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[NYUを卒業する今振り返る] 2年間で英語力はどのくらい向上したのか?

みなさん、こんにちは。2021年5月19日に私は修士学生として留学をしていたニューヨーク大学を卒業しました。本記事では、この2年間の留学生活を英語力という観点に絞って振り返っていきたいと思います。あくまで私個人の経験談なので、皆さんに当てはまるとは限らないのですが、留学を検討されている方の参考に少しでもなれば幸いです!

留学を検討する以前の英語力:TOEIC 790点

私の留学期間での英語力の改善についてお話する前に、まずは私の元々の英語力を少しお話したいと思います。私は、元々、いわゆる理系と呼ばれる人間で、数学や物理の勉強は好きな一方で、英語が大嫌いでした。もちろん、留学経験や英会話等を習った経験はありません。

そんな私でしたが、社会人として企業で勤務をしていく中で、有難いことに、海外の企業と英語を用いたコミュニケーションを必要とするプロジェクトに携わる経験や、英語を必要とするようなビジネスイベントに参加をする経験を積ませて頂きました。そして、そのような経験を通じて、これからどの分野において活躍するにしても、英語からは逃げれない、英語は必須のツールであると感じるようになり、TOEICの勉強に必死に取り組むようになりました。ちなみに、当時のTOEICはSpeakingとWriting形式はなかったため、ReadingとListeningに限って学習していました。結果的に、元々約600点からスタートしたTOEICでしたが、徐々にスコアをあげることができ、2015年5月に790点を取得しました。しかし、SpeakingとWritingの勉強は全くしていないので、多少読み・聞きはできるが、全く喋れないし、全く書けないというのが当時の状況です。

この期間で磨いた英語力を元に、私は2015年10月に楽天へ転職をし、元々いた環境よりはやや英語に触れる機会が多いような環境へと移りました。しかし、日常的に英語を話すような環境では全くなく、楽天入社後は大きく英語力が向上することはありませんでした。そのような中で、留学を決意し、2018年3月に留学を決意し、楽天を退職の上、留学に向けた約半年間の英語猛勉強期間へと突入しました。

留学直前の英語力:TOEFL 101点、TOEIC 920点

楽天を退社後、私は約半年間とにかくTOEFLのスコアを向上させるために狂ったように勉強をしました。毎日最低でも12時間以上の勉強を続けることで、2018年11月にTOEFLで100点を取得し、この点数を用いてニューヨーク大学を含めた大学受験に取り組みました。ちなみに、100点の内訳としては、
Reading: 27
Listening: 28
Speaking: 22
Writing: 23
という形で、SpeakingとWritingが全体の足を大きく引っ張っているのがわかるかと思います。それまでSpeakingとWritingは勉強をしたことがなかったため、この半年間でも結局どのように勉強をすれば良いのかわからず苦戦をしたのを覚えています。ちなみに、TOEFL猛勉強を終えた後で受けたTOEICでは920点を取ることができたため、この期間で、ReadingとListening力はかなり鍛えることができました。

確かにSpeakingとWritingの点数は低いものの、TOEFL100点というスコアはアメリカの多くのトップ大学に求められる基準を満たしている点数です。当時の私は、アメリカでもそれなりに英語ができるのではないか、もしくは少しネイティブと共に学ぶ経験をすれば、英語力は自ずとついてくるのではないか、という淡い期待を持っていました。

留学初期の英語力:予習すれば授業は聞ける、議論は無理

TOEFL100点で受験に取り組み、なんとか無事にニューヨーク大学から合格をもらうことができた私は、2019年9月にニューヨーク大学の修士プログラム(心理学専攻)に進学をしました。

まず、Listeningで28点をとっているにも関わらず、9月早々に始まった学内のオリエンテーション等で、教授や学生が発表する内容が50%程度しか理解できないことに焦りを覚えました。また、生徒間の会話も理解ができませんでした。そして、何よりも辛かったのは、自分の言いたいことが全く英語として頭に出てこない、また出てきたとしても発音が悪くなかなか聞き取ってもらえないということでした。例えば、日本人がRとLの発音の使い分けが下手だというのは有名な話だと思いますが、I like xxxと言いたい際のlikeという非常に簡単な単語ですら聞き取ってもらえないことがあり、当時の私は非常にショックを受けました。

そのようなオリエンテーション期間の経験を通じて危機感を覚えた私は、授業に本当についていけるのか強く不安を感じました。そのため、どの授業を受けるにも、事前に指定されたリーディングを時間をかけてしっかりと読み込み授業に望みました。また、最初の数回の授業は、どれだけ内容を聞き取れるか自信がなかったため、ボイスレコーダーのアプリを用いて授業を録音し、後で聞き取れなかった部分の復習にも取り組みました。そのようにしっかりと予習・復習をすれば、先生の講義自体は当時の英語力で、ほぼ理解をすることができました。

一方で、課題だったのは授業内でのディスカッションでした。講義は先生が元々ある教材に従った流れで話を進めてくれるため、何を話しているのかを非常に掴みやすいです。一方で、その場で新しい意見がどんどん飛び交うディスカッションでは、一度誰かの話している流れを見失うと、それ以降の議論に全くついていけなくなるということが頻繁に起きました。また、先生と違い、生徒は非常に早いペースで、またよりカジュアルで聞き慣れないような表現を使って話すことも多いため、話の内容を理解をすることが非常に困難でした。

