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おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 78 生理

エスファハーン
2023.1014 Sat
 
2023年10月14日。今日でわたしは48歳になりました。
 
もともと日本で過ごしているときからその傾向があったのですが、この旅に出てから、初対面の人に対して “自分からは” 決して聞かないことが2つできました。
“年齢を尋ねないこと”
“職業について詮索しないこと” この2つです。
理由はシンプルです。
年齢については、まったく興味が無いから。職業については、逆に興味があり過ぎるから。
興味が無いことを聞く理由がないし、逆に興味がありすぎることをいきなり聞くのは初対面の人に対してちょっとアレかな、と…。
という訳で、おっさんのわたしとしては、相手が話す分には全然かまいませんが、こちらからはそれ系の話題を振らないようにしているのですね。

働くことが苦手な私は、日本の繁華街を歩いているときでも「こいつらどんな仕事しとんねん?」とよく考えます。私の希望、それは仕事っぽくない仕事で金を稼ぐことです。


48歳になったことに関して、格別思うことはありません。
「えらい老けてますね」と言われるのはさすがに嫌ですが、「若いですね」と言われて喜ぶこともないし、若作りをするつもりも更々ありません。
ですが、体力はできるだけ維持していきたいし、感性もできるだけ鈍化させたくない。
そういう “想い” と単にやりたいからという “希望” が上手く合わさったから、キックボクシングを続けていたし、バックパッカーにもチャレンジしたわけです。

エスファハーンの働くバイク。なるほど、ヘッドライトバイザー、通称ピヨピヨの正しい使い方って、こういうことだったんですね!


48歳になったばかりの夕方6時半過ぎ、イランはエスファハーンにあるヴァーンク教会を訪ねました。しかし、生憎のクローズド。単純に時間が遅すぎて閉まっていたのですが、特に残念には思いませんでした。
ヴァーンク教会には歩いて向かっていたのですが、街の感じから、期待していたものとは違う雰囲気なのをビシバシ感じていたからです。それに、午前中のモスク訪問からでも感じていたのですが、やはりわたしは観光名所にそんなに関心が無いのです。
ですから、ヴァーンク教会付近のずいぶんと洒落た雰囲気に
“あらあら、こんな雰囲気ってことなんやね”
くらいの感想しかありませんでした。日本で例えるなら銀座でしょうか(この例え自体が失礼ですが)、高級そうなお店がずらりと並び、街行く人々も皆ショッピングを楽しんでいます。
しかし、繰り返しになりますが、わたしは洒落た雰囲気など求めていないのです。これは、海外だからだとかバックパッカーだからだとかイランだからだとかではなく、日本に居るときからそうなのです。つまりわたしの趣味嗜好の問題でありまして、それだからしてもうどうにもならないんですな。

まあ正直言って、コレ系ってあんまり興味ないですな。洒落た場所にも興味なし。古くてボロいけど労働者がたむろしている、そんな食堂が私のようなおっさんにはお似合いなのです。


歩き疲れたので、とりあえずコーヒーでも飲もうかと、路面店に入りました。選んだ理由は、「テイクアウトしてすぐ前のベンチで飲めるから」。貧乏性で閉所が苦手なわたしは、せっかく海外に居るのだから基本的に外で居ることを選びたいのです。
コーヒーを注文し、そして外で待つことにしたわたし。と、そこにはフルカウルのバイクが停まっているではありませんか。
“Kawasaki…?”
ブラック基調のフルカウルに、アクセントとなるライムグリーン。ことバイク界において、Kawasaki意外にライムギリーンを配色するメーカーをわたしは知りません。しかし、よくよく視ると、タンクにはMegelliの文字が…。
“ほうほう、メガリってことね…”
KawasakiのNinja250SLそっくりのそのバイクは、カブタイプやスクータータイプが主流のイランバイク界において、あきらかに異彩を放っていました。迷うことなくスマホで写真を撮ろうとするわたし。撮影後、視線に気づいて顔を上げると、所有者であろう若者と目が合いました。
「Your bike is very CoooL!」

今回の話の主役となる、レザーとメガリ製バイク。レザーはいわゆる地元のトッポい兄ちゃん。若者はこれくらいガキっぽいほうが、わたしとしては好きですね。なにかと笑えるし…。

こと外国において、クルマやバイクを撮るときに許可など必要ありません。自慢のマシンを撮られて怒る人などいないからです。
万が一、それで文句を言われたら、
「このバイクがクールだから写真を撮っただけだ。オレなんか間違ったことしたかい?」
とでも言ってやれば、
「OK, Bro. お詫びに一杯奢らせてくれよ」
となるでしょう。
 
