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NYU大学院留学:初めての学期を終えて思うこと(Part2)

皆さん、こんにちは。ニューヨーク大学大学院留学の最初の学期を終えた振り返りPart2です。こちらの記事では、留学をして良かったと思う点をまとめていきたいと思います。Part1は以下のリンクからご覧ください。Part1では、留学を通じて得た課題感を中心にまとめています。


「世界は手の届くところにある」という感覚

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留学をして最も良かったと思うことは、この点に尽きます。私が日本にいる頃、勉強として論文や本を読み、遥か遠くの存在として認知をしていた人達が、同じ建物の中、もっと言えば、一つの教室の中で一緒に議論をしているのです。なぜそれ程までにこの感覚が大切だと思うのか、私の過去の経験を少しお話したいと思います。

私は、自分がどんな人に囲まれ、どんな環境で生活をするのかによって、人間は大きく変化すると思っています。それは小中高と必死で練習をしたホッケーから得た私の人生の教訓です。私は、小学校からホッケーを初め、特に中学校・高校では、勉強よりも何よりもとにかくホッケーに打ち込みました。朝から夜まで毎日練習、部活が終わってからも自宅周辺を走ったり、筋トレをしたりと、とにかく狂ったように自分の全てを投資していました。しかし、結果的には目標としていたような成果は中学校でも高校でもあげることができず、私の中で、私はいくら頑張っても無理なのだという人生最大の挫折を味わったことを覚えています。しかし同時に、これは本当に私の能力だけの問題だったのだろうかという疑問を抱きました。それは、全国で毎年良い成績をおさめるチームのメンバーは、例えスターティングメンバーでなくとも、他のチームではエースになれるほどの実力を持っていることに気づき、それは何故だろうと考えたことがきっかけでした。私は、投資した時間では絶対に負けていないし、運動能力だけでみても平均以上のレベルである自信がありました。それでも大きな差が生まれると言う点から、私の中で、彼らは個人の能力や努力だけでなく、それを最大限に活かすことができる監督やトレーニングの内容、またその中で高いレベルで刺激をし合う仲間に囲まれているからこそ、全体としての能力値が高いのだという結論に至りました。そこから、常に自分がどこに身を置くのかが重要だと考えてきたのです。

今回の留学でも私は同じことが言えると思っています。私の分野の研究をする場合、日本において、例えばNatureのような国際的に最も高レベルな学術誌に論文を出すことは正直なところ遥か遠く夢の話に聞こえました。しかし、実際にそのような実績を成し遂げている人たちに囲まれ、過ごしていると、それが夢でなくなるのです。具体的な目標になり、またその人たちを見ていることで自分に何が足りないのか、今何が必要なのかが明確になります。あとはひたすら走ることで、いつの間にかその環境に慣れ、自分もその中の一員として当たり前に生活をし、気づくと過去の自分では考えることができなかった域に自分がいます。この留学は、そんな世界レベルの環境に私が身を置く初めての挑戦でした。そして、その挑戦のお陰で、私の世界は遥かに広がり、今世界に手が届く環境に身を置くことができていると強く実感しています。まだ四ヶ月程度しか経っていませんが、そんな環境に飛び込むことができているというだけで、この留学には十分な価値があったなと思っています。

圧倒的に整備された教育環境

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さて、ここまで今いる環境から世界の最先端を感じているという話をしてきましたが、実際のアメリカの教育環境はどうなのでしょうか。私の印象としては、あらゆる方面で必要なものが揃っており、圧倒的に整備された教育環境だなと感じています。そのような環境を活かしながら、勉強をすることができているという点が留学をして良かったと思う点の二点目です。

まず、教育において印象的だったのは、学部の最初のオリエンテーションで、学部の代表の先生が次のように最初の挨拶で話されたことでした。

「このプログラムは、あなた達みんなが、自分が本当に何をしたくて、将来どのような道を歩んでいくのかそれを探索するためのものです。そして私たち教員や、その他の学生をサポートしている機関やメンバーは、全てあなた達がそのために使える資源です。この二年間を有効に使って、またここにある資源を有効に使って、自分の将来の道を切り拓いてください。」

