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『美しき凶器』東野圭吾 書評#7


「強くて、速くて…タランチュラのような娘だっていってたわ」

今回は、東野圭吾さんの小説『美しき凶器』を紹介します。

あらすじ

 世界的な記録を持つ元アスリート4人が、ある邸宅に侵入して研究者の男を殺害します。彼らの目的は、男が持つ過去の記録を葬り去ることでした。しかしそれが彼らの恐怖の始まりでした。やっと過去を消し去った、そう思ったのも束の間、研究者の遺した“凶器”に1人また1人と襲われていきます。その凶器の正体とは、そして4人の結末はどうなるのでしょうか。

見どころ

 最近の東野圭吾作品はもっと淡々としたミステリーのイメージがあるのですが、1992年に発行されたものの新装版ということもあり少し違った雰囲気の作品でした。正体不明の“凶器”に襲われる恐怖、逃げながらも大きくなる罪の意識、そういったものが鮮やかに描かれていて最後まで一気読みしてしまいました。30年以上前の作品なのに全く古くなく、楽しめました。

感じたこと

 アスリート4人が主な登場人物で、スポーツ界の闇のようなものがサブテーマのように感じました。目的を達成するため、栄誉を得るため、そこまでするのか?と思わせる表現もあり、驚きがあります。作品の中に出てくるドーピング方法が実際にあるかどうかはわかりませんが、作中のリアルな描写から、栄誉を得るために不正をしても罪の意識が残るだけだなと感じました。

まとめ

 予想を裏切り続ける美しき凶器の行動に、恐怖を覚えること間違いなしです。スポーツ経験のある方もそうでない方もきっと楽しめる作品です。

※ヘッダーはLuluさんからお借りしました。


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