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お粥やの物語番外編 第2章5-3 謙太の呟きと神さんたちの内緒話

【賢者の名言】
「他人のために頑張る人生にこそ価値があるというもの」

アルベルト・アインシュタイン


【謙太の呟き】
シンデレラを助けたい……。
でも、僕は魔法を使えません。ガラスの靴だって、どこで売っているのか知らないし。そもそも、そんな靴、売っている店があるんですか。

あったとしても、全財産の四万円程度で、いや、家賃を払った残りの二万円を使うことは難しい……。
生きて行くためには、ご飯を食べなければなりまん。
でも、シンデレラを助けてあげたいという気持ちは本当です。
こんな僕で、何をしてあげられるだろう……。


【神さんのたちの内緒話】
「他人に良いことをすれば、いずれ自分に返ってくるものです」
「それは否定しないが、俺の場合はリターン率が悪い。百の良いことをしても、戻って来るのは五分の一もない」
「百とは……。河さんはそんなにたくさん良いことをしているんですか」
「こう見えても、山さんの見ていないところで、色々とやっているんだよ」

「それは感心ですね……。でも、河さんのリターンというのは、女の人に優しくされるとか、笑い掛けられるとか……。女性を抜きにしたら、お金が手に入ることくらいでしょ」
「当然だろう。それ以外に、良いお返しなんて、俺に必要ない」
「だから、リターン率が低いんですよ。何かをしてあげて、その人が助かれば、やった人も幸せな気持ちになるでしょ」

「言われてみればそんな気もしなくもないが……。だが、山さんが幸せになると、なんか悔しいな」
「子供みたないことを言わないでくださいよ」
「俺は自分の心に正直なんだ」
「それなら、私が不幸になったら嬉しいんですか」
「それも、ちょっと違うな。山さんも幸せになっていいが、俺より幸せになってほしくない……。そんなところかな」

「そんなつまらないことを考える暇があったら、彼を応援しませんか。私たちの明日は彼に掛かっているんです。最悪の場合、二人で不幸を競い合うことになる。そうなったら、どんなに良いことをしても這い上がれません。女性の笑顔も見られなくなりますよ」
「怖いことを言わないでくれよ」

肩を震わせる河さんを流し見て、ニヤリと笑う山さんでした。


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