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【恋愛小説】㊳最初の恋人 最後の恋人 〜男の嫉妬~

達也と昌人は、何だか、スッキリしてる様子だったが、美々は友人関係を壊してしまった責任を感じ、頭を抱え、泣くのを必死に堪えていた。

すると、達也が
「もしかして、泣いてる?」

このワードが飛び出した。

目を赤くした美々が
「泣いてないしっ!」
と、達也を睨んだ。

昌人が達也に
「たっちゃん、これだよ!コレっ!!」
「コレかぁ」
「美々、たっちゃんを睨んじゃダメ。それしていいのはオレだけにして」
そう言われて美々は視線を昌人に向けた。
その目は涙でいっぱいだった。

「美々ちゃん、面白いよなぁ〜。謎に泣きながら怒ってるし。」
笑いながらタバコをふかしている達也が、美々に言った。
「オレも、アイツらとは距離を取るわ。急には無理やけど・・・。たぶん、アイツら、昌人のことを妬んだんやと思うわ。田舎から出てきた垢抜けない昌人にかわいい彼女が出来て、幸せそうにしてるから。みんな、ちょーど彼女が居なかったから。男の嫉妬ってヤツやわ。だから美々ちゃんが責任を感じる必要はないで」

達也の言葉に昌人も
「男の嫉妬はタチが悪いからね。」

うんうん、とうなずいた達也。
「それに、昌人、お前も少し悪いところあったぞ。美々ちゃんを何度も友達に会わせたろ?昌人はそんなつもりはなくても、彼女が居ないアイツらからすれば、妬みたくもなるで」

昌人は達也の言葉に頭をかきながら
「そやなぁ〜、ちょっと浮かれてたかもなぁ〜。美々に辛い思いをさせたきっかけはオレが作ったかもしれん。ごめんな、美々。だから、泣かんでええよ」

「泣いてないしぃ〜」
そう言いながら、美々の目からは涙が溢れていた。


泣き止んだ美々に
「なぁ、美々ちゃん、ちょっと聞いてくれる?」
と達也が話し始めた。

「オレさぁ、妹がいるんよ。3つ下の。美々ちゃんの1個下になるかな。その妹がさぁ、口きいてくれなくて」
「何で?兄妹喧嘩?」
「いや、喧嘩と言うか・・・、原因は美々ちゃん」
「はぁっ!?、私、妹さんにお会いしたことないけど!?」

達也はタバコをふかしながら、ゆっくり話し始めた。

「最初の電話でさ、好きなら誰が何と言おうが「別れない」って言うと思ってたんよ。でも、美々ちゃんはあっさり「別れる」って言ったことが、なんか納得いかなくて。
オレは男だから、女心ってわかんねーし。妹は彼氏がいるから、女の意見を聞いてみたくなって」

達也は妹に聞いてみた。
「彼氏が好きだから別れたくないって言ってた子が彼氏の友達に別れろって言われたぐらいで別れるか?それって本当は好きじゃなかったってことじゃないのか?」
「それって、昌人さんの彼女の話し?この前、彼女が出来たって嬉しそうにウチで話してたよね?」
「そう。」
「で、友達ってのはお兄ちゃん?」
「そう。」
「それって、昌人さんが別れたくて、昌人さんに頼まれて彼女さんに言ったの?」
「いや、昌人は彼女にゾッコンやから別れないと思う。昌人は今回のことも何も知らない。ちょっと色々あって、友達が交際を反対してて、昌人のためにも別れた方がいいってなって。彼女がオレに意見を求めたから、昌人の傷が深くなる前に別れた方がいいと思うって、言ったら、あっさり「わかった、別れる」って」
「・・・サイテー」
「だろ?やっぱりそうだよな?好きだっら別れないのよな?」
「ちがうよ。お兄ちゃんが「サイテー」って言ったの」

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