見出し画像

大統領選にみる能力主義社会に欠けているもの

ついに始まったアメリカ大統領選。政治に無関心な人でも、まるでハリーが「スリザリンだけは嫌!」と組み分け帽子に懇願したように、とにかく「トランプだけはやめて!」と願っていることでしょう。(冗談にもならないかもですが)

これについて、「これからの正義の話をしよう」で有名なマイケルサンデル氏のインタビュー記事がとても興味深かったです。彼はこう言っています。「バイデンが大統領選で勝っても、根本的な問題は消えない」と。

トランプが大統領に選ばれたのは、今の社会の仕組みにあり、トランプはその副産物に過ぎないと彼はいいます。その社会の仕組みが能力主義です。

現代のグローバル社会においての風潮が、誰でもトライすれば成功できる。まさにアメリカンドリームそのものです。しかし、この風潮が勝ち組を傲慢にし、勝ち組になれなかった人たちに対して優しくない社会を作ってしまった。そして、その不満と怒りによってトランプは生まれたというのが、サンデル教授の考えです。

これはパンデミックでより明らかになったと言えるでしょう。コロナに対処できた(人と距離を置くことができた)のは経済的に余裕のある人で、そうでない人の多くが命を失っているという現状が浮き彫りになってしまいました。


この能力主義という社会で、僕らは何を考えねばならないでしょうか?一つに、自分が今手にしているある種の成功やその体験は、自分が頑張ったからと傲慢にならず、人との巡り合わせや環境によるものであり、運がよかったからだと認めることにあるかもしれません。

人に対する態度を変えるのは、資産格差の問題をどうにかするのと同じくらい重要です。社会の頂点に立った人は、自分が成功できたのは自分の実力だと考えがちです。実力で成功したのだから、市場社会が成功者に配分するものを受け取って当然だと考えるのです。それは置いてけぼりになった人たちは自業自得だとみなす見方にもなります。


もちろん、大学を卒業し、名の知れた企業に入れたのなら、甘えずに成功をつかみとる努力は必要でしょう。今の時代インターネットを使えば、知識も手段も掴み取れます。

しかし、それを自分と同じ立場にいるかのように相手に求めるのは間違いです。そもそも、本質的に真の意味で相手と自分を、人と人を比べることはできないです。育った環境、親の収入、得意不得意、抱えている問題は誰しもことなるのですから。

そのため、今の自分に足りないことは言い訳せずにコツコツ頑張る。でもセルフコンパッションを忘れずに、努力した自分を認めてあげる。そうして一歩ずつ自分の夢や目標、目の前の課題に対して向き合うことが大事なのではないでしょうか?

そして、得られた結果に対しては傲慢にならず、支えてくれた人、環境、そのチャンスに感謝する謙虚さを忘れないでいたいものです。

大統領選がどうなるかは数時間後に決まってしまいますが、人に対する態度を見直す努力がこれからの社会を作る一歩になるかもしれません。

いただいたサポートは健やかな生活と、人生の探求の道に使わせていただき、noteでその記録をお届けします。