この場合も、若者は大喜びです。しかもわたしは日本人。ありがたいことに、日本製のクルマやバイクが高性能なのは、世界の常識なのです。
バイクに跨りエンジンを掛けてくれた若者は、次いでこう言いました。
「You ride!」
「Ya!」
躊躇なく応えたわたしがタンデムシートに跨りステップに足を置いた瞬間、バイクは発進しました。
土曜日の夜7時前、イランの銀座(みたいな)ストリート。イスラム圏の休日は金曜日らしいですが、土曜日でも相当な混雑です。その狭すぎるが故に一方通行の道路を、若者はバイクで飛ばします。ケツにわたしを乗せて…。
“まあまあまあまあ…”
わたしはひとりごちました。ここいらを一周して戻るだけやし。
広い通りに出た瞬間、若者がアクセルをワイドオープンしました。もとより低いギアで高回転まで回していたものですから、バイクは強烈に加速! しかも “ここでシフトアップやろ” というわたしの予想を覆してバイクは加速し続けたのです。

そこいらの人より車やバイクに詳しいつもりですが、イランの車やバイクはほとんど知らないメーカーや車種ばかりでした。西側でも東側でもない、そんな世界がまだまだあるのでしょうね。

“フッ…。やるじゃない”
アイン張りに呟いたわたし。タンデムフックを持つ両手に脂汗が滲みます。
サイレンサーとは名ばかりの直管仕様のマフラー。そのサイレンサーから爆音をまき散らしながら、“レザー” と名乗った若者は夜の街を疾駆しました。それなりの交通量があるアンダーパスをくぐったとき、わたしの勘では4速全開にしていたように思います。レザーはノーヘル、わたしだってノーヘル半袖です。コケたらただでは済まないでしょうな…。
“これ、どこに行くねん…。って言うか、どこまで行くねん…”
「ちょっとここいら一回りしてくるから、ケツに乗りなよ」
そう言う意味合いでレザーは誘った、わたしはそう理解していました。いえ、もしかしたら、レザーもそういう意味合いで誘ったのかもしれません。ただ、わたしとレザーの “ここいら一回り” の感覚が違ったという可能性は大いにあります。
“もう少し…。もう少しだけスピードを落としてはくれまいか…?”
そう願ったわたしですが、気付けばレザーに向かってこう叫んでいました。
「おいおい、ええ加速するし、音もサイコーやんけ!」

怖いとか怖くないとかじゃなく、本当に振り落とされないようにするだけで精一杯でした。そんななかでも太ももを開き、運転手に抱きつかず、精一杯の強がりを見せるおっさんのわたし。バイクのマッドシティであるホーチミンが安全地帯に思えるほどの、強烈な体験でした。

腐ってもバイク乗り。わたしにだって矜持があります。2ケツをするからにはすべてを運転手に任す。2ケツの後ろは運転手の邪魔をせず、荷物に為りきる。
レザー自体はバイクに乗れているので、わたしがビビって下手をコカない限り事故る可能性は少ないでしょう。無理やりにそう自分を納得させます。
どれくらい疾駆ったでしょうか? あるモスクの前にレザーはバイクを停めました。
そして、レザーと一緒にモスクに入りました。ガキんちょのくせに旅行者であるわたしへのサービス精神もある、なかなかのナイスガイです。
礼拝見学も終わり、バイクの後部シートに跨るとき、わたしはスマホの画面をレザーに見せました。
「おれ、あの店でコーヒー頼んだままなんだ」
そのとき、バイクのケツに乗ってから初めてスマホを触りました。そして、優に30分以上バイクに乗っていたことに気付いたのです。
Go back that street. わたしの願いに、レザーは笑顔で応えました。
奴の背中越しにデジタルメーターを覗くと、エンジンチェックランプがオレンジに点灯。
「エンジン回し過ぎやねよ!」
走行中にもかかわらず、レザーは振り返ってわたしに微笑みかけました。
「It’s no problem!」
 

2ストローク空冷単気筒! この素っ気ないエンジンの耐久性は如何ほどなのでしょうか?


繰り返しになりますが、今日でわたしは48歳になりました。
いやはや、若い奴らの感覚とかノリって、マジでヤバいっスね…!

格好つけてるおっさんって見てられないですが、格好つけてる若者は嫌いじゃないですね。むしろ若いときに好きなだけ阿呆なことをしたほうが良いとさえ考えていますよ、わたしは、マジで。


 

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