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【恋愛小説】㊲最初の恋人 最後の恋人 〜分裂~

数日後、昌人と達也は友人たちを集め、美々への誤解を解こうとした。

そして、美々に報告をすることになった。

達也が話し始めた。
「結果から言うとさ、理解してくれた子が少数。ほとんどのヤツは理解してくれへんかった。」
美々はショックを受けた。
「・・・それって、どうなるん?。友達、離れるん?」
美々の泣きそうな顔を見て、昌人が話し始めた。
「たぶん、美々はショックを受けるだろうとは思ったんやけど、友達のことは美々が気にしてた事だから、もう、隠したり誤魔化したりするのはよそうと思って話してる。だから、ショックかもやけど、聞いてね」
昌人の言葉に達也もうなずき、達也が話し始めた。
「全部誤解だって話したけど、目を覚ませとか騙されてるとか、色々言われてさ。全然理解してもらえなくて。オレまで美々ちゃんに騙されてるって言ってたわ。
昌人はもう、理解してもらうのは無理だと思ったんやろうな、「オレは騙されてもいい!あの子になら騙されても構わない!!」って言い切った。
ビックリしたよ。昌人はいいヤツなんやけど、正直、今まではどこか頼りないと言うか、オレらがこの都会から守ってやらないとって思ってた。でも、あの時の昌人はカッコよかったよ。あの昌人がここまで言い切るとは誰も想像もしなくてさ。さすがにそこまで言い切られたら、言い返すヤツは居なくて。ただ、それなら離れるって言ったヤツもいた。」

美々はショックだった。
昌人から友達を奪ってしまった。
どうしよう

動揺が隠せない美々だったが、そんな美々に昌人は
「美々の事、誤解が解けなくてごめん。でも、今回、アイツらに色々言われて、コイツらホントに友達か?って思ったんよ。それに、こんな事を美々は電話で言われてたのかと思うと、オレ自身がもう、コイツらとは無理だなって感じた。だから、これは美々が責任を感じる必要はないから。オレはこれで良かったと思ってるよ。」

達也は続けて昌人に
「そう言えば、田中がさぁ」
田中とは友人の1人らしい。
友達みんなで美々に別れろと電話をした時、田中もその場にいた。
「田中がさぁ、帰り道、オレに話しかけてきてさ」
田中から聞いた話しを達也が話し始めた。

美々への電話は、少しやり過ぎではないかと感じていたが、言い出すことは出来なかった。
その数日後、達也と昌人がいないところで、友人たちが、
昌人が彼女に夢中になると、昌人は彼女との時間を優先するだろう。そうなると、自分たちが溜まり場にしている昌人の部屋を今までのように自由に出入り出来なくなる。お金がかからず居心地の良い昌人の部屋を彼女に取られたくない。

そんな話しになったらしい。
田中くんは、今回の騒動は友人たちが昌人のためと言いながら、実は自分たちの溜まり場を確保したいだけだと感じ、その日以来、友人たちとは距離をとっていた。
昌人と達也から話したい事があるから集まってくれと言われ、彼女と別れたのかと気になって足を運んだ。
でも、別れてなくてホッとした。
ホントは昌人に謝るべきだが、自分たちまで守ろうとしてくれた昌人にどんな顔して謝っていいかわからないから、達也から謝って欲しい。

そう言って、達也にも辛い役回りをさせてしまったと謝罪してくれた。

「だからさ、美々ちゃん、理解してくれなかったヤツがほとんどやけど、こうやってちゃんと理解してくれたヤツもおったんよ。田中もさ、ダチ達がこんな奴らとは思わなかったから、もう、付き合うのはやめるって言ってたよ。自分に彼女が出来た時、怖いからって」

もう、ぐちゃぐちゃやん。
仲の良かった友達同士がバラバラになってる。
美々は自分を責め続けた。

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