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小説

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書いたやつはとりあえずここに放り込んでます。少し読みにくいと思われますが、まとまった量ができた話から別途まとめる予定です。 ※新しいものが上に来ています。思いついて書いたものをど…
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これで終わるつもりだったが、僅かに狙いがそれた。頭部中心やや上よりを貫いた銛は1秒ほど間を開け穂先から第二の刃を伸ばすが、致命打には至らず。貫き過ぎたのだ。中心やや右よりが一番確実なポイントだったが、焦りが狙いを僅かに逸らした。即座に倒壊した建物を背にし、身構える。反省は後だ。

技術的な話はわからないが、このロボットは一時的に動きを良くすることができる。なんでも水の影響をほぼゼロにするんだとかで、とにかくやたら素早くなる。ただこの状態は燃料を食うので、ここぞという時でしか使うことはできない。今がその時というわけだ。至近距離、頭めがけ巨大な銛が放たれる!

槍の穂先にも似た頭がこちらを向くと同時に、射出されたカプセルが破裂、粘性の強い液体が目の前の巨大生物に絡みつく。こいつがただの魚なら呼吸困難で死ぬんだろうが、そうもいかない。だが、ペースを掴むには十分!ずんぐりした巨体は巨大生物目掛け、見た目からは想像できぬ俊敏さで接近する!

さっきまで俺たちがいた建物が崩壊していく。相当の圧力に耐える設計ではあったが、水圧に加えて大質量がぶつかってきたとなればどうしようもない。崩壊に乗じて俺たちがのるロボットは巨大生物を射程内に捉える。「いくぞ」胴体下部が開き、先制の一手が放たれる!

(これまでのあらすじ:俺たちの仕事は海底に沈んだ都市の調査だ。調査の中で有力な資料を見つけたのはいいが、邪魔が入った。水底に潜む、詳細不明の魚型巨大生物。俺たちは大急ぎで来た道を戻り、乗ってきた海底探査兼対巨大生物戦用のロボットへ乗り込む。さぁ、戦いだ!)

海底の調査が始まって十年以上が経つ。最初に建造物がある深さまで潜ったのは無人探査機で、調査を始めて数日後に信号が途絶えた。探査を重ねた結果わかったのは、何らかの攻撃性の高い存在がいるということ。そして、この魚の骨じみた何かがまさにそれだ。こうなると逃げ切るのは困難、打ち倒すのみ!

水の流れが壁を破壊し、周囲が水で満たされる。光はない。深さを図るのも飽きるぐらいの深海だ。頼れるのはセンサーとライトのみ。慎重に外へ出ると、カメラが揺れの原因を捉えた。矢のような頭部と、それに比して細長い胴体。胴体は無数の+がつながったような形状だ。「やってくれたな、魚骨野郎」

「もう壊してもいいんだろ?」「良いも何も」「だな」今だって揺れは続いているのだ、ここはもう長くはないだろう。「じゃ、出るぞ!」手近な壁に向け、腕を伸ばす。こいつには腕も足もある。人型というか、卵に手足が生えたような姿だ。無骨な腕が壁を容易く引きはがし、一気に水が流れ込む。

操縦室…兼、居住スペース。巨体とは裏腹に3列シートの車程度の広さしかない。それぞれの椅子には抜け殻じみた耐圧服。足元には雑誌とゴミ…と、調査資料。「いけるか」「おう、反撃開始だ」鎧の如き耐圧服に素早く潜り込み、中で指を動かす。ハッチが閉まり、暗闇を計器とカメラ映像が照らす。

大揺れは規則的。倒壊は間近だろう。「チッ、なんで反応遅かったよ!?」「聞くな。今はとにかく走れ!」「わかってる!」数百メートル走ったところで、ようやく開けたエリアに。そこには暗がりの中佇む、30メートル超の巨体があった。俺たちは足元から昇降機を使い胴体へ上り、中へと乗り込んだ!

促され、ミイラを再び照らす。「これは」大事そうに抱えられた紙束。「視力いいな」「注意力の問題だろ」図星だ。話を逸らそう。「社外秘か…こりゃ追加報酬アリかもなァ」「生きて戻れれば、な」レーダーに反応。「来たか…うおっ!?」強い衝撃!「急ぐぞ!」「ああ!」揺れの中、廊下を駆け抜ける!

置き去りにされた生命維持カプセル(機能を停止しているので実質只の棺桶)を開くと、ミイラじみた死体。これで何度目か。念のため構えていた銃を下ろし、汗を拭う。「これで終わりか?」「構造から考えると、そうだな」別の部屋から戻った相棒に応じる。「今回も収穫は無し…ん、それ、何だ?」

(ここから別の話)

あの日は私の命日だし、生まれ変わった日でもあった。しみったれっぱなしの人生送るくらいなら人間辞めた方がマシだって、あの時も今も思ってる。若い時ってそういうものでしょ?実際そうなっちゃった人はあんまりいないだろうけど。頭の中にいるサイコ野郎も、それはそれで退屈しないから別にいい。