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今日のごはんと本 波乱の新生児期 5/11(土)〜17(金)

夫と4歳児と新生児と暮らすなかで、食べたもの、読んだものの記録です。
* * *
産後2週め。
赤ちゃんはだんだんふっくらとしてきた。
一方わたしは体重が10キロ以上落ちた(とはいえまだまだもとの体重には戻ってない)。
授乳の消費エネルギーはただことではない。
赤ちゃん、ある異常があるかもと指摘を受けていたけれど、先週病院で再検査し、問題なしとわかる。
ほっとした矢先、今週も大変なことが。

5/11 土曜日 晴れのちくもり

夜間授乳、眠さのあまり、心のなかがギスギスとすさむ。
赤ちゃんはひたすらかわいい。
いらだちは、赤ちゃん以外の全方向へ発射される。
理不尽な怒りであるという自覚があるので、ぐっと呑み込む。
それもまた苦しくて、新たないらだちの燃料になってしまう。悪循環。

ほとんどの人がそうだろうと思うけど、眠いという状態が、心底嫌だ。
だから決めた。
夜間授乳を乗り越えたあかつきには、どんなときでも眠いと感じたら好きに眠れる、そんな生活を実現する。

朝ごはん
カップケーキ。
夫の手作り蒸しケーキ。
ふかふか。
プレーンとチョコ、どっちもおいしかった!

食後、眠すぎてベッドに赤ちゃんを連れて出戻る。
夫と子どもはお出かけ。

昼ごはん
とんこつラーメン。
袋麺のマルちゃん正麺とんこつ味に、刻んだキャベツと青ねぎをのせ、ねぎ油ラー油をかけて食べる。
ラーメンを作れるくらいには回復してきた。

おやつ
メロン、カップケーキ。
カットして冷やしておいたメロンを、ちょこちょこ食べる。
授乳しているためか、最近すごくのどが渇くので、いっそうおいしく感じる。
そのあとデカフェのコーヒーを淹れて、夫が残してくれていた朝食のカップケーキも食べた。

赤ちゃんがすやすや寝ている横で『忘却バッテリー』のアニメをノートPCで観る。
映像が美しい。
夫と子どもが帰宅したので、途中まで。
楽しみが増えた。

夜ごはん
メモし忘れ。
くたびれ果てている。

読んだ本
『「週4時間」だけ働く。』
合間あいまにちまちまと読む。


5/12 日曜日 雨

朝ごはん
トースト、メロン。

昼ごはん
たこ焼きパーティー!
2番めの弟家族が、赤ちゃんに会いにきてくれる。
弟の釣ったタコでたこ焼きパーティー。
ブリとマグロのお刺身やおやつも差し入れてくれる。
さらに夫がサラダを用意してくれる。
ありがたい。
赤ちゃん誕生をみんなにおいわいしてもらう。
赤ちゃん、たくさんの「かわいいね」と、よしよしを浴びる。

夜ごはん
鶏肉と野菜のトマト煮、もち麦入り白米、ニラ玉のおみそ汁。
昼間を食べすぎてお腹が空かず、少量ずつの夜ごはん。
おいしくて、ちょっとでも満ち足りる。

読んだ本
『私たちは繁殖している』
Kindle Unlimitedで発見し、未読の巻から読みはじめる。
20代の頃、文庫版をそろえて何度も読み返したなあ。
読むのは久しぶりだけど、内容は記憶にしみこんでいて、妊娠中よく思い出していた。
文庫化は途中の巻までしかされておらず、途中から読んでいなかったから、続きが読めてうれしい。
読みたい本が電子版で瞬時に手に入るなんて、すごい時代になった。

内田春菊さんのお子さんたちが生まれた頃の巻から読み込んでいるので、大きくなったお子さんたちとの暮らしのなかの、ちょっとした日常のエピソードでも感極まってしまう。
子どもたちへ向ける作者のまなざしの、フラットさとあたたかさ。
勝手ながら幸せを祈らずにいられない。


5/13 月曜日 晴れ

朝ごはん
トースト、目玉焼き。

昼ごはん
納豆ミートソースパスタ、ゆでスナップエンドウ。
夫の新作パスタ。
納豆入りのミートソース。
ミートソースと納豆、これが合う!
すごくおいしい!
納豆を刻んで炒めて、先に炒めておいたひき肉と炒め合わせ、ミートソースに仕上げるレシピとのこと。
パスタ世界一の料理人のかたの本を参考にしたそう。