私はこの話を聞いた際に、鳥肌が立ちました。それは、この人たちは学生の将来に本気で向き合ってくれる、これからの二年間を通じて、私は自分の将来をこのプログラムを通じて切り拓けるという確信を得たからです。その言葉を支えるように、学内には学生を支えるための様々なサポートが用意されています。

例えば、(日本では全く考えられなかった仕組みですが、)全学生に、担当のキャリアコンサルタント(自分の専攻分野の教授)が割り振られています。学生は、入学前にその先生に自分の興味分野や将来考えているキャリアを共有した上で、どのような授業を取っていくのが良いのか議論をする機会が与えられました。初めての留学で、かつ初めて学ぶ分野というチャレンジだった私にとって、この機会はとても貴重で、議論を通じて、自分の初期の計画を具体化していくことができました。その後も定期的にその先生に授業で直面している課題や、研究室選びについて等、本当に様々な面でサポートをしてもらっています。特にメンタル面でも不安定になりやすい留学生にとって、誰か話を聞いてくれる人がいるということは、とても心強いものだなと思います。

また、Writing centerという、英語でのWriting課題を支援してくれる機関が備えられていたことも、私にとって非常に心強い味方でした。私の取っていた授業では、二週目から早速論文を読んでその感想レポートを毎週まとめて提出をする必要があったのですが、これまで英語でレポートを書いた経験もない私は、どのように進めていけば良いのか、そもそもこんな書き方で合っているのか、大きな不安を抱いていました。しかし、学生はその機関を無料で利用することができ、そこでレポートの構成や文法のチェックをしてもらうことができます。そのようなサポートがあったお陰で、留学して間も無い頃から、レポートでの最高評価をなんとか維持しながらセメスターを終えることができました。

それ以外にも、把握し切れないほど様々な学生を支援する機関が存在しています。もちろんその分高いお金は払っているのですが、それに見合うような質の高い教育が提供されているというのは本当だなと感じています。

社会というものを初めてリアルに感じた経験

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最後に、社会について少し書いていきたいと思います。私はこの留学は、社会の仕組みを学ぶためのとても良い機会になっていると感じています。

例えばお金についてです。私は、これまでお金で本当に苦労をしたという経験がありませんでした。しかし、留学は全く別物でした。ざっくり二年間で1,500万程かかります(本当です)。この歳になって、初めて世の中お金によって、選択肢が制限されるのだということを肌で感じた経験でした。私の場合、ローン型の奨学金を駆使することで、なんとか目処が立っている(はずな)のですが、一般庶民の私からすると、無茶苦茶な金額だと今でも思っています。そのような経験を通じて、世の中お金で動いているものも多くあるのだということを痛感させられました。そして社会ってこれで良いのだっけ、という課題感を改めて持つことが出来ました。今までとは違う環境にいくことで、社会を別の視点から見ることができ、そこから得られる課題感はきっと将来の私にとって大きな財産になっていくのではないかと感じています。

また、国民としての権利の重要性を最近は強く感じています。留学生という立場は、visaの関係上、アメリカでできることに様々な制限がかかります。端的に言うと、基本的に勉強しかしてはいけません。そのため、日本で学生をするときのように、気軽にバイトをしたり、起業に挑戦したりといったことは簡単にはできません。その結果、留学生の視野というのは大学という特別な環境だけに留まることが多く、アメリカという社会に本当に出ていくという経験をすることは難しいです。そういう意味で、私が今自由に活動ができるのは日本だけであり、お金だけでなく、社会では場所にも大きな制限がかけられているのだということに気づきました(当たり前のことなのかもしれませんが、日本でそのような権利が当たり前の環境で過ごしている時には全く考えもしなかった視点でした)。このような課題感も、将来にうまく繋げていきたいなと考えています。

まとめ

以上、これまでの留学経験を通じて感じた良かったと思うことをまとめてみました。総じて、現地に飛び込んだことで、肌でたくさんの新しい情報や気づきを感じることができていることが貴重な経験だなと思っています。留学は本当に簡単なものではないと肌身を持って感じていますが、そこで得る経験はそれにも勝る価値があると思います。

留学仲間がとにかくもっと増えますように。残り3セメスターも頑張っていきたいと思います!

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