心の色


私は真っ白になりたかった。

人の当たり前を教えられ、
人の無意識に惑わされ、
知らない間に人の思考の色のインクが
一つ、そしてまた一つ
音も立てずに私の心を染めていった。

私の心が傷ついていると
自分自身で気づくには時間がかかった。
そしてその頃には、
とても綺麗とは言えない色になっていた。

人と距離を置いたとき
色が薄くなっていく気がした。

一番濃く、大きなインクの雫は
薄まることも
他の色に染まることもなかった。

私はその色が一番、不愉快だった。
なぜなら、それは私が何か行動を起こす度
増えていくばかりだったから。

ある時、私は気づいた。
この一番不愉快で、濃く、大きく
主張する色に自分が振り回されていると。
そして、それは嫉妬心だと。

私が何かを頑張っているとき
私より評価されている人を見ては
そのインクが垂れていく。

それが一番、私の心を蝕んだ。

私は自暴自棄になったのか、
この嫉妬心とやらを吐き出したくなった。
嫌われてもいい、とまで思いながら
いろんなところで吐き散らした。

するとある友人が共感してくれた。
それと同時に、それは頑張っている証拠だと
肯定までしてくれた。

やっと、濃くて大きなインクの雫が
薄まった気がした。

私は今まで、否定されたことばかり
覚えていたのかもしれない。
否定が存在するのであれば
肯定も存在する。
私はそれを見ずに生きていたのかもしれない。

幼い頃からよく言われた。
自分に厳しすぎる、と。
そういえば自分自身を肯定したことが
なかったかもしれない。

人に失望させられてばかりだったけど
人に希望をもらった、
そんな気がした。

友人は、心を守る方法も教えてくれた。
" 人に過度な期待をしないこと "
正直ハッとした。

期待をするから傷つく、
期待をしなければ
まぁ、そんな人なんだなと思って流せる

そんなことを言っていた。

私が人に腹が立ったことを
その友人に言うと

それで腹が立つのは分かるけど
相手が裏切ったわけじゃない
あなたが期待しすぎたんだよ

私の怒りは収まってしまった。

学生の頃、
人と群れることができなかった私は
社会人になって、
ちゃんと意見を言ってくれて
時には私自身を肯定してくれる
鮮やかで綺麗な色だけを落としてくれる
そんな友人が数人いる。

とても幸せなことだ。

あのとき私の心を蝕んだ
嫉妬心とやらは多少あるが
それは人として必要最低限だと感じている。

こんな人もいる、あんな人もいる
あの人はこんなに評価されている

最近は、そんなことどうでもよくなった。

人がどうであろうと、
私は些細な幸せに感謝できるようになった。
そしてそれは、私にとって
とても大きなことだ。

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