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泳ぐのに、安全でも適切でもありません

私が人生において一番ハマった小説家は、たぶん江國香織だ。

小説を読み始めて一番最初に収集しだしたのが宗田理、それから一時期は吉本ばなな、そして不思議なくらいドハマりした江國香織。


私は、誰かの小説にいったんハマると、その人の作品全てを読まなきゃ気が済まないたちだ。

基本的に本を読むのが早くて買うのがもったいないという理由と、そもそも全て集めるお金もなかったから、好きな小説家の作品は、ほとんど図書館に通い詰めてひたすら読みあさった。

そんな私がどうしてもこの人の本は自分の手元に置いておきたい!と思って買い集めたのが、江國香織の本たちだった。そのほとんどは古本屋で安く集めてしまったので、本好きな人間として少し心は痛むのだけれど、これで好きな作品を好きな時にいつでも読めるという安心感がたまらなく良かった。

こうしてみるとずいぶん懐かしい。

いまとなっては全然使わない棚の中に眠っていて、ふと思い出したときにそっとカバンに忍ばせて外出のお供になるくらいなのだけれど、やはり好きな人の作品がこうして並んでいるのを見ると、なんだか落ち着く。


先日、千葉県に遊びに行って車を走らせていたら、標識にふと私の一番好きな小説の中に出てくる地名を発見して、なんだかそれだけでものすごく嬉しくなった。残念ながら目的地とは全然違う方向だったのでそちらには寄れなかったのだけれど、いつかあの場所を訪れて海辺を歩きたい。


題名とは全く関係ないのだけれど、画像はその日撮れた素晴らしい千葉の夕方の海。

日暮れ前、どんどん高くなる波と霧に包まれていく砂浜が恐ろしく幻想的で、人を寄せ付けない崇高さ、みたいなものを感じた。


そしてこの写真を見ていると、この小説の題名がふと浮かんだ。

ただ、それだけのお話。

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