また、議論の流れが掴めないため、そんな中で議論に参加をするというのは至難の技でした。また、頭の中で英語の構文を組み立てている間に議論がどんどん次の話題へ進んでいってしまうため、そのペースにもついていくことができず、全く議論に参加をすることができませんでした。

このような経験から、改めてTOEFL100点というのが授業についていくのに最低限必要な点数であり、実際にはさらに高い英語力が求められるのだということを留学初期から痛感しました。

1年の留学生活を終えた時の英語力:TOEFL 103点

そんな中、なんとか授業に必死に食らいつきながら約1年の留学生活を終えた2020年夏頃、私はアメリカの博士課程受験に向けて、再度TOEFLを受験することになりました。当時、授業や研究室での議論、また友人との会話等、英会話はまだまだ苦労をしてばかりでした。しかし、ペラペラではないものの、留学当初と比べると格段に喋れている自信がありました。またWritingに関しても、授業で何度もレポートを書いてきた経験から、以前よりは確実に力がついているだろうと自負していました。

そして2020年7月に受けたTOEFLの結果、合計点が98点、その内訳は
Reading: 26
Listening: 28
Speaking: 22
Writing: 22
でした。私は、これだけアメリカの現地でネイティブに揉まれながら英語を頑張っているのに、特にSpeakingとWritingのスコアが全く上がっていなかったことに心からショックを受けました。

きっとこれは何かテストの対策方法を間違えているのだと考え、私は再度3ヶ月間、SpeakingとWritingを中心にTOEFLの勉強に取り組みました。そして、2020年10月に受けた結果、合計点が103点、その内訳は
Reading: 29
Listening: 29
Speaking: 19
Writing: 26
でした。Writingに関しては、対策によってしっかりと実力を発揮できるようになり、スコアをあげることができたものの、Speakingに関してはやれどやれど全く伸びませんでした。むしろ点数が下がったというこの結果は流石に自身の体感とは異なっていたのですが、客観的に評価をされると約一年間留学をしても依然Speakingは非常に厳しいレベルであるということだと受け取りました。

確かに、他の3技能と比べ、日々の生活の中でもやはりSpeakingに苦戦することが最も多くありました。しかし、一方で、特に研究を進めていくためには、高いSpeaking能力で教授や研究室の他メンバーと議論に取り組んでいくことが必要不可欠なのです。私に限らず、周りでも日本人研究者がこの部分ができないがゆえに、自身の考えをうまく周りに伝えることができず、苦戦しているシーンを何度も見てきました。議論を理解し、良い考えを頭の中には持てているのに、それをうまく表現できないが故に周りからの理解を得ることができないというのは、本当にもどかしく悔しい経験だと思います。

そして私自身のSpeaking能力は、もちろんその後の留学経験を通じて徐々に改善をしたものの、2年間の留学生活を終えても、毎日課題の連続で、今でも英語で誰かと研究に関してミーティングをするのは非常に緊張をします。また、授業や研究室でのプレゼンテーションでは、原稿を全文作成し、ほぼ暗記するような形で望んでいるような状況は続いています。

2年間の留学だけではペラペラにはならない

結論、実際に約2年間、留学を経験してみて、Reading、Listening、Writingはある程度なんとかなるという印象を受けました。一方で、Speakingは本当に難しく、なかなか思うように喋れるようになりません。2年間で到達するレベルとしては、とりあえず必要最低限なコミュニケーションが取れるレベルだと感じており、そこから先、いかにわかりやすく話すか、適切なボキャブラリーを使うか、綺麗な発音で話すか等まだまだ課題が山積みです。

留学する前は、留学をしてしまえば、必然的に英語は喋れるようになると思っていたのですが、私の場合、現実はそんなに甘くありませんでした。特に高校生や大学生の時ではなく、社会人としてもう少し歳を重ねてからの留学では、特に英語力の向上が容易ではないのかもしれません。

日本人の英語力は他国と比べても低い (でも頑張る!!)

そして、問題は、これが日本人にとって特に問題だということです。私の周りのコミュニティの中で、やはり私も含め圧倒的に日本人の英語力の低さが目立つことをこの留学を通じて感じました。同じアジアでも中国、インド、また韓国人の留学生は私が出会った限り、みんな英語が非常に流暢でした。

もちろん、各国から留学にきている留学生は、それぞれの国の中でもエリートで、元々高い水準の教育を受けてきたため、みんな英語が喋れるのだという考えもあると思います。しかし、世界で活躍していくためにはそのような彼らと同じ土俵で戦い、彼ら以上の成果をあげていく必要があります。英語ができることはあくまで当たり前のことで、その先の勝負なのです。英語ができないことは言い訳にはならないし、英語ができないなら相手にされない、それが世界で戦う、そして活躍するということなのだと思います。そんな現実を受け止めながら、特にSpeakingに関しては、2年という短期間で考えるのではなく、まだまだこれから長く向き合っていくつもりで望まなければいけないように考えています。

日本人にとって、英語、特にSpeakingは永遠の課題。でも、この課題に対して、魔法のような解決策はないのだということが、この留学を通じて私が強く感じたことです。毎日のように英語を喋ることにストレスを感じ、間違った文法や、変なボキャブラリーを使ってしまうことに対する恥じらいを常に感じながらも、私たちはそれと戦っていかなければいけません。

しかし、その課題を乗り越えた先には、日本語だけでは見ることができない、本当の意味での世界への挑戦権が待っていると信じています。そんなことを思いながら、これからも引き続き英語と向き合っていきたいと思います!

今日は以上です。






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