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25時間の船旅 小笠原への旅①

不思議なことはいつだって境界の外側、すなわち"異界"でおきるものです。

禿内澄明

再び"さいはて"へ

竹芝 客船ターミナル

今から数年前
冬と春の間の時期、再び"さいはて"への旅を始めることにした。

きっかけはこの旅に出る半年前北海道のとある島に滞在したところまで遡る。

島で仲良くなったお姉さんにしきりに言われていたことがある。

「学生のうちに絶対、小笠原に行ったほうがいいよ!」

お姉さん以外にも、同じ宿に泊まっていた旅人たちが口々に小笠原は良い、絶対に一度は行くべきと言っていた。

あまりに気になったので北海道自転車縦断旅を終えてすぐ、小笠原について調べた。

なんでも島に至るまでのアクセス手段が船しかないらしい。
一般人が小笠原に行くには"おがさわら丸"と呼ばれるこの船に乗船するしかない。

そうした特殊な環境のため、一度船に乗船したら次に本州に帰ってこられるのは5日後となる。

確かに学生のうちに行かなければ。
何よりそんなに遠く離れた島の何が旅人をそこまで引き付けるのか。それを知りたかった。

そうして次の旅の目的地が決まったのだった。

Day1 第二宇宙速度

"境界" 竹芝桟橋

乗船日当日、出発地点である東京は竹芝桟橋に到着。

早めに到着したのでまだ人はまばら。
ちなみに前日の夜は不安すぎておなかを壊していた。

客船ターミナルから東京湾を眺める。
次、この景色を見られるのは2週間後ぐらいになる。

乗船間際。小笠原への旅人でにぎやかになる。
半年前、茨城の大洗から北海道苫小牧までのフェリーに乗船した時を思い出す。

この時の東京はまだ上着がないと寒かった。

乗船開始のアナウンスが流れる。
緊張とともにターミナルを出る。

目の前に見えるのが"おがさわら丸"

小笠原は世界遺産に登録されるほど自然環境が貴重。
しっかりと足の裏を掃除して乗船する。

いよいよ日常の外側へ

おがさわら丸

客室

乗船してすぐ客室に荷物を置く。
大洗→苫小牧のフェリーと同じく雑魚寝スタイルだが仕切りがあるため、少しばかりプライベートは保証されている。

船の中は結構広い。レストランやコンビニもある。

グッド・バイ

甲板に出ると多くの人。

乗船後しばらくして出発。
桟橋には見送りに多くの人が。

レインボーブリッジの下を通る。

しばらくは東京湾を航行。
首都圏民なので見慣れた景色が続く。
まだ日常の範疇だ。

ここから25時間の船旅が始まる。

"異界"の洗礼

それは唐突にやってきた。
東京湾を出てしばらく。

こっから25時間の船旅だぜ!!夜は大洋のど真ん中で星空観賞だ!!!
明かり一つない海の真ん中で見る夜空、人生史上最高の経験になるに違いない!!

そうワクワクしていた時、ふと違和感に気づく。

あれ?もしかして気持ち悪い?

気づいてしまったら最後、とんでもない吐き気に倒れこみそうになる。
湾内と外洋でここまで環境が違うとは。とにかく揺れる。

今までの人生でも乗り物酔いになったことは何回かある。
そのたびに乗り物から降りて気分を整えることで乗り切ってきた。

しかし今回は勝手が違う。
ふと腕時計を見る。
"次"陸地を踏めるのは20時間後

逃げ場などない船はその時から地獄の監獄と化したのだった。
(酔い止めは絶対持っていきましょう。)

甲板で力尽きる

Day2 一夜にして変わる世界

皆さんは朝、目を覚ましたら自分を取り巻く世界が一変していた。という経験をお持ちだろうか。

これから話すのはまぁそんな話だ。

地球は丸い

全く昨日は散々だった。

船酔いゾンビと化し少しでも揺れの弱いところに、と船内を彷徨った。

幸運にも八丈島近辺で電波が通じるようになったので急いで「船酔い 直し方」で検索。

揺れが少ないのは船の最上部、とのことだったので急いで甲板に出て最上部のデッキで横になることでこと無きを得た。

近くにいた外国人夫婦にめっちゃ変な目で見られた。(あの男、甲板で寝転んで何してるんだ?)

気を取り直して甲板へ。
一晩明けてだいぶ南のほうに来ているはずだ。

扉を開けるとそこには・・・

あれ?なんか違う?

甲板に出て最初にそう思った。

空と海の青さ、自分を取り巻く空気の感じ。
味覚以外の五感、その全てが昨日までとは別の世界に身を置いていると告げていた。
というかなんか暖かいんだが・・・。

船内コンビニみたいな

ワクワク大航海

そっからはもうすごかった。

船の近くに銀色の光線が走ってると思ったらそれは”トビウオ"だったり。
あれ"クジラ"じゃないか?と騒ぎになったり。

気分はもうドラえもん 南海大冒険 だ。

しばらくすると島影が
小笠原諸島を構成する無人島たち

無人島が見えてくるとゴールはもうすぐだ。
小笠原で人が住んでいるのは"父島"とそれより南の"母島"の二つ。

母島の南には硫黄島がある。

船の目的地は小笠原で一番栄えている父島だ。

潮 オロロンラインを走った時のことを思い出す。

”うさぎの穴"へ

左の岩がウェルカムロック(多分)

ウェルカムロックと言われる岩を過ぎる。
甲板には多くの乗客が。

父島で一番栄えている二見湾の港町が見えてくる。
町の名前は忘れた。

船が着岸するのを今か今かと待ち受ける。

いよいよ上陸だ。
この島で何が待っているのか。ワクワクが止まらない。

飛び込んだら戻れない。でももう止まれない行くしかねえ!!
港には多くの人が

船を降りると多くの人が出迎えに来ていた。
というかこの島にこんなにたくさんの人がいたのか・・・と驚く。

後から知ったが"おがさわら丸"の入港は島の人たちにとって大事なイベント?なのだ。

これから何が起きるのか。
期待を胸に待ち人を探した。

次回 

なんとか小笠原に降り立ったミニマム・亀岡。

地上の楽園、無人島、シーカヤック、愉快な仲間たち
一体そこで何を見たのか。


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