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なぜTwitterでコスメが売れるのか?~MimiTV流「バズコスメ」の考え方~

こんにちは、MimiTV編集部の添田裕女です。1日平均6時間Twitterを触り、美容に1か月で5万円をかける美容フリークですが、MimiTV編集部にはこういう人がたくさんいます。(おかげで服はユニクロとGU、メルカリとセールに支えられています。)

Twitterに詳しく美容が好きな人が集まっているMimiTVだからこその企画に「バズコスメ大賞」というものがあります。2019年6月から半年に1回発表している「Twitterで話題になったコスメを表彰する企画」です。実はTwitter社公認だったります。

つい先日12月4日に発表した2020年下半期のバズコスメ大賞はこちら

ちなみに、2019年の下半期からは、受賞アイテムがいかにしてTwitterで話題になったのか、分析noteを更新しています。

そしてバズコスメ分析を書いていこうとしているのですが、そもそもTwitter×美容というテーマ自体、あまり話している人や企業さんがいないので、今回は「MimiTVがTwitterが美容マーケティングにおいてどんな強みを持っていると考えているか」を前提として書いていこうと思います。

🤔「美容商材のマーケティングでTwitter?Instagramじゃなくて?」
🙋‍♀️「Twitterインフルエンサーに宣伝してもらったけど売れなかったよ!」
🤔「とは言えYouTuberの影響力には勝てないでしょ」
🙋‍♀️「SNSよりクチコミサイトやアプリで人気なのが大事じゃない?」

なんて思っているあなたにこそ読んでいただきたいのがこのnoteです!

1.Twitterというプラットフォームの特性

Twitterが持つ美容商材のマーケティングおいて有効なプラットフォーム特性は、①情報の拡散性と②検索機能 です。

①情報の拡散性

Twitterはリツイートやいいねで投稿が拡散されます。自分のタイムラインに、フォローしている人がリツイート・いいねをしたバズツイートが流れてくることで、自分がフォローしていない人が発信した情報にも自然に触れることが出来ます。その投稿を見た人が、いいねやリツイートでさらに拡散することで「バズ」が生まれます。多数のユーザーにリツイートやいいねをされることを「バズった」と、そして大勢に拡散された人気投稿のことを「バズツイート」と呼びます。「1万いいね」「1000RT」などどれくらいの人に拡散されたのか、話題の度合いが見てすぐわかることもTwitterの特徴の1つです。

②検索機能

もう1つの重要な機能は、検索です。Instagramはハッシュタグや位置情報では投稿の検索が可能ですが、例えば「#赤リップ #ブルべ 」「#化粧水 #敏感肌 」など複数のハッシュタグを1度に検索することは出来ないのと、現時点で日本においてはキーワード検索をすることが出来ません。対して、Twitterは複数のワードが含まれるツイートを1度に検索することが可能です。バズったツイートやリアルな口コミが検索しやすいという点も、購入の後押しに繋がっています。

"投稿を見て商品を購入したユーザーたちがさらにその感想をTwitterに投稿する"という循環が繰り返され口コミが拡散される”&購入検討の際に口コミ検索がしやすい”という特性から、Twitterは化粧品マーケティングにおいて重要な役割を果たしていると言えます。

2.Twitter独自の存在「美容垢」

美容垢とは、メイクのTipsやコスメのレビューなど美容情報の発信に特化したTwitterアカウントのことで、バズコスメを語る上で欠かせない存在です。

美容垢はそのスタンスや発信情報によって大きく3種類に分けることが出来rると考えています。

①有名美容インフルエンサーのTwitterアカウント
②覆面系美容垢
③転載系美容垢

※全てMimiTV独自の意見・呼称です。

①有名美容インフルエンサーのTwitterアカウント

芸能人や有名美容インフルエンサーなど、メディア露出や他プラットフォームでの影響力がある人が運営しているTwitterアカウントのことを指します。わかりやすいのは美容家・神崎恵さんのTwitterアカウント。Twitterに特化した発信ではなく、Instagram等の他プラットフォームでの投稿内容と一貫しており、ご自身のブランディングやイメージに沿った投稿をされている方が多いです。

