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メランコリック

お天道様が高く高くのぼる季節になりました。油蝉さん、朝からお元気なことで。わたしは、ちっとも元気なんかではありません。波のように押し寄せていたレポオトとやらは終わりました。いえ、終わらせましたと言った方が、それは確実でしょう。今度は、試験が忙しなく迫ってきます。今は、電車に乗って何日か学びに出ています。厭です。何が厭って、面倒ですものね。縛られた生活というのは、厭に面倒です。だけれど、自由はもっと自分をしっかりと持たないといけませんので、それもそれで苦痛です。季節を越えて、怠惰になってしまったものです。ああ、厭。怠惰な女は、可愛くありませんね。可愛げがちっともない。お化粧をして、お気に入りのワンピイスを着ます。水玉のアンブレラを日よけに、歩きます。

最近、なにもかも全て手放せてしまったら、どれだけ素敵なのでしょうと考えます。でも、それを投げ出せるほどの勇気は、こんなちっぽけなわたしにはありません。そんなものなのです、わたしというものは。

電車に乗る時間は、本を読みます。揺られながら、ペエジをめくります。本はとてもいい。知らない世界に行けた気分になる。それに、自分に無い知識を埋め合わせてくれます。太宰に谷崎。それに、モームとサガン。ロマンのある、メロウな文章は時間を忘れさせてくれます。それを、わたしは好むのです。その、なんでもない時間。学校の先生方が勉強に当てなさいと言う時間をわたしは好みます。ああ、厭。怠惰なのでしょうか。きっと怠惰なのでしょう。やりたいことは沢山あるのに、やりきれないのかやるせないのです。自分の健康は守られていないのに、エイさんだかビイさんだかシイさんだかの健康を考える生活に飽き飽きしています。いつになったら、報われるのでしょうか。

悪い事を沢山してきました。それでも、迷惑は少ししかかけていないと思います。だって、尻拭いは自分でしています。何が悪かったのでしょう。何が神様の世界に影響を与えたことでしょう。このちっぽけなわたしが何をしたというのでしょう。わかりません。考えて分かるのなら、こんな苦労は無いのです。

しゃっきりしないさい。自分の中の人はそう言います。分かっています。そんなこと。でも、何だか動かないのです。不思議。

太宰とサガンが好きよ。そう言うと、何を洒落臭いと言われます。なら、読んでから言ってください。あんなに美しい文を洒落臭いという言葉で方をつけようとするのはやめてちょうだい。そう言いたいのですが、わたしはぐっと口を引き締めます。そして、そうですか、と言います。それに加えて、村上春樹も好きです。そう言います。いいのです。分からない人には、分からなければ。

身なりだけでも爽やかにしたくて、前髪を切って、ネイルカラアをミントグリンに変えました。そうしただけで、まだ少し気分が晴れた気がします。

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