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壮行会

先日、ある役職以上の人たちが集められた壮行会が開かれた。参加者十人中、女性は私一人。弊社の女性管理職比率は5%だから、まあそんなものだ。話の中心人物は本部長。50代後半の彼が場を盛り上げようと話をしてくれるのは、男性社会で生き抜いてきた間に体験または見聞きした面白い昔話、それを皆でちびちびやりながら聞く。30年前と変わらないこと、変わったことを書いてみたい。

変わったこと。
1.食事に手をつける順番。以前は役職が上の人から順番だったのに対し、今回はあまり気にせず取りたい人から取っていた。
2.お酌。以前は若い人が年上の人に(役職が下の人が上の人に、どほぼ同意)にお酒をついでいたが、今はついだりつがれたりとお互いをケアしあっている雰囲気があった。
3.本部長の話に対し、ナンバーツーの立場の人が「それは今やったら完全にアウトですから」と10回くらい言っていたのが印象的だった。男同士の絆を強める場として機能している飲み会に、女性という異物がいることで本部長の話がホモソーシャルと気づいているので、ツッコミかフォローかわからないけれど、一応そのように発言しようとする圧力がかかるのだろう。

変わらないこと。
1.話題。昔、会社の合宿の余興で女性アスリートを演じ茶化したこと、ゴルフをしなければこれ以上昇進させないと昔の上司に言われ仕方なくゴルフを始めた逸話、お酒で無礼講の一線を超え上司に食ってかかって身を滅ぼした役員の話。どれもエンターテイメント性満載だけれど、長いことかけて作り上げられてきた男性中心社会・制度・ルールに従うほうが得だというメッセージで、チェンジしていきたいという話はない。
2.締めの一言。「昼夜問わず、あ、今の時代はそういっちゃ問題になっちゃうんだけど、一生懸命働いて頑張っていきましょう。」→頑張って働くことと長時間労働がセットになっている。

こうして見てみると興味深いのは、変わったことは本部長以外の人たちの言動、変わらないことは本部長の言動である。男同士で固まってワイワイし上司の話を聞くことで、それとなく女性を排除してきたんだなと改めて感じる。差別行為とは、ある基準を持ち込むことによってその集まりの人たちに同化圧力をかけ、別の人を見下す行為だ。今回の話題で語られた他人は、女性・ゴルフをしない人・会社の上下関係を逸脱した人だから、非常にわかりやすい。意識的かどうかは不明だが、男性中心社会で守ってきた領域を、引き続き男性たちだけで独占したいと言う意欲の表れだ。

他の人たちが、どんな話題に興味があるか、今度聞いてみようと思った。

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