②覆面系美容垢

自分の素性を公開せずに美容情報を発信しているアカウントのことです。下の画像のように「どこの誰かは分からない」けれど、「パーソナルカラー」等の美容における自分の属性をプロフィールに書いています。顔出しをしていない方も多いです。

例:イエベ春 / クリアウウィンター / 1st Bright Spring 2nd Bright Summer などなど

覆面系美容垢は顔や素性をふせていて匿名性の高い存在ですが、人となりに関係なく純粋に美容への熱量を語るので、その熱量に共感し「リアルなレビュー」を期待するフォロワーがついてます。フォロワーを数万人以上抱えている有名覆面系美容垢は影響力も絶大で、愛用品や購入品としてツイートで紹介したものがバズってリアルでモノが売れるという事例は近年数多く存在しています。

今年最も影響力のあった覆面系美容垢の一人が、丸の内OLの憂鬱さんです。彼女が紹介したイヴ・サンローランのピュール クチュール ヴェルニ ウォーターステイン というリップの614と617のカラーはしばらく欠品が続いていました。

(丸の内OLの憂鬱さんの影響でYSLアイテムへの注目度が高く、MimiTVが出した新作のスウォッチ情報も好評をいただきました)

フォロワーからはリアルなレビューを期待されているため、購入品の紹介は注目度が高いですが、#PR投稿(報酬の支払いを受けた上で依頼主のサービスや商品を宣伝する投稿のこと)によく見られる「ブランド側の意向が盛り込まれすぎていて本音が見えない」投稿はあまり好まれません。

③転載系美容垢

自分で撮影していない画像や、自分オリジナルでない情報などを発信しているアカウントです。プレスリリースやブランド公式サイトの写真・文章を投稿したり、有名人が雑誌のインタビューやインスタライブで美容関連のことに言及した際にその情報をまとめて投稿しています。一見「オリジナリティの無い投稿って意味がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで肝となるのが先述したTwitterの情報拡散性です。PRTIMESや企業サイトのニュースリリースが外部情報としては最速なので、そこの掲載情報をキャッチしてTwitterにいち早く流すことで、フォロワーからいいね・リツイートなどのエンゲージんメントを獲得し、より効率的に情報を拡散することが出来ます

MimiTVも毎日1回くらいプレスリリースの転載投稿をしています。ここで反響があったアイテムは実際にブランドさんに商品の貸出を依頼してスウォッチや動画を雑誌しています。

田中みな実さんがインスタライブにて紹介したコスメも、テキストと画像でまとめられすぐにTwitterで拡散されていました。リアルタイムでインスタライブを見られなかったり、アーカイブ動画をフルで見ることは億劫に感じる人たちにとってはこういった投稿も有益ですし、情報がInstagram内だけで完結せず、拡散していくことが見込まれます。

以上のように転載系美容垢は「スプレッダー(拡散者)」の役割を果たしTwitter上で情報を出回らせる上で重要な存在ですが、フォロワーからは「情報の速さ」を期待されており、リアルなコスメレビューなどはエンゲージメントが伸びにくい傾向があります。

また、転載系美容垢の中には、雑誌のページをスクリーンショットして掲載したり、他のプラットフォームに個人が投稿している写真を無断転載している人もおり、著作権などの権利問題を考慮していないグレーなアカウントも存在しています。

3.ファーストインプレッションが命!「Twitter映え」とは

SNSがこれだけ普及している今、「映え」という言葉を日常的に使用するようになっていますが、ここでの定義は「タイムラインで目立つこと」です。もはや死語になりつつある「インスタ映え」も、元々はInstagramにおいて多数の「いいね」を獲得することを指しており、インスタグラマーたちは投稿されている写真の中でも目を引くように、オシャレな空間やモノを撮影したり、加工を行っています。「映え」を追求することを揶揄するような風潮もあるものの、もはや映えはInstagramだけのものではなく、SNSで情報を発信する以上「映え」は必要不可欠です。