これまで料理のジャンルごとに、師となる料理家さんを見つけてきた夫、パスタでも先生になってくれそうな人を探していて、今回参考にしたレシピ本を見つけたという。
わたしも読んでみたい。


おやつ
クッキーなど。
ファミリーパックのお菓子を数種類、夫セレクトで買ってきてもらい、授乳のお供にしている。
おかげで食べたことなかったお菓子をいろいろ食べられている。
小さな楽しみ。

夜ごはん
豚肉のしょうが焼き、キャベツのせん切り、鶏肉と野菜のトマト煮込み、もち麦入り白米、ニラ玉豆腐のおみそ汁。
赤ちゃんが泣き止まず、てんやわんやしながら夜ごはん。
しょうがやき、おいしかった!

赤ちゃんが泣くと自然に乳がこぼれだすので、常にタンクトップがびしょぬれ。
布製の母乳パッドを使いはじめているけど、すぐぐっしょりと濡れる。
自分がくさい……。

読んだ本
『私たちは繁殖している』
続きをえんえん読んでいく。
ずっと読んでいられるなあ。
面白いし、お子さんたちへの愛が深い。
夜間授乳の救い。

『幸せのセンサー』
吉本ばななさんの新刊!
電子とオーディオブックのみの出版だったのが、紙の本でも発売された。
読んでみると、なるほどこれは声で伝えるために整えられた文章なのだな、と納得。

慣例にとらわれない出版の形式に挑戦なさっていて、さすがだなと思う。
吉本ばななさんは、書き手としてずっとストリートにいたい、とおっしゃっている。
そのかっこいいスタンスを心から尊敬している。
自分のありたい姿でもある。

と同時に、こうして旧来どおり紙の本も出してもらえるのは、紙の本が好きな人間として、とてもありがたくてうれしい。
なにより新刊がうれしい!

帰宅してテレビでYouTubeを観る子どもにくっついて、のんびり読み進める。
癒しの時間。


5/14 火曜日 晴れ

赤ちゃん、理由がわからない大泣きがはじまる。
コリックというやつか。
お腹にガスがたまるのが原因、という説も前に見かけた。
だっこしたらおさまるのだけど、寝かせると泣き出す。

明け方まで、お互いなかなか眠れず、ふらふらに。
眠れないと心がすさむ。
ついに寝落ちしたわたしに代わり、夫が明け方から赤ちゃんのそばについて、ミルクを飲ませ、だっこであやしてくれた。

念のため赤ちゃんの熱をはかってみる。
平熱でほっとする。

朝ごはん
みそ焼きおにぎり、チーズ。

子どもに対して、ついイライラして、怖い声を出してしまう。
すべては寝不足のせい。
わたしは疲れやイライラがすぐ態度に出るタイプだ。
自分の体力と忍耐力のなさと至らなさを改善するより、寝たほうが早い。
まわりの大事な人たちを害する機会を、できる限り減らしたい。

というわけで、午前中は夫に赤ちゃんを任せ、たくさん寝た。

昼ごはん
ペペロンチーノ。
赤ちゃん、泣き止まずそばを離れられないため、夫が作ってくれたパスタを、ふたり交互に食べる。
パセリたっぷりでおいしかった!
夫は、改善の余地があるな、と言っていた。
ストイックな人だ。

午後には赤ちゃんも落ち着いてくる。
ちょこちょこ泣きはするけど。
一緒に昼寝した。

夕方、また泣き止まなくなる。
念のため赤ちゃんの熱をはかったら、38度を超えている。
今朝は平熱だったのに。
泣き止まないのは体調不良のせいだったのか。

救急にかかるべきか、市の窓口に電話相談。
3ヶ月未満の赤ちゃんは、38度以上の熱が出た場合、即受診が必要とのこと。
カーシェアで車を借り、みんなで救急センターへ向かう。

陽が沈みかけのマジックアワー。
広がる田畑、ゆるやかに流れる河、遠くに見える山、そして海。
窓から見える景色は冗談みたいにきれいだった。

入り口を間違えたりしながらも、病院に到着。
風邪の可能性が高いけど、念のため入院することに。
入院できる別の病院をさがしてもらい、また車で移動。

21時過ぎ、海のそばの大きな総合病院に到着。
赤ちゃんは取り急ぎ検査を受けることに。
結果が出るまで1時間弱と言われたので、夫と子どもは夕飯を買うため車でコンビニへ、わたしは病院の玄関口で待機。
わたしの両親に電話して応援を頼み、病院へ来てもらって子どもを実家で預かってもらうことに。

