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ささやか物語⑤雨宿りと男前女

最近はバケツをひっくり返したように雨が降って、10分もしたら嘘のように晴れている。

そんな時にミミは「虹でないかな?」と空を見上げます。

ミミが出会った 男前女 のささやか物語

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先日、ミミが仕事で訪問した先でお話しをしている時、空の機嫌が悪くなって、土砂降りになってしまった。

そんな時に限って傘を持って出かけるのを忘れてしまった…。

「すごい雨ですね」

ミミ「雨降るなんて聞いてないですよ〜」

なんて談笑を交えながら仕事の話を進めた。

このアットホームな会社にはお手伝いに来ている可愛らしい学生さんが1人いて、いつも楽しそうに話を聞いてニコニコしている。

無事に話も終わった頃、良い感じに晴れ間がしてきた。

「お!今なら駅まで走れば逃げ切れるかも!学生ちゃん(本当は名前で)も今のうち出ちゃいな」

と、事務所の人に急かせれて、学生ちゃんと一緒に駅に向かう。事務所から駅までは徒歩10分程度。

走れば6分くらいだろうか…学生ちゃんと足早に駅へ向かう。

が、、

その時またスコールのような雨が降ってきたのだ。

ミミ「うわ!だめだ!こっち!こっち!」

と学生ちゃんと一緒に高架下に避難する。

2人きりになるのは初めてで、、若干気まずい緊張が混じった空気が流れる。

ミミ「…なんかトトロみたいだね。雨の日って」

学生「確かに。ネコバス来てくれないですかね〜」

なんて冗談を言った瞬間に、電車が上を通過する。

学生「わぁ!すっごい良いタイミング!びっくりした!ネコバス来たかと思った!」なんてケタケタ一緒に笑う。まるで青春の1ページだ。

しかし…どうしたものか。駅までは後4分位の距離。事務所に戻るにも、傘を走って買うにも中途半端な位置。

雨は一向に止む気配がない。ほぼ初対面のアラサーとティーン。

むむむ。と頭を悩ましていると、少し先にカフェの看板が…

ミミ「コーヒーでも飲む?」

学生「え、でも、私。。今そんなにお金とか持ってなくて…」

ミミ「そんな事気にしないで良いから。時間あるなら。ここよりマシでしょ」

と言って一気にカフェまで走る。そしてホットコーヒーとジュースを注文した。

少しお洒落なカフェで、ちょっと怖気付いている学生に恋バナや好きなアニメの話などをネタに雨宿りをする。

ふと、そんな彼女を見ながら、あの人の事を思い出していた…

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ミミが20歳の頃、社会人なりたてでひよっこの私に色々と<オトナ>の世界を教えてくれた姉さんがいた。

身長が170㎝位あって、スラッとスタイルよくてお洒落で

マルジェラの靴やハイヒールをカッコよく履きこなし。プチプラもハイブランドも着こなす。

それでいて、クレバーで嫌味がなく、誰とでも明るく接している。絵に描いたような都会の女。

「ミミ、ご飯いこ!」「ミミ!服あげる!」などと私をよく連れ回して可愛がってくれていた。

一度あまりに気前が良いので「こんな貰ってもさ、何も返せないよ?」と言ったことがあった

「ミミ。違うよ。私だって、一人で今のお金も地位も遊び方も知ったわけじゃない。私にも私を可愛がってくれた人がいるの。その人に私も返そうと必死だった。でもねその人に教えてもらったの…

もし、自分に余裕が出てきた時に、今の自分のような子が目の前にいたら、同じ事をその子にしてあげたら良い。

それが、返していくってゆう事なんだ

って」そう言ってはにかんだ。

カッコ良かった。なんて…男前。男前女だ。

今は疎遠になってしまったが…

確か田舎の方に移住してスローライフを送っているって聞いたことがあった。

どこまでも男前だ。かなわないや。

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そんな事を考えていると

学生「あ!晴れましたよ!今です!」と学生の声が

私は足早に会計を済ませて

ミミ「早く、次の雨が来る前に、行こう!」

と言って2人で駅まで歩いた。

学生「あの、カフェのお代…私」

多分年上に奢られるという経験が初めてなのか、とっても気まずそうに言ってきた。

ミミ「良いの。気にしないで。もし、自分が大人になって誰かが今みたいになった時、今度は学生ちゃんがその子にしてあげて。それが返すって事」

とはにかんだ。

晴れた空を見上げて、

少しだけど…自分もあの男前女にお返しできたかなぁ

なんて思いながら、虹を探した。

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