【日記】台湾で読む日々 4.28, 4.29

4.28 Fri

朝から晴れ。新しい家は窓から山が見える。
山の名前を調べてみると、ありがたい感じの名前で、毎日見れることを嬉しく思う。
火曜に引っ越してきて、今日初めて山の頂上まで晴れ渡っている。台北は随分と曇りや雨が多く、気候だけでも充分に高雄との違いを感じる。
日本人の多い地区だから、日本語を聞いてドキッとなる頻度も高い。

引っ越しの準備、片付けに追われ、なかなか座って文を書くことも本を読むこともできなかった。今、やっと座って日記を開けた。

ひと息。
段ボールの中から再会した本たち


引っ越し前は、今の家が狭すぎて(というか前の家が広すぎて)どうなることかと思ったけれど、今ではもう心地良いサイズ感に思える。スーパーも近くていい。
引っ越すたびに思うことだけれど、1ヶ月も経てば私はすぐにその場に適応して、どこででも生きていけるのだ。

朝、4歳の登園時間が早くなった。7:15にバスが来る。
朝は苦手だけど、夫がいてくれて一緒にできるから大丈夫。
1人の時間は大切だけど、夫と2人の時間はやはりいい。

少しだけ本を読もう。村上春樹の『街と不確かな壁』を手に取る。


4.29 Sat

朝から快晴。久しぶりに窓からの朝日で目を覚ます。
そういえば今日は友人の誕生日だ。連絡をするのを忘れてしまった。

午前中、コストコへ。
地図で見ると随分遠く思えたけれど、電車で行ってみるとすぐだった。
冷蔵庫の中が空っぽで寂しかったので、満たせることが嬉しい。

これは昨日も書いたことだけれど、新しい家のサイズが割と心地いい。
子供のことも常に目が届くし、パッと片付けと掃除ができるのがいい。

昼食はコストコで買った鶏肉ロール。子どもたちもパクパク食べた。美味しい。こういう昼食もいいね、と夫が言ってくれた。
コストコは2週に一回くらい行くから、その時のルーティンを模索していきたい。

先日の一時帰国際に(たぶん)失くしてしまったヘアアイロンを求めてデパートに行ったが、第一希望の取り扱いはなく、第二希望のものを買う。
つまりそれは、(たぶん)失くしたものと同じもので、何をしているんだろうって落ち込んだ。

コストコへ向かう電車の中で、少しだけ又吉直樹の『第2図書係補佐』を開く。

又吉直樹『第2図書係補佐』

自分の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。本を読んだから思い出せたこと。本を読んだから思い付いたこと。本を読んだから救われたこと。

又吉直樹、『第2図書係補佐』、幻冬舎、P.5。

いい。とても。

ページを開く。するとそこに宇宙が現れる。どんどん活字が大きく濃く強くなっていき雑音が遠退き異世界が拡がる。動悸がする。
深く息を吸い込まなければと解っていながらも眼は文字を追い、もっとくれもっとくれと指はページをめくる。「今だ」と思う。「この瞬間だ」と思う。

又吉直樹、同上、p.18。

とにかく胸の辺りにモヤモヤとしたものが絶えずあって、これが無くなればいいのになぁ、と思う。だけど一向に無くならず、もう自分は駄目なんじゃないか?とか思っていて、誰にも相談なんか出来なくて、そんな時に古い小説を開いたら自分がいた。そこに自分と同じようにどうしようもない人間がいた。その人達は皆自分より年上だったから、まだまだ可能性はある分生きられる、と思った。

又吉直樹、同上、p.19。

少し先に、複数の初対面の人達と集まる機会がある。
自分が1番醜いのだろうという考えに急に取り憑かれて辛い。
この自意識とどうやって向き合っていけばいいのだろうか。

子供たちが夕方に眠って不機嫌。
夕飯はパプリカ入りの甘口カレーだ。

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