あらゆるものが変化する不確実なAI時代だからこそ、チームコーチングを広めたい
はじめまして、コーチのすぐです。コーチングに出会い、デザイナーとして新卒入社したヤフーを退職し、コーチ兼UIデザイナーとして活動しています。
2021年にコーチングに出会い、人の可能性を信じるコーチングの技とコーチのあり方に衝撃を受け、「人と組織の本質的な変容とは何か?」という問いと共に、その世界に呼ばれるようにコーチングの道を探求してきました。
コーチングを学び始めた時から、ずっと組織に、特にチームに対してコーチングを届けたいと思っていました。
その中で、昨年新たに生まれたGenerative Team Coaching(ジェネレイティブ・チームコーチング)の1期に参加し、トレーニングを続けています。
これを学び・実践する中で、これは「関係性に悩むカップルや家族、チームと組織、そして日本全土に広まってほしい…!」そう心から思うようになり、この度noteに書きたいと思います。
チームコーチングとは?
そもそもチームコーチングとは何でしょうか?
国際コーチング連盟(International Coaching Institute)では、チームコーチングを以下のように定義しています。
少し難解な表現だと思いますが、チームの共通の目的・ゴールに到達するために、パートナーシップを築き、共に向かっていくプロセスだと言えます。
チームコーチングでは、大きな組織から、上司と部下の関係性、カップルや夫婦の2者関係も扱います。
コーチングに対し、「カップル・夫婦カウンセリング」は海外ではよく知られ、日本でも近年徐々に普及してきました。
コーチングとカウンセリングの違いを明確にすることは、なかなか難しいですが、チームコーチングは「2者以上の関係からなるチームを一つの生命体として捉え、パフォーマンスと可能性を最大化させていく」ことにフォーカスしていきます。
コーチは、チームの一人一人の違いを認め、その可能性を信じ、そしてチームとしての生命体に生まれようとしている変化(変容)を、パートナーシップと共に支援していきます。
パーソナル・コーチングの普及とある種の限界
コーチングの普及
2020年にコロナ禍を迎え、リモートの働き方が加速すると共に、個人のキャリアや会社で働くことの意義がより一層見直されるようになりました。
そのおかげか、パーソナルコーチングはビジネス領域ではかなり浸透しつつあります。コーチングを受けたいクライアントとコーチを繋ぐプラットフォームの「mento」や「ZaPASS」の認知度は、一部の界隈ではよく知られるようになりました。
特にIT界隈では、元ヤフーCEO(LINEヤフー(株)代表取締役会長)の川邊さんも、コーチングを活用していることを発信されているのも有名です。
パーソナルコーチングのある種の限界
僕自身もパーソナルコーチとして活動しており、コーチとクライアントによる協働関係による対話のプロセスが、その人の人生を変える奇跡のような瞬間に少なからず立ち会わせていただきました。
まだまだ日本においてコーチングの認知度は低いので、前提としてもっともっと広まって欲しいと思っています。
一方で、パーソナルコーチングにも一定の限界があることも事実です。クライアントの本当にやりたいことや、願い、価値観を見出せたとしても、実際の問題は、必ずしも個人にとどまらず、現場で、チームで起きているからです。
(そんなことを考えるとあの名言が立ち上がってきます)
現場には、「他者との関係性・役割・立場」「ビジネスの競合の存在」「給与や働く環境」「制度やカルチャー」など、個人の内面以上に複雑な要因が絡んでおり、個が変わろうとしても、絡み合った紐から脱することが難しいケースが多いです。
その結果、コーチングを受けた個人が選ぶ選択肢は、環境を変えるという選択です。それもその人の人生においては尊いものですが、一つのチームで見た時に、そこにあった可能性が華開くことができなかったと捉えることもあります。
だからこそ、現場に赴き、一人一人の立場に寄り添い、第三者的に関わることができるチームコーチの存在は、個に閉じず集団に働きかけるという観点で、何倍ものインパクトがあると確信しています。
「社長や苦手な人の前では、普段は本音を出せないけれど、チームコーチという仲介者がいて、お互いが本音で思っていることを伝えられるとしたら?」
「もし本音を分かち合うことができ、方向性をすり合わせることができたとしたら?」
その関係性は強固になり、チームとしてそのチームだからこその輝きが生まれていくはずです。それが、結果的にそれが離別だとしても、お互いの人生を応援することができるでしょう。
僕はそんなチームがたくさん生まれて欲しいと心から願い、日本で世界で広めていきたいと思っています
どのようにチームコーチは関わるか?
コーチングには様々な流派や背景理論があるのと同様に、チームコーチングにも様々なアプローチがあります。
僕が学んできたジェネレイティブ・チームコーチングでは、「チームに現れようとしている可能性に焦点を置き、対立を歓迎してチームの進化変容を加速させる」スタンスを取ります。
その実践において、集団を見立てる考え方として、プロセスワークという心理学を大きな基盤として取り入れています。
プロセスワークとは?
