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海外に行ったので、ネトフリでジブリのマイナー作品を見てみた

先日、旅行でシンガポールに行ってきました!


メインの目的は勿論、劇場版コナンの聖地巡礼。

マーライオンが血を吐くシーンで有名なアレですね。


そして裏の目的は……これ。

朝イチでシンガポール入国後、最初に友人に送りつけた写真


そう、海外(アメリカは除く)だと、Netflixでジブリ作品が見られるのだ!

今回はシンガポールの旅行記そっちのけで、金曜ロードショーで流れないジブリ作品を見た感想をレポートする。


意外と多い、金ローで流れない作品

「ジブリ作品ってわざわざ見なくても、金曜ロードショーでしょっちゅうやってるじゃん」
そう思う方は多いだろう。「なんどめだナウシカ」という有名なミームもあるくらいだ。

かくいう私も、小学生の頃はビデオで見ていたものの、今は金曜ロードショーでやってる時にしか見ない。だいたい2年周期で同じ作品が流れるため、「そろそろあれまた見たいなー」と思った頃には放送があるので、わざわざDVDを借りようという発想が湧かなかった。

なんなら、小学生の時に見ていたビデオも金曜ロードショーを録画したやつだし。


…だがちょっと待って欲しい。「またこれやってるのか」と思いがちだけど、そのラインナップ、ほんとうに一周してますか?


見てない作品を挙げてみた

こちらがスタジオジブリ公式サイトの、作品一覧である。

一番上は最近アカデミー賞受賞で話題になった最新作、「君たちはどう生きるか」。
そのひとつ前が「アーヤと魔女」。これもなかなかマイナーだが、何故か日テレではなくNHKで放送されていた記憶がある人もいるだろう。

その次は「レッドタートル」……ってなんだっけ?3番目にしてもう既に怪しいやつが出てきたぞ。

記憶を辿った結果、私が見たことのない作品は、以下の6つだった。

  • 海がきこえる

  • 平成狸合戦ぽんぽこ

  • ホーホケキョ となりの山田くん

  • ゲド戦記

  • コクリコ坂から

  • レッドタートル

いやゲド戦記はマイナーじゃなくね?とか、ギブリーズとOn Your Markは見たことあるんかい!とかのツッコミはあるとして、これらの作品がナウシカやもののけ姫や千と千尋よりも金ロー放送回数が少ないことはなんとなく予想がつく。

真面目に放映回数を調べてみた

なんとなく予想がつく、だけだと社会人としてあまりにもアレなので、念のためWikipediaで、各作品の金ロー放送回数を調べてみた。

風の谷のナウシカ       …20回
天空の城ラピュタ       …18回
となりのトトロ        …18回
火垂るの墓          …13回
魔女の宅急便         …17回
おもひでぽろぽろ       …8回
紅の豚            …13回
海がきこえる         …2回
平成狸合戦ぽんぽこ      …9回
耳をすませば         …12回
もののけ姫          …12回
ホーホケキョ となりの山田くん …1回 ※+WOWOWで1回
千と千尋の神隠し       …11回
猫の恩返し          …8回
ハウルの動く城        …8回
ゲド戦記           …5回
崖の上のポニョ        …6回
借りぐらしのアリエッティ   …4回
コクリコ坂から        …4回
風立ちぬ           …3回
かぐや姫の物語        …2回
思い出のマーニー       …4回
レッドタートル ある島の物語  …なし ※深夜枠で2回
劇場版 アーヤと魔女      …1回 ※NHKで2回


いやー…なんどめだナウシカ。

それにしても、ナウシカやラピュタは公開からの年数を考えるとまあ多いだろうな、というのは納得感があるけど、さすがに強いな、千と千尋。

そして非・宮崎監督作である耳をすませばや猫の恩返しがコンスタントに成績を伸ばしているのと比較して、イマイチ不遇な高畑監督作品…というちょっと複雑な現状が見えてきてしまった。