検査の間、ひとりパイプ椅子に座ってじっとしている。
赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。
きっと採血だ。
涙が止まらない。
大丈夫大丈夫大丈夫と小声で何度も言わずにいられない。
向かいの守衛室から笑い声が漏れている。
病院で働く方々にとっては、今夜も日常のなかのいつもの夜なんだと、当たり前のことが不思議に思える。
わたしが泣いてるのが見えたら和やかな雑談を台無しにしてしまうと思い、でも涙は止められなくて、顔を伏せている。
あとから振り返ってみると、妙な気の回し方だし、すっかり冷静さを失っていた。

夫と子どもが戻る前に、病室へ呼ばれる。
赤ちゃんをだっこして、採血の結果を待つ。
その間に授乳する。
赤ちゃんは点滴をしているので、だっこがむずかしい。
小さな手にぐるぐる巻かれた包帯はやわらかそうで、かわいいクマのテープで止められていた。

到着した祖父母に子どもを預けて、夫が病室に合流。
検査結果が出る。
とりあえず、コロナやRS、肺炎の症状はないとわかる。
ひとまず不安が少し減った。

ほかにも結果が出るのに時間のかかる検査があるため、念のためこのまま入院することに。
わたしも付き添えるとのこと。
ひとりにせずに済んで、本当によかった。

赤ちゃんと小児科の病室へ。
がらんとした個室。
コットと心音を見る機械、長机、棚とテレビと付き添い用の簡易ベッド。
ついこの間までいた産院の病室とは、当たり前ながらまるで違って、全体的に白っぽい。

夫は自宅へ車を走らせ、入院に必要なものをとってきてくれる。
待つ間、母に電話して子どもの様子をうかがうと、子どもは帰りたいと大泣きしていた。
胸がつぶれる。
事情は夫や祖父母が説明してくれていたけれど、わたしはばたばたして会えないまま別れたから、おやすみも言えなかった。

夫、荷物をわたしに届けてくれたあと、子どものいるわたしの実家へ。
短くハグをして見送る。

夜ごはん
ハムチーズレタスサンドイッチ。
夫が買ってきてくれたものを、寝る前にとりあえずお腹に入れた。
サンドイッチ、冷たかった。

読んだ本
『私たちは繁殖している』
昼間、赤ちゃんの横で読んでいた。
最新刊まで追いついた!
面白いし、子育てがますます楽しみになる。
新刊がもうすぐ出るそうなので、楽しみにしとこう。


5/15 水曜日 晴れ

夜の間、昨日の大泣きがうそのように、赤ちゃんはぐっすり眠っていた。
3時間おきに授乳。
鼻が詰まっているので、何度もむせる。
苦しそう。

モニターにつながる複数のコードと、点滴のチューブがからまり、授乳がむずかしい。
授乳クッションなどないので、コットの脇に椅子を寄せて座り、抱き方を試行錯誤しながら飲ませる。
おっことしそうで恐ろしい。
大丈夫大丈夫、と何度も声に出して自分に言い聞かす。
コードやチューブにからまって転倒しないようにと注意喚起があったので、慎重に体を動かす。
スリッポンにもなる靴を履いていたので、かかとを踏まないようとにかく気をつけた(かかとのない履き物は避けて、と注意喚起のなかに含まれていた)。

赤ちゃんが寝てくれて、わたしも、細切れではあるものの、しっかり眠る。
付き添い用の簡易ベッドは、体のタテヨコ、ギリギリのサイズ。
そしてものすごく固い。ほぼベンチ。
でも、泊まれるだけありがたい。
掛け布団は厚みがあって、寒かったから助かった。


おやつ
ポッキー。
夫の差し入れ。
夜間授乳の前に、眠気覚ましに一気に食べた。
こんなときでもポッキーはちゃんとおいしくて、わたしは大丈夫、落ち着いて看病できると思えた。

5時台に自然と目が覚める。
レースのカーテンを開くと、オーシャンビューが広がっている。
空はほとんど明るくなっているけど、水平線のきわが、ほのかに赤い。
タワーマンションやホテルなどが並ぶ浜辺の街並みは、都会的な美しさ。
その向こうに、奇妙なほどきれいな朝の海。
自分たちの身に起こる出来事と無関係に、地球は回っている。
巨大なものに包み込まれている感覚。
無力感と清々しさがないまぜになる。

