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木曽漆器とつくり手〜蒔絵体験1〜

蒔絵(まきえ)は漆器の上に漆で絵を描きその上に金粉などをまいて絵を描く技法です。始まりは平安時代と言われています。

洗ったりしたら金粉がすぐに取れたりしないの?と心配になる方もいるかもしれませんが、漆は金継など接着剤としても非常に優れた性質を持っているので、ちょっとやそっとでは取れません!プリンターも化学物質もなかった時代に人と自然の知恵から生まれたすばらしい技術です。

名古屋城の本丸御殿修復に関わった小川さんに蒔絵に使う漆を見せていただきました。

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下絵は漆黒の上に描いてもはっきり見えるよう、ベンガラと呼ばれる赤鉄を漆に混ぜて朱色をつくります


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漆と鉄を混ぜると、よく馴染むように1日寝かせてさらに混ぜ合わせます


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ガラス板の上で手際よく混ぜる小川さん。混ざり行く行程を見ていると漆は生きものだと思えます


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混ぜ合わせた朱色の漆は細かなゴミを取り除くため、和紙で包んで絞ります


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こうしてできた貴重な一滴。赤く染まると漆の鼓動をより一層感じる気がします



絵の具はチューブを絞ったら簡単に色が出てきますが、色をつくるってこんなにも大変なのだと改めて実感しました。

そしてなにより印象的だったのが、漆とベンガラの粉が混ざり合う瞬間。漆が自然の美しい色を吸いこんでいるように見えました。


いよいよ蒔絵です。下地となる絵を漆器に写します。

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透明な板に描きたい絵を写します



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描いた絵を和紙にのせて…


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漆器の上に和紙を乗せて、ハケで写します


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ちょっと見えづらいですが、和紙を上げると漆で描いた葉っぱが見事に写りました



紙についた漆を漆器にハケで乗せたとき、まるで手品を見ているような気分でした。この上に金をまいて磨いていくと蒔絵が完成します。

蒔絵の美しい絵の奥には、こうしたいくつもの細かな行程があることを初めて知りました。そして、蒔絵の技法は絵に宿る魂や想いを漆器に移すような、そんな不思議な感覚でした。

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小川さんが描いた蒔絵。息をのむほど美しい繊細な絵

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蒔絵見学でお世話になった竜門堂さん。色んな漆器を買うことができます

龍門堂:www.ryumondo.co.jp/kaisha.html


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