さよなら
一言で終わるなら
こんな気持ちなど
知りはしなかったわ

君がいた夏を通り過ぎたら
何でもないと笑えますか

五感を震わせて
何物でもない何かを
掴む
あなたはさては、

世界が何色なら
あなたは満足しただろう？

花降らし散る雨の如
さらさざめくは泡沫か
君が霞んでゆくのなら
この世界も幻か

木漏れ日の
たおやかなるを
顔に受け
ただ君を待つ
晴れのまにまに

手鏡を
じっと見ている
宵の闇

暁に
眠れぬ夜を
徹しては
ただ飽きもせず
巡る日々かな

甘ったるいフラペチーノを飲んでいる
小さな詩を紡ぐ
一瞬、そよ風が吹く
寒気を感じて上着を羽織る
汚れた白い靴
儚い、心の柔らかい部分

明日世界が平和になって
皆が皆 幸せになって
それで良かったって思えるのなら
この苦しみは一体
何のためのものなんだい？

この人生に意味なんてないように
この苦しみに意味なんてないのに
僕らはそれを必要とするんだ

点はただの点だよ
そこに線を引くのは主観ってやつだ

小さな春につまづいて
さめざめと泣く
空を見た
あなたはきっと
優しいから、
優しさのまま
死ぬんでしょう

41℃の境界線
またいだ僕らを
陽が射し殺す

なけなしの
今日を一手と
抗えば
ただやむもなし
明日のまにまに

さらさらと
流れる春に
置いてかれ
水中に咲く
花を見ている

ただ春を
ただ春を待つ
枯れ木かな

あの夏を
思い出れば
君がいて
かくも哀しき
夏と知りせば