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【恋愛小説】㉘最初の恋人 最後の恋人 〜幸せとは~

しばらく考えている昌人。

「ん?、ちょっと待って」
昌人が何かに気づいたように顔を上げた。

「オレも美々のことが好き。美々もオレのことが好き。オレは別れたくない。美々も別れたくない・・・でいいよな?。だったら別れる必要、なくない?」
「でも、友達が・・・」
美々がそう言おうとした時、
「大事なのは、本人の気持ちだろ?友達がなんと言おうとオレ達が好き同士で別れたくないって思ってるなら、何にも問題はない・・・。簡単なことだよ」

「でも、私といると昌くんは友達にずっと、別れろって言われ続けるよ。
それって悲しいやん。
友達には応援してほしいやん。
下手したら、昌くん、私のせいで友達居なくなっちゃうよ。
それは私も嫌だから・・・。」
美々は泣きながら、話しを続けた。
「昌くんなら、私と別れても、きっといい人見つかるよ。
友達にも応援してもらえるような、素敵な彼女が見つかると思う。
その方が昌くんにとっては幸せだと思う。
私がいくら昌くんのことを好きでも、私じゃその幸せを昌くんに味わって貰うことは出来ないから。私には無理だから・・」

昌人は少し怒ったような口調で言った
「オレの幸せを勝手に決めないでくれ。オレの幸せはオレ自身で決める」
そう言って、また、いつもの優しい口調に戻って、
「もう、そんなに泣くなよ。泣かなくていいから。・・・あれ?泣いてないしっって、怒らないの?」
いつもの優しい笑顔で、美々の頭を優しく撫でてくれた。

しばらく、美々が落ち着くまで、昌人は待っていた。
「このまま、車で送って行くよ?いい?」
美々はやっと落ち着いて、小さくうなずいた。

自宅に着くまで30分ほど。
ハンドルを握りながら、昌人は
「オレ達、「別れない」でいいよな?」
と、もう一度、美々に確認した。
美々は落ち着きを取り戻していたが、まだ、悩んでいた。返事が出来なかった。

「オレの友達のことを気にしてるなら、大丈夫だから。もし、これで離れるような友達なら、それまでだから。そんな事で美々が身を引こうとか、しなくていいから。」

また、涙が流れてしまいそうだ。

すかさず、昌人から一言。
「泣いてるの?」
「泣いてないしっ!」
「だから、なんで、怒ってんだよ。」
いつもの笑顔が昌人にも美々にも戻っていた。


その日、美々は朝からバイトだった。
バイトが終わったら夜はレッスン。
だが、バイトからレッスンの間に少し空き時間があった。
その空き時間、昌人に呼び出されていた。

昌人の部屋に着いた美々。

「今からたっちゃん(達也)が来るって」
「えっ?・・・なんで?・・」
「なんか、美々と3人で会いたいんだって。最近会ってなかったし、久しぶりに会いたいって。いいだろ?」

何も知らない昌人。

美々はあの電話の事を思い出していた。

別れさせに来るんだ!

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