる。窓から吹き込むのは、初夏の風だ。 旅は、移動の記憶だ。遺跡が大好きだけれど、帰国してから日常のあらゆる瞬間に思い出すのは、移動の途中で出会った人ばかり。見かけただけの人を鮮明に憶えて
2017年7月17日 20:07
西武池袋線の窓に勢いよく流れる風景は、時間も超えていくようだ。所沢市、最寄り駅は小手指。そのエリアで私は9歳まで育った。家の窓からは、黄色い西武線が走るのが見え、夏には西武園の花火が見える。平らな住宅地だが、栗林や里芋畑、池のような水溜りのできる空き地がところどころにあり、外で遊んでいると、思いのほか遠くまで行ったものだ。 秋のおわりの夕方、友達と別れ7歳の私は一人、住宅地を抜けて、畑