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アメリカ大学院:修士課程と博士課程は何が違うの?

皆さん、こんにちは。今日は、アメリカの大学院で実際に修士課程と博士課程に進学をした経験を踏まえて、私が思う両者の違いについてまとめていきたいと思います。私自身、実際にそれぞれのプログラムに入ってから驚いたような事実もたくさんあったので、アメリカ大学院の受験を検討されている方の参考になれば幸いです。

違い①:修士は高額授業料&生活費を支払う、博士は授業料無料&給料をもらえる

さて、まず一番大きな違いとしてあげられるのは、間違いなくお金に関してだと思います。以下の記事でも書いたように、私は、ニューヨーク大学の修士課程への2年間在学を通じて、高額な授業料や生活費等合わせ合計で約1,500万円程度を使いました。

とんでもない金額ですよね。アメリカでは、学部生も含めてとにかく授業料が高いです。そのため、まともに全額払うとこのような結果になります。

では、何が博士課程になると変わるのか?実はアメリカの博士課程では多くのプログラムが学費や諸経費を全て学部、もしくは所属をする研究室が負担をするのです。つまり、学生は授業料等を全く払いません。修士とは全く状況が違います。ただ、驚くべきはさらにこの先なのです。。。

アメリカの博士課程では、多くのプログラムで、stipend(スタイペンド?)と呼ばれる生活費補助を全学生に支給します。この金額は、その地域で最低限+αの生活ができるような金額で設定されているので、学生はその生活費補助を使って十分に生活をすることができます。言い換えると、この生活費補助は給料のようなものかもしれません。

もう少し具体的にお話をすると、私の所属をしているプログラムでは、毎月約2,800ドル(約30万円)が全博士学生に支給されています。確かにすごく贅沢な生活はできませんが、十分に生活ができる金額です。

このような仕組みが、世界各国から本当に優秀な学生がアメリカの博士課程に集ってくる理由の一つだと思います。

違い②:修士に比べて博士は学生の数が圧倒的に少ない

二つ目の大きな違いは、学生の数です。これは一つ目の違いとも関連をしています。修士課程のプログラムでは、大学は学生から高い授業料を受け取ることができるため、設備やサポートが行き届く限り、たくさんの学生を受け入れることができます。大学としてもたくさん学生を受け入れることができる方がたくさん収益を得ることができるためです。ちなみに、私が所属をしていたニューヨーク大学の修士課程プログラムでも、一学年あたり70-80名の学生が所属していたと思います。

一方で、博士課程では、大学が学生の授業料や生活費を負担するため、たくさんの学生を受け入れることができません。そのため学生数が圧倒的に少なくなります。私の現在所属しているプログラムでは、同じ学年の学生が私も含め5名しかいません。70-80名の学生がいた修士課程とは大きな違いですよね。ちなみに、多い年は10名弱が入学する年もあるようですが、少ないとしは2-3名ということも全然あるようです。

違い③:修士に比べて博士は圧倒的に狭き門

三つ目の違いは、受験における違いです。これは、一つ目、二つ目の違いから導かれる結果です。高額な授業料を設定して、たくさんの学生を受け入れる修士課程に比べ、諸々の負担が免除され、少数の学生しか受け入れられない博士課程はとにかく狭き門です。

この限られた枠をアメリカ人だけでなく、世界各国のトップクラスの学生が争う訳なので、受験の難易度が修士課程とは比べものになりません。修士の受験は簡単だという訳では決してないのですが、相対的に、博士の受験は修士の受験よりも非常に狭き門だと思います。

違い④:修士は学生、博士は研究者のたまご

最後の違いは、立ち位置の違いです。私は修士のプログラムに在籍をしている際は、あくまで授業を受けることが一番の仕事で、知識を吸収し、できるだけ多くを学ぶことがミッションでした。一方で、博士課程に進学をして、何度も教授から言われるのは、とにかく研究に割ける時間を増やすようにということです。アメリカの博士課程は通常5年程度卒業までにかかるのですが、その最初の2-3年は修士課程と同じように授業を履修する必要があります。ただ、その授業に集中するのではなくて、授業にかける時間をできるだけ最小限にして、できるだけ研究に時間を使って進捗を出すことが大切だと何度も言われました。

私の現在の指導者の先生からは、

良い博士学生は、授業で良い成績をとる学生じゃない。授業では、一番低い成績をとっても良いから、研究を進めて、論文として成果をたくさんあげることができた学生が良い博士学生だ。

と言われました。二つ目の違いで、アメリカの博士学生は給料をもらっているようなものだと書きましたが、まさにそのような印象で、学生として学んでいるというよりは、一研究者として雇われているような印象に近い気がします。

最後に

今日は、アメリカの修士課程と博士課程の違いについてまとめました。日本では、博士は修士の延長線上という印象があるかもしれませんが、アメリカでは、修士と博士は全く別物だと思います。本記事で紹介した内容が、皆さんの今後の受験の準備で何か参考になれば幸いです。

今日は以上です。

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