降りかかるものから完全に逃れるすべは、生物にはない。
それでもできることをやる、勘を働かせ、判断して、手を動かす。
その余地があることが人間の希望。

7時、看護師さんが点滴の薬を入れにきてくれる。
熱をはかると、下がっていた!
ふっと気持ちが楽になる。
よかった。
本当によかった。
昨日の夜、病院の玄関で泣いていた自分に、大丈夫だよと教えてやりたい。

朝ごはん
たくあんとしそわかめのおにぎり、おにぎり弁当半分。
お腹がすいてきて、夫の差し入れのコンビニおにぎりを食べる。
そういえば、つわりの時期にコンビニのおにぎりを食べまくっていたら、途中から体が受け付けなくなり、それ以降食べていなかった。
今日はおいしく食べられた。
おにぎりとお惣菜のお弁当も、半分食べた。

おやつ
ポッキー。
夜中に食べたときと同じでおいしい。

昼ごはん
おにぎり弁当の残り。

赤ちゃんを見ていてもらい、院内のコンビニへ。
自由には出歩けないので、明日の昼ごはんの分まで買いまくる。
デカフェのカフェラテがあって、嬉々として購入。
あったかい飲み物、ありがたい。
手のささくれが目立ってきて、ビタミン不足の予感がしたので、キレートレモンも購入。
ビンを捨てる場所が部屋にはないから、コンビニの前で一気飲みした。

おやつ
大福。
コンビニにて購入。
おいしかったけど、ちょっと甘すぎた。
味覚、産前に戻っている。

夫、子どもを連れて面会にくる。
規則のため時間は15分、赤ちゃんには会わせられず。
サロンのようなスペースで、3人で少し過ごす。
子ども、保育園を休んで夫と遊べて、すっかりご機嫌。
よかった。
子どもをだっこして、頬にキスし合う。
この人たちが大好きだ。

夫と子どもを見送り、シャワー室を借りる。
東京でよく使っていた、銭湯にいくとき必要なものを詰めたポーチを、夫に頼んで持ってきてもらっていて、それがばっちり役に立った。
タオルもいるかなと思ってお願いしておいたら、やっぱり必要だった。
出産以外で入院した経験がないので勝手がわからなかったけど、いい判断だった。

おやつ
チョコチップスティックパン。
たくさん入っているお得なパン。

赤ちゃん、すやすやとよく眠る。
モニターにつながるコードが1本に減り、点滴のチューブをさばきながら授乳するコツもつかめてきた。
鼻づまりがひどいので、綿棒で鼻掃除をする。
夫に頼んで、面会の前に買ってきてもらったのだった。
鼻掃除もだんだん、コツがつかめてくる。
赤ちゃんのために手を動かしてやれることがあるうれしさ、ありがたさ。

夜ごはん
のり弁、レモンヨーグルト。
買っておいたコンビニのお弁当を冷たいまま食べる。
スプーンをもらいそびれ、ヨーグルトもおはしで食べた。
オイコスでよかった。とろとろのやわらかいヨーグルトだったら太刀打ちできなかった。

義務的にごはんを食べたあとは、夕焼けの海と街、だんだん夜になっていくのを、眺めながら過ごす。
今夜は、美しさがすっと胸に入ってきた。
日が落ち切ったら、黒々とした海がかすむほど、タワーやビルの光が際立った。

夜が深まるにつれさみしくなる。
赤ちゃんと一緒にはやく家に帰りたい。
病室のドアのすきまから漏れる、廊下の光に、少し慰められる。
ナースステーションがすぐ向かいにあって、夜中でも常に人の気配がする。
静かだけど途切れない、夜の病院の物音。

読んだ本
『幸せのセンサー』
昨夜、ベッド脇に積んでおいた本を夫にごそっと持ってきてもらっていた。
このタイミングで、きついときいつも力をくれた吉本ばななさんの、新刊がそばにあるのは小さな奇跡だ。
一冊の本がお守りみたいに思える。
大事に読んだ。


