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生産者来日イベント「ジャンテ・パンショ / ニコラ・ロシニョール」

フランス・ブルゴーニュから来日されたワイン生産者のテイスティングイベントに行ってきました。


生産者来日イベントとは

海外のワイン生産者が来日された際に、ワインを取り扱ってるレストランやワインショップなどで、生産者から直接話を聞きながらワインをテイスティング(試飲)するイベントのことです。
この日は、世界中のワイン愛好家を虜にしてやまないワイン銘醸地、フランス・ブルゴーニュから2生産者が来日されました。


生産者紹介

ジャンテ・パンショ

オーナーファミリーのファビアン・ジャンテ氏が来日。
ブルゴーニュの銘醸地、ジュヴレ・シャンベルタンに本拠地を置く、古樹から収穫したぶどうで造られる凝縮した果実味のワインが特徴的な生産者です。
コート・ド・ニュイにおいては他に、マルサネ・モレサンドニ・シャンボールミュジニーなどにも畑を有しています。
ご本人は、少しシャイな印象で、笑顔が素敵なチャーミングな方でした。

ニコラ・ロシニョール

オーナーのニコラ・ロシニョール氏が来日。
1997年に創設された比較的新しいドメーヌですが、ヴォルネイの地で躍進的な生産をされています。
コート・ド・ボーヌにおいては他に、アロース・コルトンなどにも畑を有し、新しい試みとしては、2023年にボジョレーに3.5haの畑を新しく購入し、ワインの醸造を始められたようです。赤ワインがメインですが、アリゴテやムルソーなどの白ワインも少量生産をされています。
ご本人の印象は、会話の中で軽いジョークも言われ親しみやすい方でした。

当日のワインリスト

1 2021 ジュヴレ・シャンベルタン / ジャンテ・パンショ

50年以下の樹齢のぶどうだけで造る村名ワイン。
2021年は暑い年だったそうですが、エレガントさを残し醸造することに成功されたとのこと。
美しいロゼ色、フレッシュな摘んだばかりの薔薇の香りが圧倒的で、ものすごくエレガント。透明感があり、ピュアで、赤系果実を口いっぱいに含んだかのようなみずみずしさがありました。

2 2020 ポマール / ニコラ・ロシニョール

ポマールは「ちょっと粗野で荒々しいイメージがある」と言われていた二コラ氏。しかし、畑や作り方によってエレガントにもなることを実証できたと思う、と言われていたことが印象的です。また「2020年は暑く凝縮したぶどうが収穫されたが、22か月の樽熟成を経て、2度とこのワインはつくれないと感じるようなヴィンテージになった」とも言われてました。
肉厚で、豊満な女性のような印象、野性的な複雑な香りの中にルージュやインクなどのニュアンスでチャーミングな味わいでした。

3 2020 ヴォルネイ・オリジーヌ / ニコラ・ロシニョール

古くから扱っていた畑で35~90年の古樹からとれたぶどうで造るワイン。ヴィエイユ・ヴィーニュと名乗ることもできるが、実は、ヴィエイユ・ヴィーニュには規定がないことから、区画名ではなく、自分たちの「オリジナル=起源」を大切にしたいことからこの名を付けたそう。「オリジーヌ」以外の候補はなかった、とのことで生産者このワインへの情熱を感じます。
除梗をしない全房発酵(茎を含めての発酵)することで「青臭くなるのではないかと思う人もいるだろうが、果実の丸みがあるので青みが出ないようにできた自信があり、ぶどうのエナジーを溜めたいことから100%のうち30%ほどをこの方法を採用している」と言われていたことが印象的です。
果実感が圧倒的で、異なるヴィンテージのブレンドからくる香りの複雑さがあり、甘やかさの中にもしっかりとした骨格とタンニンを感じました。粘性が非常に強いことからも樹齢が古いことを伺い知れます。余韻が長く、桜やヨモギなどの春の香りを最後に感じました。

