パパ、お誕生日おめでとう
夫が亡くなって、一ヶ月も経たないうちに、彼の誕生日を迎えました。私自身、その時は何かを祝う気持ちなど到底持てませんでした。「彼はもう歳をとらないじゃないか」という思いが頭をよぎり、祝うどころか、彼の不在に腹立たしささえ感じていました。
グリーフケアの本を読んでみると、こういった記念日に特に強く感情が揺れることを「記念日反応」というらしく、楽しい思い出のある日ほど、気持ちが沈みやすくなるのは自然なことだそうです。
ところが、そんな私とは対照的に、子どもたちは「パパの誕生日だね!ケーキを買いに行こう、お花も買おう!」と、例年と変わらない楽しそうな様子でした。
「でも、パパはもう歳をとらないんやん」と、ボソっとつぶやいた私に、子どもたちは驚いた様子もなく「え?パパは49歳になるんやで!だからロウソクは4と9だね」と、目を輝かせながら話していました。私の中では、夫はもう時が止まってしまったのに、子どもたちの心の中では、パパは生き続け、当たり前に歳を重ねていくんだと驚きました。
その日、3人でケーキを買いに行き、夜にはパパの49歳の誕生日を祝いました。心からお祝いできたかというと、正直なところ、そんな気持ちにはなれませんでした。ケーキの味なんてどうでもいいという感情でした。そして、やってよかったか?と聞かれたら、答えは分かりません。あの時の私には、これが楽しいことなのか、楽しくないことなのか、判断する感覚もなかったんです。
ただ、ひとつ感じたのは、子どもたちにとっては、毎年パパの誕生日を祝うことは当たり前だということ、「Happy Birthday 〜🎵」と歌ったこの時間が大切な「家族のひととき」だったのだろうということ。
「亡くなった人が心の中で生き続けている」とは、こういうことなのかな?とふんわり感じました。
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