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良い上司とは何か

前職のメンバーがこれからマネジメントにチャレンジするとのことで、
「どうしたら良い上司になれるのか」という今まで考えたこともなかった相談をもらい、しばし考えた。

これ多分、人によって、会社によって、あるいは時代によって捉え方は違うと思うので定義化するのは難しいが、自分がイチ上司として優れた部分だけを抜き取って(今日は悪いところには目を瞑る)考えてみる。


まず前提として、僕は何も秀でた専門スキルを持っていない。

これまで色んな仕事を経験させてもらったが、正直なところ人に自慢できるような専門スキルは何ひとつ持っていない。それは外的ではなく内的な要因で、その領域である程度の知識や経験が得られると「これでいいや」と深く追究することをやめてしまうのである。
小学校の頃から「テストは平均点以上であればいいや」と思ってきた延長が、今の社会人としての僕でもある。

なので、僕よりも遥かに専門知識を持ち、業務遂行能力が高いメンバーはたくさんいるし、今回相談してくれた前職のメンバーはその最たる例である。
彼女とは部の中期計画を立てる仕事などを一緒にやったが、アウトプットの質・スピードともに素晴らしく、とても助かったし、ただただ脱帽だった。

そんな、一見ポンコツ上司な僕でも、幸いなことに良い上司だと言ってもらえたことが何度かあります。それは何故なのか。


良い上司とは、良い触媒だと思う。

仕事とは、また組織とは、ヒトや技術など色んな資源どうしが化学反応し合うことで、新たな価値を創造することだと考えている。

その中で、良い上司とは、
化学反応を早めたり、高めたり、副産物を生み出したりする、いわば「触媒」に近い役割だと思う。

触媒とは:
化学反応の際に、それ自身は変化せず、他の物質の反応速度に影響する働きをする物質。

では、どうすればその化学反応を生みやすいのか。
自分が日頃心がけていることを書き留める。


(1) 必ず、僕自身の言葉で話す。

伝言ゲームのような、意思を持たない仕事のコミュニケーションが嫌いである。
「会社がこう決めたので」
「XXさんからこう言われたので」
みたいなやつ。魂がなく、やらされ感しかない仕事はうまくいかないし、往々にしてやる価値もない。

だから、まず僕自身が腑に落ちるまで考える。
咀嚼したり仮説立てたりして、組織やメンバーがどう捉えるべきかを考えてから、言葉にする。言葉は魂である。

会社の方針にしろ、トップダウンの案件にしろ、ボトムアップの案件にしろ、とにかく僕がそれをやる意味をきちんと考え、言葉にし、メンバーと議論する。自分たちなりの正解を追究する。
ゆえに自分の組織には、やらされ感のある理不尽な仕事は存在しないし、させない。
むしろみんな、価値や大義を持って取り組んでくれているように思う。
一見何の変哲もなさそうな仕事でも、考え方や表現の仕方次第で、ものすごく価値のある仕事に仕立てることができる。

僕がやっているSmart Cityの仕事も、実は裏の顔は、何の変哲もない仕事だったりする。ただ単にLINEのサービスを自治体や企業に導入しているだけの話なので。
でも、うちのメンバーはみんなそんな風には捉えていない。本当の価値を理解し共感し、大義を持って働いてくれている。
触媒になるって、そういうこと。


(2) 自由という名の責任を持つ。

もう一つ心がけていることは、組織成果と個人成長のバランスである。
短期的な成果ばかりを追求してメンバーが成長していなかったら意味がないし、逆にメンバーの成長ばかり意識して成果を上げていない状態もダメ。
僕の場合は、メンバー各個人に一定の自由を与えつつ、成果の担保に対して責任を持ち、ピンチになったときに手を差し伸べることを意識している。

自分自身の経験上、自分で考えて自分で行動しないと仕事は面白くないし、その中で失敗したり成功する経験を積まないと、なかなか成長できない。
だから、多少リスクがあったとしても一旦任せてみることが大事。

うまくいかなかったときには、例えば一緒に「なぜうまくいかなかったのか」「どうすればうまくいくのか」を考えたりするし、大事な交渉の場面では矢面にも立つ。当たり前だけどミスしちゃったときには謝罪もする。
丸投げにするわけではなく、きちんと最終的には成果につながるように伴走する。

※今はシニアマネージャーになり、これらの役割を各マネージャーが主体的にやってくれていて、とても助かっています。


結局は、メンバーや組織への愛。

上司といえど、人である。得意不得意があって当たり前。
メンバーもまた、人である。同上。

前述したようなノウハウ論も大事だけど、まずスタンスとして、
メンバーや彼らの持つスキルに対しリスペクトをすること。

そして、メンバーにだけでなく、組織に対しても愛を向けること。
あなたの組織のことは、あなたが一番考えるべきだと思う。


ツンデレな性格なので仕事上ではあまり表に出さないけれど、
今の組織のメンバーに対しても、前職の組織のメンバーに対しても、深い愛情があります。
僕の組織での仕事を通して、喜びや成長を得て欲しいなと思います。


ロンドンで頑張る逢ちゃん、
これからチャレンジするメンバーマネジメントが、良い成長の機会になることを心から願っています。
優秀なメンバーたちをリスペクトし、逢ちゃんが考えた言葉で真摯に接し、時には自由に任せ、ピンチのときに手を差し伸べれば良いと思う。
逢ちゃんなら、きっとできる。


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