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『プレデター』あさのあつこ 書評#10

「メディアもネットもこぞって、明るい未来を謳えば…そこそこ幸せなんだと納得してしまう」

今回は、あさのあつこさんの小説『プレデター』を紹介します。

あらすじ

舞台は2032年の日本。都市再開発計画の名のもとに首都がAからGまでの七つのゾーンに区切られ、格差社会化が進んでいる時代のお話です。主人公の明海和はWeb情報誌の記者として、格差社会のさらに外側で起こっていることについて取材しています。ゾーンの中で暮らす人々は自分の暮らしに満足していましたが、果たしてそれは本心からのものなのか、格差社会の格差からも零れ落ちた子供たちはどう生きていくことになるのか…真相に迫るにつれて、和の過去についても明らかになっていきます。

見どころ

今の日本と近い部分を出しながら、ディストピアでの生活を描いている作品です。人々はAゾーンとBゾーンに住んでいる富裕層と、CゾーンからEゾーンに住んでいる中間層と、FゾーンとGゾーンに住んでいる貧困層の3つに分かれていて、3つの区域の間に行き来はほとんどない、そんな世界の物語でした。しかもゾーンから外れた場所で生きている人々もいて、そうした人々は危険で物資も足りない中なんとか生活しています。
今の時代に大変な思いをしながら生活している人にこそ読んでほしいと思える作品でした。読みながら設定が入ってくるまでが早くて読みやすかったです。

感じたこと

私自身、「幸せを感じるために、現状に満足しよう」という考えを持っているので、今回の作品を読んでかなり考えさせられました。もちろんずっと不満を持ち続けるのはつらいですが、納得させられているだけなのではないか、また、満足できるような”現状”すらない人々のことを無視しているのではないか、と自分自身を振り返るきっかけになりました。

まとめ

ストリートチルドレンと呼ばれる子供たちは今も確かにいるので、自分はどうしたらいいのか、考えさせられました。単純にディストピアを楽しみたい方にもおすすめです。

※ヘッダーはディストピア専門店 TKnetworkさんからお借りしました


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