プロセスワークは、ユング派分析家のアーノルド・ミンデルが創始した心理学手法です。
ミンデルは、もともと物理学者であり、人の感性的な心理学的側面と、科学的な物理学の統合を目指し、プロセスワークとして体系化した心理学・心理療法の創始者です。対立と変容を扱う達人とも言われています。
最初は個人にセラピーを提供していましたが、その技を応用し、個人に留まらず、関係性や集団を扱うようになり、民族間の紛争や、政治の領域を扱うようになりました。
今では、世界中の社会・政治リーダーが彼の元を訪れ、対立を扱うワークを学びにきています。
プロセスワークは、個人の内面の経験や夢、身体の感覚、社会的・政治的な問題など、人間の経験の全域を包括的に扱うことができる全方位的な心理学的アプローチです。
ロジックだけでは人や組織が動かない困難な時代で、人間の深層心理へのアプローチを可能とし、ビジネスの現場における個人から組織、そして政治的な対立を扱うことができる数少ない心理学的体系の一つと言っていいでしょう。
チームコーチングの4つの視点
ジェネレイティブ・チームコーチングでは、プロセスワークの学びをベースとして4つの視点を持ってチームに関わっていきます。それが「個人」「関係性」「システム」「フィールド」の4つです。
個人
チームは、個人の集まりでできています。チームに問題がある時、それが個人の問題なのかチームの問題なのかは、曖昧で複雑です。
会社の創業者の価値観が、組織のミッションやカルチャーに反映されるのはイメージしやすいように、個人が持つ内面の要素はチームに大きく影響します。それは、人とチームの数だけ存在します。
チームコーチは、あらゆる立場にいる個人の価値観・声を尊重し、コンパッションを持って関わります。
関係性
人との関わりが生まれる時、そこには見えない関係性が生じています。チームにおいては、たくさんの二者の関係性が生まれています。
例えば、親と関わる時、友達や恋人、会社の同僚、上司と関わる時、どれも同じ私ですが、異なる自分が出てくると感じたことはないでしょうか?
僕自身、人との関わりごとに性格が変わってしまう自分に嫌気がさしたことがありますが、関係性の数だけ多様な自分があると捉えることができます。
チームコーチは、個だけではなく、関係性そのものに働きかけ、何が起きているかをサポートしていきます。
フィールド
人が集まることで、集団に生じる働きがフィールドです。フィールドに入ると、そこには磁力が働くようにロール(役割)が生まれます。
例えば、普段は家にいると父親としてのロールを担っていた自分が、会社に入るとまだ新人のロールが立ちあわわれ、家での振る舞いと、会社での振る舞いが変わるというのも想像しやすいでしょう。
何か問題が起きた時、それは個人の問題というより、チームそのものが生み出しているフィールドやロールそのものの問題と見ることができます。
人は、無意識に担っているロールから抜け出すことはなかなかできません。第三者のチームコーチが関わることで、そのフィールドやロールの力動に気づき、そこからより良い方向を考えることができるかもしれません。
システム
フィールドと似て異なるのが、システムです。組織が生まれると、そこには特有のミッションや制度、仕組みなど、集団を支えるためのパターンが生まれてきます。
システムは集団を支えるためのものですが、人や時代が変わればそのシステムには歪みが生じます。
システムそのものが、集団や個人に影響を与えています。既存のシステムがズレたものではないか視点を当てることで、無意識なチームの振る舞いに気づくことができます。
分断された不確実な世界で、頼れる仲間と輝けるチームが生まれて欲しい
僕は学生時代からスタートアップで働き、未経験からデザイナーになり、ヤフーに新卒入社して、デザイナー兼コーチとして独立できるまでになりました。
駆け出しの頃は時給換算では500円以下でしたが、今ではありがたいことに、その十数倍までにも稼げるようになりました。
しかし、同じ分だけ幸せになったかと言われると、そうとは言い切れない自分がいます。
むしろ、得られるお金が少なかった時でも、オフィスに泊まってでも成し遂げたい何かに向かっていたり、何かを学ぶ喜びを側にいる人と分かち合えたり、仕事の合間に何気ない雑談をしている時が、一番心地よく、そこに居ていいんだと感じられていたかもしれません。
ヤフーで新卒入社した時は、世界はコロナ禍で、研修の段階からフルリモートでした。なかなか人となりを感じられず、相談することも、部署間のコミュニケーションも、かなりストレスを感じることもありました。
世界は今テクノロジーとAIの発達で、個人でも稼げるようになり、会社というコミュニティーそのものの概念も変化しています。可能性が広がったようで、人との繋がりは欠け、時代の変化における不安感は高まる一方です。
私たちにとって、まず一番身近なチームは、カップルや夫婦、家族の存在です。そして、多くの時間を働くチーム・組織で過ごします。
この不確実な時代だからこそ、行き詰まった時こそ頼れる存在が側にいてほしい。一度きりの人生だからこそ、この仲間とチームに出会えて良かったと思える人生であって欲しい。心からそう願っています。
モニターで受けてくれる方を募集しています!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
僕自身も、チャレンジする人と組織の痛みと願いに寄り添い、変革を生み出すチームコーチとして、活動する場を広げ、もっと実践と経験を積みたく、チームコーチングを受けていただけるモニターを募集しています…!
モニターでの提供の詳細は以下になります🙏
まずはチームコーチングを1回でも体験してみたい、長期的な視点を持って今の課題について向き合いたいなど、どなたでもまずはお気軽にご相談ください!🙌(初回は4グループまで無料実施いたします!)
TwitterやFacebookより、お気軽にDMいただければと思います!
たくさんの人とチームの可能性が開き、唯一の輝ける色に立ち会えることを心から楽しみにしています。
すぐ
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→ 説明会は3/22、2期は5月、3期は7月に開催予定とのことです!
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■ 参考文献
「プロセスワーク入門」
「対立の炎にとどまる」
「対立を歓迎するリーダーシップ」
「私とは何か――「個人」から「分人」へ」
「システム・インスパイアード・リーダーシップ」
「組織が変われない3つの理由」