5/16 木曜日 くもりのち晴れ

おやつ
チョコチップスティックパン、さつまいもの蒸しパン。
夜間授乳のお供に。
小さなパンがいっぱい入ってるコンビニ商品、とても助かる。

赤ちゃん、鼻づまりが悪化して、機械で鼻水を吸引してもらう。
細いチューブを入れられると、赤ちゃんは嫌がって首を振り、鼻血を出した。
子の流す血の赤の鮮烈さ。
見ていられない。でも必死に目を逸らさずにいた。

ほんの少量の鼻血で、こんなにも胸がつぶれる。
世界中の、危機にある子どもと親たちのことを、想像せずにいられない。
彼らが抱えている痛みは、どれほどのものか。
わかりようもない。
この途方もないわかりようもなさを覚えておきたい。

鼻水がとれると呼吸が楽になったようで、赤ちゃんはすやすやと眠る。
かたいベッドで身を縮めて、わたしも寝た。
次に目が覚めたら5時過ぎで、外はすっかり明るかった。

朝ごはん
ゆで玉子、ソーセージパン、ココア。
今朝もコンビニごはん。
コンビニのごはんを食べる機会が長いことなかったので(おやつやコーヒーはしょっちゅう買うけど)、こんなに塩気が強かったんだなあ、と驚く。
保存のためなのかも。
鉄分入りのココアも飲んだ。
乳を出すため、栄養を取らなくちゃ。

赤ちゃんがすやと眠る。
あれから熱は上がらず、顔色もよく、すっかり気持ちが落ち着いた。

心に余裕ができたので、iPadでアニメの『忘却バッテリー』6話を鑑賞。
脚本も演出も、そして声優さんの演技も素晴らしくて泣く。
原作へのリスペクトと愛が、映像のなかにいきわたっている。
その愛に泣けた。
エピソードも、深く突き刺さった。

能力が足りないのにやめられない、というのは時として、才能の言い換えになる。
やめなくていいんだ、もうこのままいくんだと、受け入れるまでがまた苦しい。
わたしもどうにかやっていこうと思った。
色々あるけど、割り切れないことばかりだけど、とにかく、やれることをやる。

そんなことを感じながら観終わって、すぐ夫に、6話を観てくださいとLINEする。
夫婦ともに、今回スポットライトが当たった声優さんが好きなため(ほかの出演者の方々ももちろん好き)。
興味のあるジャンルがいつくも共通しているので、夫婦間の話題に事欠かないのは、ありがたいことだなと思う。

それから、鈴木亮平さんのインタビュー記事を読む。
『シティハンター』が見たくなる。
ネトフリまた登録しようかな。

鈴木亮平『シティーハンター』インタビュー。「令和の観客」に愛されるためにアップデートしたこと | CINRA

食料を調達しにコンビニへ。
部屋を出るときは看護師さんに赤ちゃんを見ていてもらうのだけど、昼前は忙しい時間帯とのことで、急いで行って戻る。
慌てて買い物をしたので、明日の朝ごはんを買い忘れた。
退院できると信じて、おやつでしのごう。

食べたい気持ちが行方不明で、食べ物を選ぶのが難しかった。
妊娠中こんこんと湧き出て尽きなかったあの食欲は、いったいどこへ。
きっとこの先、あんな強度の食欲を自分が持つことはないだろう。
心のままに食べまくっといて、本当によかった。

昼ごはん
ヒレカツサンド、ノンカフェインのカフェラテ、グリーンスムージー。
サンドイッチは、食べごたえを求めてカツサンドを選びがち。
なんとなくサラダを買う気にならなかったので、かわりにスムージーを飲む。

おやつ
クッキー、ミニロールケーキ。
持ち込んでたファミリーパックのおやつをちまちまと。


夜ごはん
竜田揚げ弁当。
赤ちゃんがすやすやと寝ているそばで、本を読みながらもそもそと食べる。
必ず温めてください、というラベルがはられていたけれど無視。
竜田揚げ、胃にずんとくる。
ほんとに消えたなあ、食欲。
入院付き添いという状況のせいもあるだろうけど。
窓の外は夕焼け。
今日もやたらと美しい空。


読んだ本
『ストマと猫とがんけんしん』
『私たちは繁殖している』に続き、内田春菊さん祭り。
このエッセイマンガの面白さは、どこからくるのか。
作者の観察眼と率直さ、絵の力からかなあ。
などと色々考える。