Instagram映えはプラットフォームの特性上とにかく写真が命ですが、Twitterにおいては「140字のテキスト×4枚まで投稿が出来る画像」がタイムラインで目立つ上で重要です。コスメに関する投稿で1000いいね以上を獲得している「バズツイート」のほとんどは、投稿主によって「Twitter映え」を意識した上で作られています。


MimiTVのTwitterにおいてもテキストと画像の作り方は徹底しています。今回のバズコスメの発表投稿においても「記事リンクをツイートする」のではなく、「テキスト×画像の組み合わせで雑誌の見開き1ページかのようなビジュアルを作る」ことを意識しています。

こちらはバズコスメ特設サイトのリンクツイートですが、タイムラインでの映え方の違いは一目瞭然です。「映え」とはプラットフォームの特性を理解し、そこに情報の出し方を最適化させることであると言えます。

MimiTVもスタート当時はいわゆる「分散型メディア」と呼ばれるメディア運営を行っており、1分弱の動画を作成して各プラットフォームにそのまま投稿する投稿するようにしていましたが、各SNSの特性がどんどん色濃くなっていくにつれて運営体制の見直しをはかり、現在では各プラットフォームに最適化したコンテンツを作るようにしています。

有名美容垢の投稿は、よく見ると単純にコスメの写真や色味のスウォッチ画像を載せているだけでなく、Twitter映えを強く意識した内容になっています。美容垢はTwitter映えの名人であり、それゆえにTwitterでコスメの情報を流通させる上では、美容垢の存在抜きには考えられないのです。

4.コスメにおける評判定着とTwitterの関連性

「うちのブランドのこの商品、全然売れてないのでバズらせたいです」「有名な美容垢さんに投稿してもらいたい!」という声は本当によく聞きます。SNSでバズったことがきっかけで爆売れするアイテムも少なくない中、このような希望が出てくることは全く不自然ではありません。

しかし有名美容垢にコスメに関する投稿をしてもらえれば必ず売上が上がるわけではありません。もっと言うと、たった1度のバズや、有名美容垢だけが口コミを投稿しているような状態のままでは、一時的に売上を上げることは出来ても、売れている状態を維持することは難しいでしょう。バズは拡散性はありますが一過性のものだからです。

①評判定着3STEPとバズ規模について

MimiTVでは、とあるコスメが「優秀」と消費者から一般的に認知されるまでには、大きく分けて「評判形成」「拡散」「評判」の3つのフェーズがあるのではないかと考えています。

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1つのバズツイートではこの3つのフェーズまで評判を持っていくことは出来ません。複数のバズがそれぞれのフェーズで発生していることが、Twitterの化粧品マーケティングにおいては重要で、実際にバズったコスメのツイートを分析していくと、各フェーズにおいて象徴的なバズツイートを確認することが出来ます。

コスメに関するバズツイートとは一重に言っても、バズった時期やその大きさによって評判形成のプロセスにおける意味合いが異なってくるので、そこも定義をしておきます。(あくまで目安です)

バズ定義

評判形成に「ストーリー性」をもたせてはじめて「バズコスメ」になる

先ほど

たった1度のバズや、有名美容垢だけが口コミを投稿しているような状態のままでは、一時的に売上を上げることは出来ても、売れている状態を維持することは難しい

と書きました。単発で起きたバズは一瞬で忘れ去られてしまいますが、バズを「トレンド」に昇華させるには何が必要なのでしょうか。

MimiTVはそれを「ストーリー性」だと考えています。バズったプロセスを、「モノ(商品性)」「ヒト(誰がバズらせたのか)」「ワダイ(なぜバズったのか)を分析し、そこにストーリーをもたせて再現性を見出していくことが、「バズコスメ」を化粧品マーケティングに生かすカギとなるはずです。

さて、いよいよ年の瀬ですが頑張って今回の「バズコスメ」のストーリーを3回にわたって紹介していこうと思います。年内に完結できるよう、応援よろしくお願いします!


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