ひと色展【短文】*夢の続き*
*イシノアサミさんのリクエストに応えて(リクエストじゃなかったと思いますが・笑)👆の夢の続きです
人形になってしまった夢をみた
マッチが売れなくて空腹で倒れて雪に埋もれて死にそうな私に
人形師のおじさんがアンパンをくれた
それを食べたわたしは人形になって
人形師の工房で目が覚めた
人形なので動けない、しゃべれない
寒くもないし空腹でもない。
でも目はぱっちり開いてきょろきょろと工房の中をみる
なぜか匂いは感じる。珈琲の良い匂い。小豆を煮る匂い。
空かないはずのお腹が空いて、ぐーっと鳴る。
振り向いた人形師のおじさんと目が合った
「ばかだねえ。どうしてにげたの」
だって。だって。
「助けてあげようと思ったのに。あのままだと警官に連れていかれたよ、寒くて暗い孤児院に。まずいスープと固いパンしかない孤児院に」
わたしの頭に固いパンとまずいスープと、人形師にもらって食べた美味しいアンパンが浮かぶ。アンパンのほうが断然いい。でも。
「でも人形になっちゃったじゃないの!」
あれ?大きな声が出た。
あれ?手も足も動く。
人形師のおじさんが笑っている。
なんだ、警官と嫌な孤児院から逃れるために
一時的に人形になるアンパンだったのか。
さすが夢だ。都合がいい。
珈琲を飲みながら人形師のおじさんがわたしに訊ねる。
「もう一つ、アンパンを食べるかい?それともお汁粉がいいかな?」
「両方!」
元気よく答えたところで目が覚めた。
今日はお汁粉を作って食べなくては…
*イシノアサミさんのひと色展コラボに参加させていただきました。イシノアサミさん、ありがとうございます。
*イエローオーカーから生まれた小品から生まれた続きの小品です。
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