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『六人の嘘つきな大学生』朝倉秋成 書評#12

「面接なんて長くたって1時間かそこらです。そんな短時間で、相手の何がわかるっていうんですか。」

株式会社スピラリンクス元採用担当

今回は、朝倉秋成さんの小説『六人の嘘つきな大学生』を紹介します。

あらすじ

舞台は大人気SNS“スピラ”を運営する株式会社スピラリンクスの入社試験。5000人以上もの応募を勝ち抜いて最終選考に残った6人の大学生が今作の主な登場人物です。物語の前半は最終選考が終わるまでを描いており、主人公・波多野祥吾の視線で語られます。
最終選考はグループディスカッションの形で行われ、結果次第では6人全員に内定が出るという条件でした。6人は皆で協力して選考の準備に忙しくします。そんな中「内定者は6人の中から1人のみ」とするメールが届くのです。それこそが終わりの始まり、6人はそれぞれの嘘に惑わされながら内定を掴もうともがきます。

見どころ

何が嘘で、何が本当なのかわからない、次々に明かされる事実に惑わされ続けて一気に読んでしまいました。情報を出す順番がとても巧みで、物語が進むごとに登場人物の印象は二転三転していきます。6人の言葉や行動のどれを信じればいいのか、人間の本当の姿とは?と考えさせられました。

感じたこと

就職活動という特殊な状況の中では、皆が自分の良いところを拡大して話さざるを得ません。短い面接時間で決められた質問に用意してきた答えを語ります。それでも人の本当の姿を見分けられるのか?というのが大きなテーマになっていると思いました。
自分は人のどこを見てその人は信頼できると思うのか、どんな時に人を勝手に判断してしまうのか、自分の行動を省みてドキッとしました。
今年の秋に映画化される予定ということで、勝手にキャスト予想をしたいと思います!就活生を演じられそうな若い俳優さんたちにそれほど詳しくないのですが、独断と偏見で考えてみました。
主人公 波多野祥吾:細田佳央太さん
ヒロイン 嶌依織:清原果耶さん、または堀田真由さん
久賀蒼太:高橋文哉さん
袴田亮:眞栄田郷敦さん(?) ちょっと違うかも…
矢代つばさ:吉川愛さん、または生見愛瑠さん
森久保公彦:櫻井海音さん
どうでしょうか?皆さんの予想も教えていただけると嬉しいです。

まとめ

いろいろな仕掛けが隠されている名作でありながら、読みやすい物語にもなっているので就活を経験された方に、そうでない方にもおすすめです。

※ヘッダーはAomy.さんからお借りしました


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