死んで、また生まれ変わる。大学卒業後に、3年続けたレストランの仕事を終わりにした。
みずから終わりを選ぶことは、みずから死ぬみたいだと思った。
ほんと、一回死ぬんだなと感じた。
昨日、3年弱続けたレストランの仕事を辞めた。全く実感が湧かなかったけど、勤務を終えたとき、もうここに「お店の人」として来ることはなくなるんだなぁと思ってちょっとだけさみしくなった。
大学を卒業してから初めて本格的に働いた場所。理念や提供している料理に共感できたから続けられた。こんなに続くなんて思ってもなかった。熱しやすく冷めやすい、いろんなことに興味を持ってしまってひとつのことが長続きしない自分でも続けることができることを知った。
辞めることに決めたのには、きっといろんな要素があった。
もう自分はここから去ったほうがいいなと思った。まわりの人と合わない感覚が出てきた。
ホールスタッフからキッチンスタッフに異動してから、とにかく求められる動きが変わって、できないことが多くてとにかく身体で覚えて、経験を積んでいくごとに優先順位がわかってきて、今のうちにこの仕込みをやっておこうとか考えて、隙間隙間でやることをやって…って。仕事を覚えていくうちに、だんだんとキッチンスタッフの人柄が見えてきて、あれ?と思うことが増えてきて、できない自分が悪いんだと思っていたことも、それとは関係ないことだなと認識した。
上司の機嫌に振り回されたり、過度に恐怖を感じて、身体が硬直することが多くて、よけいに動きが鈍くなって。正直ほんとにしんどかった。
自分から終わりを決めなければいつか突然職場に来れなくなってしまう気がした。仕事がやっとできるようになってきたタイミングでもあったけれど、それと並行するようにお店もどんどん忙しくなっていってオーダーを受けながら仕込みをするのが厳しくて、できるようになっているはずなのに、お店の忙しさに追い抜かされて、もうがんばってもがんばっても追いつけなかった。
最終出勤日の夜、偶然シフトが被っていたホールの子と二人で初めてごはんに行った。別れ際に、職場で出会えたことがよかったねと話してハグした。ほんとうだなぁと思った。有り難い。
そして、こんな試練を経験させてくれた職場にも今は感謝できるし、ここで出会って大変だった時間を共有できた人たちにも感謝の気持ちが湧いてきた。いまさらね。
大変だった時を共に過ごした人たちはきっと思いが深まるような気がする。チームプレーの要素があったし。「お客さん」でいたら味わえない大変さと楽しさがあった。仕事ってそういう意味でほんとおもしろいと思う。
3年も通っていた場所だから悲しくなるかなと思ったけど、今は安堵の気持ちが大きくて、昨日最寄駅から自宅まで歩いていたら涙が出てきた。「やっとやっとこのレースが終わったんだ」という気持ちになった。こんなふうに感じるなんて思ってもなかった。精神的にかなり重圧を感じていたし、人と合わないってこんなにも居心地が悪くて、苦しくなってしまうんだなと思った。
辞めるって意識的に決断できてほんとうによかった。
4月ってすごく新しい気持ち。うれしい気持ち。これから決まっていないことが多いけど、何とかしていこうという前向きな気持ちがあることにほっとする。
とはいえ、春はいつもさみしくて、悲しい気持ちを思い出す。
新しい生活。
死んで、また生まれ変わる。
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