いざ、まだ見ぬジブリ作品鑑賞

それでは、実際に今回Netflixのお陰で見ることができたジブリ作品の感想を述べていく。
残念ながらレッドタートルは配信されてないので除外。おもひでぽろぽろは一回見たことあるけど、もう20年以上見てないので一応初見に近い扱いとする。

filmarksに上げてた感想も合わせて紹介。


ホーホケキョ となりの山田くん

最初に見たのがこれ。実家が朝日新聞をとってたので、ののちゃんにはそれなりに親しんでおり「これをジブリでアニメ化って…なにをどう作ってるんだ?」というのが長年気になっていた。

結果、冒頭からめちゃくちゃぶっ飛ばしててこっちの精神も飛んだ。流石ジブリ、流石高畑勲。センスだけで4コマ漫画を90分アニメに仕立てている。

冒頭のキクチばばのスピーチに始まり、全体的に家父長制キッツ…となる場面はあったものの、古き良き日本家庭って感じで面白かった。外国語吹替でも観たけど、年賀状の仕分けとかホタル来いとか絶対海外の人わからんでしょ。

「舞台が昭和のあたしンち」て感想を見掛けたけど、どっちがどっちを意識してるんだろう。主題歌矢野顕子はこっちが先か。

あと珍しく声優の演技がすごくリアルではまってた。

よくいうジブリ声優の演技って「自然な演技」じゃなくて「自然体っぽい」演技だと思ってて。

それはそれで一種の様式美になってはいるんだけど、今作はそれともまた違った生々しさがあって良かった。父たかしが寝坊して会社に電話かけるシーンはまさに圧巻。
終盤の披露宴スピーチのシーンは、本当のスピーチの録音ですって言われても信じそうなリアリティがあった。

余談だけど…
たまにののちゃんで見るあの人、キクチさんて言うの今まで知らなかった(なんならおじいさんだと思ってた)

更に、今スピンオフ作品のROCAを読んでるんだけども、キクチさんは謎にファドにも精通してて意味分からん。

こちらについては機会があればまた。


海がきこえる

今回の大本命。何故って、尺的にも題材的にも一番金ローでやらなそうだから。

冒頭から吉祥寺駅と中央線の写実的な描写が、ジブリというよりIGとかマッドハウスっぽい。そしてパトレイバーなんかで覚えのある、匂い立つ平成初期の香り…

この時代の雰囲気って、何がそう感じさせてるんでしょうね。

ストーリーの方も、90年代の辛気臭い恋愛ドラマを実にまあよく表現している。ヒロインが全く好きになれなくて結構辛かったけど。

総評すると、「時代と寝た作品」てこういう時に使うのかなあと思った。公開当時の空気感が濃すぎる。トラベラーズチェックのくだりとか、アラサー超えた私ですら世代じゃないのに、今の若者全く分からんだろうなぁ。


平成狸合戦ぽんぽこ

有頂天家族をもっとほのぼのコメディにした感じの作品だと思ってたら、違った。いや有頂天家族っぽさはあったのだが、想像の10倍泥臭かった。

人間側に死人が出て狸たちが喝采を上げるシーンを見て、タイトルに「合戦」と付いてるのを舐めてたな…と後悔した。

面白いかで言うと正直微妙かも。

イマイチどのキャラにも愛着が持てないので、合戦のゆくえが全然気にならない。シーンごとの演出作画を楽しむ感じだった。

百鬼夜行のシーンはよかったねぇ(クレジットに水木しげる!)パプリカのパレードのシーンを思い出した。

特におでん屋台でおっさんがクダ巻いてる後ろを、多種多様な妖怪が通っていくシーン。アニメーションと実写のいいとこ取りって感じでよい。

あともののけ姫と異なり、ちゃんと石田ゆり子っぽい石田ゆり子が出てくる。


おもひでぽろぽろ

最後に見たのが小学校低学年の時なので、絶対感想変わるだろうな〜と覚悟して臨んだ。


結果、価値観が思った以上に昭和〜平成初期すぎてつれえ〜!!