4 2019 ジュヴレ・シャンベルタン 1er cru ポワスノ / ジャンテ・パンショ

ジュヴレ・シャンベルタンは一般的に、粘土質や石灰岩の土壌だが、こちらの畑は粘土質が少なく、石灰岩が多めの土壌であることが特徴的。
昔からのテクニックのひとつである低温浸漬を用いる理由として「浸漬をすることで美しい色調を抽出し、暑い年でもミネラルやフレッシュさを保ってくれると信じている」と言われてました。醸造方法もクラシカルなもので、抽出を強くしすぎないように気を付けているとのこと。熟成は14-18ヶ月で、ヴィンテージによって変化を持たせ、新樽は最大50%、残りは古樽(1回使ったもの)を使用。
圧倒的な薔薇の香り、薔薇のエキスが凝縮された香水のようで、口の中も薔薇がいっぱい広がります。甘い香りの奥にブランデーのような濃厚さも感じる妖艶なワインでした。

<低温浸漬>
赤ワインの濃い色調と華やかで豊かな風味を引き出す技術を指し、発酵が進行しないよう低温でもろみを数日間保ち、その後は圧搾を行い、果汁を分離しつつ発酵させること。従来の発酵を並行させる浸漬とは違い、濃縮感を得つつタンニンをほどよい程度に抑えることが特徴。

【教えて】 発酵前低温浸漬とは? - Terroirum

5 2019 ヴォルネイ 1er cru シュヴレ / ニコラ・ロシニョール

ヴォルネイの畑の真ん中に位置する一級畑のシュヴレ。生産者の言葉で印象的だったものをいくつか紹介します。
「2019年は非常に暑く凝縮しているが酸は残せた」
「ブルゴーニュも温暖化の影響があり、年々収穫の時期が替わってきている。以前は、10月末、今では 9月末に収穫し、生産者によっては栽培するぶどうを変える必要があるという人もいるが、わたしはそうは思わない
「石灰岩がある土壌こそがブルゴーニュであり、ピノ・ノワールとシャルドネを生かすために、人がこの環境を受けいれるにはどうしたらいいかを考える必要がある」
「暑いということは、成熟がよく行われるというポジティブな面があり、ネガティブな面にどう耐えうるかの努力こそ生産者に必要
タンニンの角が取れ、ピュアな果実味。ミネラリティがあり非常にバランスの良い味わいで、これこそニコラ・ロシニョールという見本のようなワインでした。

6 2020 シャルム・シャンベルタン Grand cru / ジャンテ・パンショ

ジュヴレ・シャンベルタンに9つある特級畑の中でひときわエレガント。隣にはグリオット・シャンベルタン、向かいにシャンベルタンが位置します。
醸造方法はすべてのワインで全く同じ工程を踏んでおり、異なるのは15ヶ月の熟成と100%の新樽率。
「繊細なシルキーなタンニンと、筋肉質なぶどうにフレッシュさを残せたことで素晴らしいヴィンテージに仕上がった」と同時に「まだまだ熟成させる必要があると今飲んで改めて感じた」とも言われてました。
6種類のワインをいただいた中で、香りの層が圧倒的で、複雑さの厚みが格別でした。まだまだこれからの熟成に耐えうる非常に高いポテンシャルを持つワインであることがひしひしと感じられるワインでした。

まとめ

フランス・ブルゴーニュの北部コート・ド・ニュイ、ジュヴレ・シャンベルタンから「ジャンテ・パンショ」、南部コート・ド・ボーヌ、ヴォルネイから「ニコラ・ロシニョール」の2生産者の来日イベント。
いずれもピノ・ノワールから造られた赤ワインですが、生産者やヴィンテージ、畑によって、こんなにも特徴が異なるワインが生産されるのだと改めてその魅力に酔いしれたイベントでした。素晴らしいワインとの出会い、生産者と貴重な時間を過ごせたことに感謝です。


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