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よく似た2つの行動ログを深ぼってみたら、新しい検索体験のデザインに辿りついた

先日、Rettyアプリのメイン機能である「検索画面」のデザインリニューアルをしました。
この施策は、課題発見のために行動ログの分析をしたり手元のアプリで同じ条件を再現したり……と思わぬところから発見を得た自分としても印象に残る改善だったので、プロセスを記録してみたいと思います✍️

Rettyアプリの検索画面とは

全国さまざまな飲食店の情報が集まるグルメサービスRettyのメイン機能。自分のよく行くエリアの気になるお店をさがしたり、好きなジャンルのお店を集めたり。ユーザーさんとお店の出会いの入り口となる機能です。

改善前のアプリ検索画面

出発点は「リテンション率を向上したい」というビジネスミッション

最終的に検索画面の改善を行ったこのプロジェクトですが、はじめはApp全体のリテンション率に対する課題意識がことのはじまりでした。
この課題に対して会員登録導線の強化施策を行ったところ、ユーザー数自体は順調に伸びたもののリテンション率には影響はほぼなし。
そこで、会員登録後のユーザーの行動ログを見て「何がユーザーの利用モチベーションを下げているのか?」をリサーチすることにしました。

行動ログを見る・深ぼる

1. 最初の仮説を裏切る行動ログの発見

行動ログを見始めた当時は、こんな仮説を持っていました。

アプリDL後に使い続ける人が少ないのは、アプリのメイン機能である「お店検索」をつかっても”求めるお店”が見つからないと感じてしまうからではないか?

具体的には、
💭 検索条件にヒットするお店が数件しかない
💭 検索結果から条件にあうお店が見つけられない

…などの体験になっているのでは?

しかし、この仮説を裏切る2つのケースが行動ログで見つかりました。

当初の仮説では、この2つのケースはどちらとも「使い続ける」ユーザーの条件に該当するはず。なのに、ケース②のユーザーはアプリに再訪していない。
このことから、今の検索体験は"検索条件に合うお店がある”以外の課題があるあると考え直し、2つの行動ログの違いについて深掘りをすることに。

2. 同じ条件でアプリをさわり、ユーザーの気持ちになりきる

2つのケースをより深ぼるために、まずは実際に行動ログと全く同じ行動を自分の手元のアプリで再現。
そしてユーザーの気持ちになりきるために共感マップをベースに4つの観点を洗い出してみました。

ケース①
👀 見ているもの:検索結果に表示されるお店の系統が似ている
🤳 行動:上から順にお店ページを開く
😳 感じたこと:色々なお店があるな
⚡️ ストレス:全部のお店を一度では見きれない
   → 「多くのお店の中から選べる」価値にもなる

ケース②
👀 見ているもの:検索結果に表示されるお店の系統がバラバラ
🤳 行動:検索結果からランダムにお店を開く→ 肉バル系のお店のみ
😳 感じたこと:多様なお店の中から肉バル系のみを選ぶのは集中力が必要
⚡️ ストレス:お店選び中の思考の負荷が高い

そして、この洗い出しから得た発見は以下の3つです。

  • ケース①②では、検索結果のお店のバリエーションに違いがあった

  • ケース②は、検索結果の中から”肉バル系”のお店だけを選んでいた

  • ケース②のやり方では、お店を見比べるための集中力が必要でストレスを感じやすかった

この発見から、リテンション率を高めるには「アプリのメイン機能のお店検索でストレスの少ない体験をしてもらうのが大切だ」と課題を捉えなおすことができました。

よりストレスの少ない「求めるお店を見つけやすい体験」のデザインへ

体験の課題は、キーワード選びで検索の質が変わってしまうこと

行動ログのケース②の多様すぎる検索結果は「肉バル」というキーワードを入力していれば起こりませんでした。ただ、肉バルというキーワードは外食好きな人ならすぐ思い浮かびそうな言葉ですが、そうでない人にはやや思い浮かびにくい言葉です。

すぐ言葉が浮かぶ人だけ使うサービスであればこれは課題になりませんが、Rettyは使う人を選ぶサービスではなく、多くの人に外食の楽しさを提供するサービスです。
つまり、課題は「肉バル」という食ジャンルのキーワードを知らない・入力できないことではなく、検索体験の質が「ユーザーのキーワード選び」にのみ依存していることです。

であれば、「キーワード選び」に依存しない=キーワード自体を知らなくても求めるお店が見つかりやすい検索体験を実現しよう、とコンセプトを決め、具体的には新しい検索サジェスト画面をデザインすることになりました。

実際にリリースされたデザイン

今回「キーワードを知らなくても求めるお店が見つかる」検索体験を実現するためにデザインしたポイントは以下の2つです。

💡画像を添えることで、イメージ想起からでもジャンルを選択できる

「なに食べたい?」と聞かれたときに、具体的に「韓国料理がいい」と言えるときもあれば「今日は寒いから温まるものがいいかなぁ」とぼんやり想起するときもあると思います。
そんな、ぼんやりとした状態からでも楽にお店探しが始められるよう、この検索サジェストではテキストだけでなく写真を添えることで感覚やイメージを想像しながらジャンルを選択できるようにしています。


💡テーマに合わせて、より感覚的にジャンルを選べる
また、お店を探す基準が「食べたいもの」の場合もあれば、一緒に行く相手によっては「お店の雰囲気」が探す基準になることが、過去のユーザーリサーチで明らかになりました。
そんなユーザーのために、ただジャンルをサジェストするだけでなく「どんなシーンでおすすめなのか」を伝えるテーマを添えています。

これによって、例えばこんなお店探し体験を提供したいと考えています。

Before
🤔 久しぶりに会う友達との外食だから… ガヤガヤしてたら嫌だけど…静かでかしこまる感じでもない…おしゃれな空間だとテンションあがりそうだけど……そんなお店をどう検索したら見つかるんだろう?

After
🤔 久しぶりに会う友達との外食だから… 
💡 なるほど!「カジュアルな外食」にはイタリアン、ビストロ…などがいいのか。確かにイタリアンのお店で探せばおしゃれな感じでいいかも!

メイン機能を大きく見直すということ

今回アプリ内のメイン機能に手を加えるような大きな改善であったにも関わらずプランナー・エンジニアとスムーズに連携した上で開発を進めることができました。施策を考えることはもちろんですが、その施策を実現するためには日ごろの連携や信頼関係づくり、なるべく早い段階での内容共有……など他メンバーとのコミュニケーションを障壁にしない関係づくりの大切さも思いがけず実感することができました。

無事リリースされた新しい検索サジェストRettyアプリで現在も提供しています。リリース後に定量で見るユーザーからの反応も様々で、まだまだ改善を続けていきたいと思っています。
Rettyのお店探し機能ぜひ使ってみてください😋


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