おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 70 挑戦
キルギス
2023.1001 Sun
N氏と知り合ったのは、たしか2020年の9月です。
極端に数字に弱いわたしがなぜそんな細かい数字まで覚えているかというと、この年にはそう、コロナがあったからなんですよね。
2020年の1月前後から始まったコロナ騒動。そのときわたしは、結婚式に着るドレスの配送というなかなかレアな仕事に就いたばかりでした。
2月の中旬までは “なんか大変そうやな…” くらいの他人事で済ましていたのですが、3月に入り事態は急変! 結婚式もキャンセルが相次ぎ、ドレスの配送どころではなくなってきました。
3月終了時点でドレス配送の仕事は消滅。会社側も必死で対応し、生活雑貨の配送がわたしの担当になりました。しかし、この仕事も二転三転…。まあ仕方ないですよ。この頃は社会全体が完全にパニック状態でしたし、普通の社会生活を営むこと自体が難しかったのですから…。
7月くらいですかね、空気を読んで「ちょっともうアレやから辞めますわ」と会社に伝えたわたし。「…悪いねえ」。社長は素直に頭を下げました。
渓流釣りの最盛期ですし、東京の夏は暑いですし、別にしがみつく程の仕事でもないですし…。不思議と言えば不思議ですが、わたしは特に不満も焦りもありませんでした。
7月は釣りを楽しみ、8月はツーリング。9月に入り、釣りの合間に職探しを始めることにしました。そこで出会ったのがN氏です。
出会ったといいますか、あれですよ、アジア周遊に出掛ける前まで働いていた会社の上司にあたる人がN氏なのです。
面接時にN氏は言いました。
「これこれこういう配送内容です。拘束時間は12時間…」
「12時間はちょっとキツいですね」
自分の希望拘束時間を率直に伝えました。わたしにとって仕事とは、自分の時間と賃金の交換です。もちろん指示には従いますし、それなりに敬語も使いますが、それは便宜上のこと。
その点、N氏は話のわかる人でした。
理不尽な要求をすることもなく、無意味にデカい態度をとることもなく、必要な指示を適切なタイミングで出し、基本的に淡々とした態度で仕事に臨んでいました。当たり前と言えば当たり前なのでしょうが、“先進的” と言えば噓になる運送業界において、こうした勤務姿勢はわたしのようなタイプの人間にとって有り難いものでした。
時は過ぎ…。2023年4月の終わり、ゴールデンウィーク直前。N氏に会う機会が無かったわたしは、やむなくメールで退職する意向を伝えました。
「わかりました。ちなみに、なにかあったのですか?」
了承かどうか、そこから書き始められたN氏のメールに、わたしは好感を覚えました。
年齢的なものなのか、特にポリシーがあるわけではないのですが、なんとなく会社の同僚とは深く付き合わず、一定の距離を保っていました。そんななか、仕事終わりに事務所で会ったある同僚に、ポロッと “アジア周遊” 計画を話しました。
「どうなるかわからんし、こっ恥ずかしいから一応内緒ってことで…」
たしかにそう伝えたはずですが、3日後には会社全体の知るところとなっていたようです。
5月も半ばを過ぎ、急遽決定した “アジア周遊計画” がいよいよ現実味を帯び始めた頃、N氏から声を掛けられました。
「アジアでバックパッカーするんですって?」
いつもとは若干異なるトーンで話し掛けてきたN氏。なんと! 聞くところによると、10余年前までN氏もバックパッカーとして世界中を巡っていたらしいのです。世界中ということは、南米やアフリカなどもガンガン行く、いわゆる “本格派” です。
仕事とは関係なく、N氏と旅について話しました。
「どこそこに絶対行きたいとか、そういう計画はないんですよ。けど、文章を書くのが好きなんで、web日記くらいは書くつもりですね…」
そんなことを話していたとき、N氏に尋ねられました。
「SNSとかで発信しないんですか?」
「多分それはないっすね」
わたしは即答しました。
書くこと自体に意味がある。書き続けることに意味がある。もしそれが面白いものであるならば、誰かが見つけ、そして読んでクスッとしてくれる…。そういう想いがわたしにはありますし、それだけで充分です。
それに、いままでわたしはSNS全般を頑なに拒否し続けてきたのです。
「いつでもどこでも、誰かと繋がる必要などない」
これがその理由です。
そういう旨のことを伝えたとき、N氏はこう応えました。
「え? せっかく世界に旅立つのに…。なんか小さいこと言いますね」
N氏の目が、挑発的に煌めきました。もちろん好戦的な意味合いではなく、それはわたしを “バックパッカー仲間” として認めたからこその提言でした。
それが素直に嬉しかったし、なによりN氏の言葉には説得力がありました。
「…その通りですな。やってみます」
そうN氏に告げました。
そして出国後、わたしはインスタグラムを開始しました。
昨日、わたしは同部屋のDちゃんを誘って、アラ・アルチャ自然公園にトレッキングに出掛けました。キルギスの首都ビシュケクの南約30kmに位置するこの公園は、これといった公共交通機関がなく、したがって旅行者はタクシーを利用するのが一般的となります。
「バスで行くと、公園の入り口手前10kmまでしか行けませんよ。『Yandex Go』でタクシーを呼ぶのが便利です」
そう宿の奥さんに教えられ、やむなく『Yandex Go』アプリをダウンロードし、配車手続きの確認を始めました。“やむなく” というのは、わたしはこれ系の手続きが極端に苦手、有り体に言うと嫌いだからです。自分のキルギス電話番号すらわからず、アプリの操作方法もわからない。悪戦苦闘すること約1時間。どうにかこうにかアプリ操作をモノにすることができました。
そして翌朝。
『Yandex Go』で配車依頼すると、早朝7時前にもかかわらず、なんと5分後にタクシーが到着しました!
キルギスの大自然、そしてトレッキングを満喫したあと、現地で『Yandex Go』を使うと、またもや5分後にタクシーが到着!
タイムラグなしの到着、値段交渉も必要なし、運転も丁寧。なんなら、目的地まで居眠りすることだって可能です。正直に言って、海外の移動でこんなスムース且つ快適な時間が過ごせるなんて、思ってもみませんでした。
インスタグラムもすっかり気に入りました。『Yandex Go』もサイコー!
新しいものってやっぱり便利だし、新しいものに挑戦することって、やっぱり必要なんですね。
※わたしのインスタは、『a._milltz』で検索してみてくださいね。
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