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9月1日まであと20分

10代まであと少し、の娘がいる。

宿題がなによりも嫌いで、学校に行きたくないと、よくつぶやいている。

「しなきゃいいし、行かなくていい。」と言ったら、決まって「だからー、そういうわけにいかないんだよ!」と怒られる。

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私の10代はめちゃくちゃだった。前半はまだ、優等生だったように思う。

たぶん宿題も適当に終わらせていたし、新学期を迎えることになんの抵抗も、なかった。


中学に入ってから、家庭環境が終わっていたので、学校にまで気が回らなくなった。

宿題をやった覚えがない。

夏休みの宿題は、絶対に提出しない。


9月1日を過ぎ、最初の1週間くらいから先生との攻防戦がはじまる。

「遅れてる奴、早く持ってこいよ。」とまずは軽いジャブからはじまり、9月も半ばを過ぎると、未提出の者は後ろの黒板に名前を書き出される。ひとり減り、ふたり減りして、最後まで残る名前が私だけになった頃、たいてい担任もしくは学年主任あたりから、お呼びがかかる。

すでに神経というものが死んでいる私は、それでもガン無視で意地でも提出しない。掃除当番のついでに、黒板からしれっと名前を消しておく。また担任に呼び出され、名前を書き直され、のらりくらりとかわしていくうちに、だんだん日常に紛れて、なかったことにされていく。

10月に入ってしまえばこっちのものだ。

なにしろ2学期というのは忙しい。先生だって体育会だの文化祭だので、やることが山積みなのだ。私の宿題などもはやどうでも良くなる。毎年、そこまで粘るのが私の定番になった。

その頃『常識のある』子たちは、そんなことしてたら内申に響く、とか、先生に目を付けられるよ、とか、ごもっともな忠告をたくさんしてくれた。


大丈夫。私、他でカバーできるから。

てか、それどころじゃないんだ。あんたたちゃ平和でいいね。


心の中だけでつぶやく。

いま振り返ってみても、やっぱり私って相当やな奴だ。


でも意外と大丈夫だった。ちゃんと希望の高校へも行けたし、嫌いな先生に暴言吐いたりしたけど、理解のある先生からはなにかと声かけてもらえた。宿題やらずに済む方法や、先生と渡り合う術を編み出すうちに、コミュ力ってやつが身についたような気もする。あの頃忠告してくれた同級生とも、いまだに子連れでワイワイ集まったりしている。


死ぬほど嫌なら全部投げ捨てたっていいんだ。先生も、友達も、親も、きょうだいも。

自分以外の全てのものたちを。


宿題なんかやらなくったって、ちゃんと大人になれるよ。

学校なんか行かなくったって、ちゃんと食べてはいけるよ。


それがいいか悪いかは知らない。

そんな大人もいるってだけ。


あなたのことだけ、守ればいいよ。

あなたの世界は、あなたにしか護れないから。


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