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ドイツの舞踏会に参加してきた

2月といえば、ヨーロッパでは舞踏会シーズン真っ盛り。
バレエやジャズダンスなどは踊っているけれど、社交ダンスは触れたことがないので、他人事のように感じていたことと、なんとなく敷居が高いイメージがあり、まさか自分が参加することになるとは全く予想していなかった。

が、音楽家の友人が当日演奏するので、一人招待枠があるという。
けれど予想外すぎて、もし良かったらご一緒に、という折角のお声掛けにも「イブニングドレスとか持ってないんだけど…大丈夫??」という腰の引けたお返事を返す始末。演奏者はきちんとした格好で演奏するの知っているし。
でも、舞踏会自体が数年ぶりの開催ということもあり、機会があるのだから、ちょっと覗いてみたい気もする。かなりする。
舞踏会のイメージといえば、やはりデビュタント。白いドレスのお嬢様方とそれをエスコートする殿方。
後は昔の小説や映画だったり、視覚的には宝塚とかミュージカル、バレエの舞台で見るような世界で、日本人!な私が参加できるのだろうか。いや、ご招待受けてるんだから、参加はできるんだけど。

そこで、過去の開催時の様子を調べてみた。
客席っぽいところを目を凝らして見てみると、思ったよりイブニングドレスに燕尾服、みたいなスタイルばかりではないらしい。カクテルドレスやシックなワンピースでもいけそう。それなら、私でもどうにかなるのではないか。Google先生、ありがとう。

持っているワンピースの中でも、カジュアルではなく綺麗目のものに、華やかなアクセサリーとか着けてみようか。
と考えていた中、たまたまセール時期ということもあり、お店を覗いたら、サイズの合うカクテルドレスが三分の一のお値段になってたので、思わず購入。
これなら舞踏会に来ていけるし、そのためにわざわざ購入する!と気合が入るほどのお値段でもないから、後ろめたくない(何に?)。

これで、準備万端。
当日は髪もアップにして、久々にハイヒールも履いて、まあこれなら大丈夫だろう。
意気揚々と会場に着き、友人の演奏を待つ。
開場前から入口には客が並んでいるけれど、演奏者の身内枠?で先に入場させていただけた。
開場とともに配られるシャンパンやアルコールフリーの飲み物のお盆を、開場直前にひっくり返してしまったウェイターさんがいて、クローク前がガラスの破片と液体だらけになってしまったのは、小ネタ。そして、そこでお掃除が入るまでにまた時間がかかるのがドイツネタ。

酔っぱらわないようにウェルカムシャンパンではなくオレンジジュース

開場すると、徐々にロビーにも人が増えてきて、その様子を見ているだけでも楽しい。比較的ご年配な方々が多いように見受けられるが、若い世代もそれなりにいる。
ファッションもさまざまで、普通に(?)イブニングドレスやカクテルドレスを着ている人たちの中に、気合の入った、あなた絶対踊りますよね?というデザインのドレスを着たご婦人などもいらして、本当に多種多様なスタイル。パンツスタイルの女性陣も結構見かけた。

チケットのカテゴリーごとに異なる色のアームバンド

十分に入場客の装いを堪能したところで、演奏の終わった友人たちが空腹を訴えていたので、お食事タイムに突入した(いきなり)。
一般で入場チケットを購入する際には、お食事用のバウチャーがランク毎に分かれた金額で付いていると思われるのだが、今回演奏した友人がバウチャーを持っていたため、またまたお裾分けでごちそうしていただくことに。本当にありがたいことです。
バウチャーには、1ユーロと0,50ユーロと書かれた小さなマスがたくさん、つまりバウチャーの金額分あって、購入金額のマスがつぶされていくというシステム。これならお金を扱わなくて済むので、混雑しなくてよさそう。バウチャーを持っていない人や、足りない人は専用カウンターでバウチャーを購入できるようになっていた。

私はまずHummersuppe(オマール海老のスープ)を注文!スープといえど、ドイツらしく量が多い!

比較対象がないのでわかりづらいですが、結構なボリュームのスープ

因みに写真を撮り忘れてしまったが、そのあとに頼んだカリーヴルスト(ソースとカレーパウダーのかかったソーセージ)、ちょっと後半足りなくなるんじゃない?という大盤振る舞いな盛り方で、私はかなりお腹一杯になってしまった。

お腹が満たされ(何のために来たのだ)、ちょっと落ち着いてきたところで、ホールを見に移動することに。
小さめのホールでは、ABBAとかのような曲が流れていて、ノリノリで踊っている人たちがいて、ちょっとびっくり。こういう曲も流すのか!
メインホールでは、入場客が踊っている真っ最中。
普段は市のオーケストラの舞台として使っている部分と客席をつぶしてホール状態にして、ダンスフロアを丸テーブルが囲んでいる。踊りたい方々はおそらくそのテーブルに席があり、曲がかかったらすぐにダンスフロアに出て行けるようになっている。
私たちは踊らない(踊れない)ので、後ろの方の傾斜のある席からホールを眺めていた。
これがまた面白くて、上手な人と、初心者ぽい人とがすぐわかる。上から見ていると、かなり混雑しているのだが、その中でも流れの中にスピードやアクセントが見られる組は、総じてお上手。そして、総白髪の方々が誰よりも優美に踊っていらしたり、おじいちゃまとお孫ちゃんのようなペアが踊っていらしたり、とにかくどこを見ても微笑ましい。
見ていると、だんだん踊りたくなってきた!

市のバレエ団が踊るバレエも二曲鑑賞。流石にこの床ではポアントで踊ってなかった。あの床は怖すぎるわ。クラシックではない作品からだったけれど、眼福。

プレス用なの写真撮影コーナーも。

後日、友人と話していたら、Abiball(アビバル)、アメリカとかでのPromのようなものだけれど、ギムナジウムの卒業試験に当たる(と言っていいかな)Abitur(アビトゥーア)終了後にある卒業パーティーも、昔は生徒が全員社交ダンスのレッスンに行くのが義務だったそう。
今はレッスンがないというので、じゃあどうやって踊るの?と聞いたら、ほぼクラブのようなものだそう。な、なるほど…。時代を感じる…。

今回は好奇心で覗きに行ったようなものだけれど、結果的に、思ったよりは割と気軽に楽しめる雰囲気だとわかっただけでも、楽しさが増したかも。
社交ダンスは全く経験もなく、今までやってきた踊りとはジャンルが違うけど、いつかは踊れるようになってみたいなあ。

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