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台北で読む日々 2023.12.9

12.9
土曜日。
夫は休日出勤で留守。
私は子どもと3人で過ごす。
公園に行くはずが、昨日不注意で手に中くらいの怪我をしてしまって、なにに触れるのも痛い。
お出かけは勘弁してもらい、少し勉強を済ませると次から次へとオモチャを引っ張り出し、洗濯物をひっくり返し、築いた山の上でネットフリックスをダラダラと見ている子たち。
彼らを尻目に私はサボっていたコストコ購入品の仕分け作業などをする。

夕方、夫は大量のお土産と共に(台湾ではあるある)帰って来るなり、スーツから着替えたと思えば、子どもたちに「公園行こう!」と言い、私には「ちょっとゆっくりしてて」ということばもくれて、バタバタとまた出ていった。
遠慮なく私はnoteを書きはじめたのだった。
結婚するなら、体力がある人、そしてもし疲れていても不機嫌にならない人を選ぶといいと思う。まぁ私は真逆の人間なのだけれど。


『電車のなかで本を読む』を読む。
本を読むのに好きな場所は圧倒的に電車の中が1位。
特に冬が好きで、足元からでる暖房を足の裏で感じながら、駅で買った甘い珈琲なんかをたまに啜っての読書は格別。

 ぼくは毎日電車に乗って、会社へ通勤しています。所要時間は片道二五分ほどなのですが、その間は必ず本を開くようにしています。
 スマートフォンを見ず、眠ることも我慢して、本の世界に没頭する毎日。帰りの電車のなかでも、同じように本を読みます。

島田潤一郎、『電車のなかで本を読む』、p.5.

 高校時代は部活や勉強が忙しく、人生で一番本を読めない時期だった。通学時間がかかる場所で、電車とバスを乗り継いでいくものの、電車のなかで開くのは英単語帳くらい。一番の楽しみは、音楽だった。音楽だけは自由だったから。
新しいアルバムが出れば、友人に話けられることすら煩わしく、人になるべく会わないように登下校をした。
大学、そして通勤の時、電車に乗れば本を開いた。同時に音楽を聴いた。
大学も仕事も、電車で1時間ほどかけて通っていたから、往復2時間、今思うと癒しの時間だった。
 それがなくなってから、家で本は読み続けたけれど、音楽を聴くことが減った。
私は「電車のなかで本を読む」と同時に「電車のなかで音楽を聴く」だったのだ。

 先日台湾でELLEGARDENのライブに行った。まさに高校生の時聞き始め、熱狂したものの、一度もワンマンライブに行けなかったバンド。運命だと思った。チケットを取る時、手が震えた。間近で見、彼らの音を浴びた。最高だった。
“Music is the only thing I can believe in this fuck’in world.”
「音楽はこのクソな世界で俺が信じられる唯一もの」
的なことをMCで言っていたのも印象的だった。
そしてこの英語を聞き取れることが、電車の中、大好きな読書を封じて単語帳を開いていた自分を肯定してくれるような気がした。

 


台北の捷運(地下鉄)に乗って、ELLEGARDENを聴きながら川上弘美の『東京日記 卵一個ぶんのお祝い。』を開く。いつの間にか東京にいる気分。そう、乗り慣れた中央線に、山手線に。

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