詩「かたまりかけの部屋君」
歴史があった中で きみが倒壊した 時間が用意した釉薬は 真ん中で滲み出した そういう瞬間だった 笑う目尻が口角と混じり合っている 絵画とはそういうふうにできているのかもしれない きみは 毎日欠かさずに筆を入れてきた 入れる必要がないと誰もが思うところに 目を開いたり 閉じたり その中間だったりを保ちながら やっぱり必要がないと自らも 水鏡 そうやって歴史は崩しながらより強固になっていく きみの尻尾が伸びていったのは 砕けていった者たちが解き落とされそうになりながらしがみついていたから
きみは韜晦する 壊れかけるという方法で毎夜 わたしを笑いながら
奥がないものに ある と
欲がないものに ある と
ろくでもないもの きみ わたし
ここで出会うもの 迷う必要がないもの
釉薬は 歯型を沿って唇を溶かし固めていく
きみ?
あなた。
あなたの家のその陶器
キラッとしたとこ わたしの八重歯
歴史があった中で
ついに静かにわたしも倒壊した、
出口なし。
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