今でも、家庭での末っ子小学生の人権なんて、あってないようなものなのかもしれないけど…

わかりやすい虐待じゃないんだけど。家族として愛されてもいるんだけど。接してくる言葉や態度の端々で、主人公が軽んじられてるなぁ…て伝わってくるのが、かえってしんどかった。

で、作中でそんな主人公の子供時代のエピソードを聞いた中学生の子が、「かわいそう」って言うんだよね。

それを主人公はあの頃はわたしもわがままだったから、みたいな感じでフォローするのよ。


ち、違うだろ〜!!


ラストも、これから自分の意思で人生を歩んでいく!みたいな雰囲気で終わったけど、それ周囲にそう思わされてない…?てハラハラした。


かぐや姫の時も思ったけど、ヒロインの描写がなかなかハードだな、高畑勲…

火垂るの墓ぐらいしか繰り返し観たことなかったから知らなかった。あれはヒロインどころか、すべてがハードモードなので…


気を取り直して他の部分について。

となりの山田くんもなんだけど、宮崎作品と違って、固有名詞や挿入歌が結構多くて意外だった。まさかYMOが流れるとは。最近ハリウッド中心に、挿入歌に物を言わせる演出が増えてきてる気がするけど、その感覚に近い気がするなぁ。

あとは固有名詞ネタだとなんといってもあのピカピカ光りながら一瞬画面に現れる、躍動感溢れるPUMA

未見だと何を言ってるのか分からないと思うが、マジであのPUMAだから。見たら「ウワッPUMAだ~!」てなるよ絶対。


コクリコ坂から

リンク先の感想書いた後に調べたら出るわ出るわ、知恵袋で同じ疑問を抱いている人たちが!

尺の都合とかであえて説明を省いたんだろうけど、序盤の疑問がずっと引っかかって、結果本編に集中できなかったなあ…

あと個人的に学生運動に1ミリも共感できないので、そこから生じるノスタルジア的なものは感じ取れなかった。ごめんな駿。

大人たちが皆揃ってなんとなく無責任な感じなの、悪い意味で細田守作品っぽい。


リンク先の感想でも書いたけど、上を向いて歩こうと、怪我した手で器用にコロッケを齧る風間くんがMVPだった。


おまけ

流石はNetflix、当然のごとく多言語対応してやがる。

というわけでハウルをヨーロッパ言語で見たらめちゃくちゃ雰囲気出ててよかった。ただ英語版のハウル役はクリスチャン・ベールなんだけど、ちょっと渋ボイスすぎる気も…ドイツ語版のほうがキムタクに近くて好き。


まとめ


こうして、ジブリの中でも比較的マイナー寄りの作品をひととおり見てきたわけですが。


結論として、金ローでやらないのにはそれなりの理由がある


うん、どれも金と手間と才能が結集した作品だとは思うけど。視聴率取れるかって言うと、確かに他作品優先しちゃう編成担当の気持ちはわかる。

まぁ、そもそも20年以上も前のアニメ流してるのなんてジブリとコナンぐらいだしね。

(個人的には、もっとAKIRAとかパトレイバーとかやって欲しい)

コナンは現役作品だからおいといて、特に宮崎作品の、いつの時代でも風化しない力はすごいと思う。


だからこそ、世間一般が思うジブリらしさって、8割ぐらいラピュタとトトロと魔女宅と千と千尋とハウルで構成されちゃってるな、っていうことも感じた。要はジブリパークにいるあのへん。


日テレさん、たまにはとなりの山田くん、放送しませんか?

正直また見たいので円盤買うか悩んでます。

あと海がきこえるをXであーだこーだ実況したい。


そしてそして


私が一番見たいのはギブリーズなんです!!!


猫の恩返しの同時上映だったこれ、一度しか見てないはずなのに、何故か強烈に印象に残っている。激辛カレーと終電の回。猫の恩返しのTV放送時って毎回尺が余って、ジブリパークやらHuluの宣伝やらやってるから、その枠で放送してくれればいいのにな〜


最後に


これでジブリ長編作品全制覇だー!と満足感に浸ってたけど、今回の記事書いてて気付いた。


ゲド戦記、見てない…

きみはマイナーなのか微妙な立ち位置だからすっかり忘れてたぞ…ごめん。

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