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100まで数える。 【føroyskt #3】

前回の投稿からかなり日が経ってますが,三日坊主ではありません。最近卒論関係で本当に忙しいのです…

■フェロー語の命数法

どの言語にもたいがい特有の命数法(数の数え方の規則)がある。

日本語や中国語などでは,桁の大きい方から数字・桁・数字・桁の順に読んで,4桁ごとに大きな区切り(万,億,兆…)がある。英語もおおむね同じように桁の大きい方から順に読んでいくが,大きな区切りは3桁ごと (thousand, million, billion…) にやってくる。ドイツ語にも3桁ずつの区切りがあるが,それぞれの区切りの中では一の位を先に,十の位を後に読む。

たかが数字,されど数字。新しい言語を学習するなら,文法と同様に命数法も地道に覚える必要がある。


1, 2, 3だけは語形変化する

数字の1, 2, 3は,数える対象の性別と格によって語形変化する。主格の場合は 男 / 女 / 中 の順に以下の通り。

$$
\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{r|l:l:l}1 &\rm ein&\rm ein&\rm eitt\\2&\rm tveir&\rm tvær&\rm tvey\\3&\rm tríggir&\rm tríggjar&\rm trý\end{array}
$$

つまり男性2人なら "tveir menn",女性2人なら "tvær konur",子供2人なら "tvey børn" という具合。特に "1" の語形変化は不定冠詞と同じなので覚えやすい。

単に数字を読み上げるだけであれば中性 eitt, tvey, trý を使う。


0,4から20まで

0と4〜20は不変化詞,つまりどんな場合でも語形変化しない単語である。

$$
\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{r|l}0&\rm null \\⁝&⁝\\⁝&⁝\\4&\rm\rm fýra\\5&\rm fimm\\6&\rm seks\\7&\rm sjey\\8&\rm átta\\9&\rm níggju\\10&\rm tíggju\end{array}\qquad\begin{array}{r|l}11&\rm ellivu \\12&\rm\rm tólv\\13&\rm trettan\\14&\rm fjúrtan\\15&\rm fimtan\\16&\rm sekstan\\17&\rm seytjan\\18&\rm átjan\\19&\rm nítjan\\20&\rm tjúgu\end{array}
$$


21から100まで

21以降の2桁の数字は,一の位を先に,十の位を後に読む。これはドイツ語などと同じ読み方。

一の位の1, 2, 3は,ラジオ放送などのフォーマルな場面では性別と格によって語形変化することが多いが,それ以外では一般的に以下のような不変化形が使われる。その場合,一の位の1には eitt でなく ein を使うことに注意。

$$
\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{r|ll} 21&\textrm{ein og tjúgu}&=1+20\\22&\textrm{tvey og tjúgu}&=2+20\\23&\textrm{trý og tjúgu}&=3+20\\24&\textrm{fýra og tjúgu}&=4+20\\⁝&\qquad⁝\end{array}
$$

30〜90と100は以下の通り。

$$
\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{r|l}30&\rm tretivu\\40&\rm fjøruti\\50&\rm hálvtrýss\\60&\rm trýss\\70&\rm hálvfjerðs\\80&\rm fýrs\\90&\rm hálvfems\\100&\rm hundrað\end{array}
$$

序数詞(「〇〇番目」と言うとき)や101以降の数字についての話は,もう少し後になってから。


■余談

先程の50から90までの数詞は古い記法を略したものである。そこでこれらを古い記法に戻し,忠実に解釈すると以下のようになる。

$$
\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{r|ll}50&\rm hálvtrýssinstjúgu&=(-{1\over2}+3)\times20\\60&\rm trýssinstjúgu&=3\times20\\70&\rm hálvfjerðsinstjúgu&=(-{1\over2}+4)\times20\\80&\rm fýrsinstjúgu&=4\times20\\90&\rm hálvfemsinstjúgu&=(-{1\over2}+5)\times20\end{array}
$$

この命数法は,フランス語の命数法と肩を並べる程の複雑さゆえネットでも度々ネタにされてきたデンマーク語の命数法をほぼそのまま流用したものらしい。

※ネットで拾った画像。スウェーデン語・ドイツ語・日本語・フランス語・デンマーク語の話者に「97」という数字を読ませるとこういうことになる。

でも初めて数字を覚える時は,変な意識を持たず「こういう単語なのだ」と割り切って覚えた方が早い気がする。


■年齢

数字が読めるようになれば,年齢を言うこともできる。

相手の年齢を聞くとき,英語で How old are you? とするところをフェロー語でもほぼそのまま Hvussu gamal ert tú? または Hvussu gamal eru tygum? と言う。

ここで形容詞 gamal は性別によって語形変化するため,相手が男性の場合は Hvussu gamal ert tú? 女性である場合には Hvussu gomul ert tú? と使い分ける必要がある。

自分の年齢を言うときも Eg eri … ára gamal / gomul のように性別によって言い換える。(ただし ára は中性名詞 ár の属格複数形。2歳以上ならそのままで問題ないが,1歳と言うときなどは代わりに属格単数形 árs を使う。また数詞は中性ないし不変化形とする。)

さらに自分でも相手でもない人の年齢についても同様に,

  • Hvussu gamal er hann?
    (彼は何歳ですか?)

  • Hvussu gomul er hon?
    (彼女は何歳ですか?)

  • Hvussu gamalt er barnið?
    (その子供は何歳ですか?)
    (barn は中性名詞)

のようにする。


今はとにかく数字の読み方を身につけるために,生活の中のいろんな数字に触れつつフェロー語へと変換する練習を重ねるのみ。

今回はここまで。


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