巡る因果

2018年9月の日記 加筆修正版です

仕事帰りのバスで山田花子に関する膨大な量のテキストを夢中で読んでた。

いじめられっ子漫画家 山田花子の『隠蔽された障害』をめぐるレポート by 虫塚虫蔵

凄い。情報量も熱量も凄い。熟読。私は割と過集中タイプなので、それこそ激烈熱中集中して読み耽ってた。
ふと、隣の男がワサワサ動いて、なんか独り言とか「おふおふ」変な声も出してるのが聞こえるということに気づいて見てみたら、こっちガン見しながら、膝の上に乗せた荷物で隠しつつガンガン手淫してて恐怖と嫌悪の奈落に突き落とされた。気持ち悪い。心底気持ち悪いし怖いけど動けないし声出せない。次のバス停で立ったらそいつ降りて行ったけど、不快感と恐怖で胸くそ悪いし最悪。集中すると周囲見えなく聞こえなくなるの、こういう危険性あるんだと痛感。心底吐き気するし怖い。

夫にLINE。「警察に突き出せばよかったのに」と言われたけど、まず恐怖で声出せないし、自分が触られたわけではないのをどう周囲に言えばいいの？「私、オカズにされてます！」って言うの？だいぶヤバい女じゃない？そもそもバス車内で手淫するなんて相当の確率で頭おかしいヤツ相手に助けてくれる人はいるのか、もし想定以上にイカれてて逆上されたらどうするのか、バスという密室でナイフでも出されたらどうする？松葉杖の人に誰も席譲らなくて、運転手が「お客様どうかどなたか」って懇願することすらあるんだよ？守って貰えるなんて思えないよ。仮に取り押さえてくれた男性がいたとして、バス降りて3人で警察待つの？何その地獄のドリカム編成。声を出せずに硬直してる女は、脳内で秒でこのくらい考えるってことを男は知らないから平気で警察とか言う。無神経。

でもさ、山田花子についてのレポートを読み耽ってる女をオカズにするって何？なんでよりによって山田花子の時に？山田花子の因果が巡ってヤバいやつ呼び寄せたの？っていうのは不躾な発言とは思うけど、根本敬なら言うんじゃないかな？因果だって。因果バスだって。普通、スマホに熱中しているだけの、ミニスカートなわけでもなく普通に服着て座ってるだけの女をバス車内でオカズにできます？山田花子の業と因果が催させたのだとしたら少しだけ分かるような気もする。

帰宅してレポート続き読む。すごいメンツが寄せた追悼文も載ってて、どれも読み応えある。数人に共通して語られていたのが「業が深い」ということ、「神の視点」など。蛭子能収の凄さに仰け反る。別段大したこと言ってない平易な文章なのに芯を捉えているし胸に迫る。丸尾末広の「自殺する人間は皆ナルシストである。死ぬ程自分が可愛いいのだ」という一文、そして何より最後を飾る大槻ケンヂの文章が全てを薙ぎ倒す程のエグさで背筋が凍る。よくこれを告白したなと。こんなん言うのは、自身のイメージよりも、悩める若者を救いたいという情熱を優先させたということ。そして心の底にある申し訳なさからの独白だと思う。

以前、リスカっていつからあるんだろうと書いたけど、この日記加筆転載を機会にさっきWikipedia読んだら、山田花子は中学2年の時にはリスカを繰り返しガス自殺未遂したと記載があった。少なくとも1981年にはあったということ。また、彼女はメモ魔だったとのことだが、もし当時Xがあったらツイ廃(今はポス廃？)だったんだろうなと思った。今の若いメンヘラ女子達が山田花子を読んだらどう思うのだろうか。大槻ケンヂの指摘する「肥大し過ぎた自我と自己愛の裏返し」だということに気づいて救われる道があるのだろうか。

そろそろ夕飯作らなきゃってキッチンに立つも、飛んだダイナマイトなバス男のことや山田花子のこと考えながら料理してたらピーラーで左手薬指の先をざっくり切ってしまう。血だらだら。私はなんでこんなシングルタスクなんだよー！

画像は山田花子が精神病院へ入院する前日に描いたもの。約2ヶ月後の退院の翌日、団地11階から飛び降り自殺した。24歳没。