『やわらかい砂の上』
昨日、院内のコンビニで見つけて、ふと手に取ってみた本。井上荒野さんの帯文に惹かれて。
ここに来ていなければ出会わなかったな、と思って衝動買い。
丁寧で澄んだ文章。
ほっとした心地で読んでいく。

『みっしょん!!』2巻
1巻で感じたのは、自由の心地よさだった。
2巻で描かれるのは、自由に伴う痛み。
そして、まわりの人たちが無自覚に与えてくれる、思いがけない優しさ。
ぼろぼろと泣いた。

『トリリオンゲーム』最新刊
ずっとハイテンション。
マンガがうまい。ほんとにおもしろい。

『かわいすぎるひとよ!』2巻
タイトル通りかわいすぎる。
涙がじわっとずっと出てしまう。
セリフ以上にアクションと表情で物語を語っていてすごい。

『AV女優ちゃん』6巻
最終巻。
凄まじい。
筆致の冷静さ、怖いほど。
すごいマンガを読んだ。

Kindleで新刊マンガをあれこれ読んで、長い夜を越す。
時々、外から子どもの泣き声が聞こえてきて、胸がぎちぎちに痛んだ。
どうか無事で。
みんな無事で。


5/17 金曜日 晴れ

授乳の合間にうとうとして、はっと起きたら空がもう明るかった。
赤ちゃん、よく眠っていた。

朝ごはん
チョコチップスティックパン、さつまいも蒸しパン、ドライフルーツとナッツのヨーグルト、ゆで玉子。
残しておいたコンビニの食べ物いろいろで朝ごはんを済ます。

早朝、お医者さんが来て、採血。
カーテンを閉めて電気を消して。
赤ちゃんにとっては、暗い方がいいらしい。
針を刺され、赤ちゃん、大きな声で泣く。
こっちも涙がオートマティックにわきだす。
あの細くて柔らかい腕に、また針が。
目を閉じそうになるのを我慢して、名前を呼んで、声をかけ続ける。

1時間後に検査結果が出た。
問題なし。
無事、退院が決まる。
風邪だったみたいだ。
万が一、今回の血液検査であとあとなにか異常が判明したら、電話連絡するとのこと。
電話がないことをひたすらに願う。

11時前に、夫がレンタカーを借りて迎えに来てくれる。
赤ちゃんを抱っこしてもらい、荷物をわけあい、病室をあとにする。
お世話になりました。

一階の会計窓口へ。
救急の出入り口から入ったあとは、ほぼ病室にこもっていたので、エントランスをはじめて見た。
赤ちゃんの保険証と医療証はまだ届いてないので、一旦、全額自費で払う。
すごい金額になっており、ひっとなる。
青ざめつつカードを切る。
皆保険制度があって本当によかったし、子どもの医療費がかからない制度がある時代で本当によかった。

車に乗ったら一気に虚脱して、ぼーっとする。
今日も天気がいい。
空いた道をどんどん進み、いつもの海が見えてきて、ほっとした。
帰宅してすぐに、赤ちゃんと一緒に寝室へ。
ベッドに大の字で転がる。
マットレスは偉大だ。
そのまますこんと寝た。

昼ごはん
たらの塩麹蒸し香味野菜添え、しょうがと黒酢のたれ、もち麦入り白米、おみそ汁。
起きたら14時前。
夫がごはんを作ってくれる。
今日も心の師匠ウー・ウェンさんのレシピ。
しょうがと黒酢ベースのたれ、すごくすごくおいしい。
蒸したたらはやわらかくてあっさりしていて、白髪ねぎと大葉のせん切りとすごく合う。
おいしい、おいしい、と言いながら、あっという間に食べた。
ああ赤ちゃんと一緒に帰ってこられた、よかった、と改めて思った。

夕方、子どもが保育園から帰宅。
ぎゅっとだっこする。


夜ごはん
唐揚げ、納豆、もち麦入り白米、おみそ汁。

いつもと違う出来事が起きて、みんな疲れ果てている。
ごはんを食べて、とにかく寝る。


読んだ本
『やわらかい砂の上』
おだやかな気持ちで読み終える。
作者の他の小説も読んでみたい。

『生き延びるための事務』
予約していた本が届いていた。
原作を読んでいたので、内容がおもしろいことは知っていたけど、マンガとしてもすごく素敵だった。
筆致と言葉のリズムが心地いい。
YouTubeを観る子どもにくっつき、のんびりと読んでいく。
日常に戻れた。
日常って奇跡なんだな。