見出し画像

取材中は、ペット不可。

若干、
花粉アレルギーでもあるけれど
動物アレルギーでもある。
子供の頃は平気だった気もする。
でも、気づいたら
小さい動物も大きい動物も
苦手となっていた。
どんなに小さい犬でも
散歩しているとき前から
やってきたら
大きく迂回。
おもにヌードを描く
デッサン教室に没頭していたときは
ほかの生徒が来る前から
見やすい位置にスタンバイして
場所取りをするほど
熱心に通っていたのに
先生が
「来週は小動物を描きましょう。何か動くものを連れてきます」
とおっしゃったので、翌週は
・・・休んだ。
そんなある日、
シャンプーの取材の仕事が来た。
あるシャンプーを使用している
主婦の自宅へ行って撮影し、
効果や感想などを
取材することになった。
カメラマンと
ご自宅のマンションへ伺い
ドアを開けたら
大きな犬が飛び出してきた。
うわっー。。
と、心の中で叫んだが、
いや
しかし。
待って。
カメラマンもいる。
いまから帰るわけにも・・・。
大人やねんから。。
というわけで
出されたふわふわの
スリッパを履いて
平気な顔をして
リビングで取材を始めた。
ソファに座って
質問をして
録音しながら
メモを取る。
主婦はテーブルの向こうに座っていて
話す姿を撮影されている。
足元でうろうろする犬。
一応、
ちゃんと質問していた
つもりだけれど
はっきり言って
上の空である。
そのうち、
いよいよ
がまんできなくなって
ソファに正座して
質問し始めた。
主婦はちょっと
不思議な顔をしたが
質問に答えつづけている。
勇気を出して
・・・ソファに正座したというのに
犬がくる。
モフモフの大きな顔が
正座のひざに
近づいてくる。
ひ、ひざが丸呑みされそうや・・・
と思った瞬間、
私は無意識に
ソファの上で立ち上がって
ぴょんと
ジャンプしていた。
そして、そのまま
すっとしゃがんで
「それで頭皮の状態はどうなりました、か・・・?」
と真顔で質問を続けた。
そのあとは・・・。
ソファの上に
コンビ二前でたむろする感じの
ヤンキー座りで
メモをとるスーツの女。
という妙なスタイルの取材となった。
結局、
撮影後に主婦が
「あの・・・犬が苦手なんですか・・・?」
と言いつつ
隣の部屋に連れて行った。
初めからそうして聞いて
欲しかった・・・
それからは
誰かの自宅での取材はNGとした。
しばらくして
ペット薬の
仕事の依頼があったが
撮影に立ち会ったりするのは
ムリ・・・
と秒でおことわりしたのであった。